
この記事を書いた弁護士
代表弁護士 呉 裕麻(おー ゆうま)
出身:東京 出身大学:早稲田大学
2008年に弁護士登録後、消費者案件(出会い系サイト、占いサイト、ロマンス詐欺その他)、負債処理(過払い、債務整理、破産、民事再生)、男女問題(離婚、不倫その他)、遺言・遺産争い、交通事故(被害者、加害者)、刑事事件、インターネットトラブル(誹謗中傷、トレント、その他)、子どもの権利(いじめ問題、学校トラブル)、企業案件(顧問契約など)に注力してきた。
他にも、障害者の権利を巡る弁護団事件、住民訴訟など弁護団事件も多数担当している。
このコラムについて
この記事では、当事務所で多数のご相談を頂いているトレント利用に伴うAVメーカーからの開示請求について、ご相談予約から解決までの一連の流れを簡潔に解説いたします。
プロバイダーから意見照会書が届いてから弁護士への相談を検討している方や、この問題についての実際の解決までの流れを知りたい方はぜひ参考になさってください。
なお、記事の最後にここ最近のトレント案件についてメーカー側代理人から届いた方針変更のことについて記載しております。示談の当否を検討するに際してとても重要な方針変更なのでぜひご確認ください。
なお当事務所では、本コラムの他にもトレント案年について多くの記事を掲載しておりますので、本コラムと合わせてご参照頂ければと思います。
1 お問合せからご相談まで
- お問合せ
(1)お電話またはメール、LINEにてお問合せ
ご相談をご希望の際には、事務所に直接お電話いただくか、ご予約フォームよりご相談内容をご記入等の上、お申込みください。
お電話の際にも、ご相談内容やご希望の日時、ご相談内容等の必要な情報をお知らせください。
内容や日時を調整の上でご予約をお取りします。なお、営業時間・電話受付時間は平日9時から17時となっております。また、12時から13時まではお電話は繋がりませんのでご注意ください。
岡山オフィス電話番号 : 086−441−9937
香川オフィス電話番号 : 087−802−2573 - 日程調整
準備事項(2)ご予約日時の調整、確定とご準備事項
当事務所より、お電話、メール、LINE、SMSにて、ご予約日時を確定いたします。
オンライン相談の場合
オンライン相談の方には、オンライン相談(zoom)の詳細及び相談の際にご準備頂く書類について合わせてご案内いたします。
ご来所相談の場合
ご来所相談の方は、お手元に届いている意見照会書等の書類一式と、印鑑(認めで構いません。)を、当日ご持参ください。
- ご相料
(3)ご相談料のお支払い
法律相談の費用は30分 5,500円(税込)です。
お支払い方法は、銀行振込 または PayPay にてお支払いいただけます。相談時に詳細なご案内をいたしますので、ご安心ください。
ご来所の際は、現金で直接お支払い頂くことも可能です。
なお、ご相談のお時間は30分以内を予定しており、事情の把握からご相談までをスムーズに完了できますので、どうぞご安心ください。
ご来所いただき契約となる場合は、書類作成が伴うため1時間程度お時間を頂戴いたしますので、予めご了承ください。(ご相談料に書類作成時間は含まれません。)
オンライン相談の場合
ご相談にかかるお時間はおおよそ30分。
ご相談料はお振込みもしくはペイペイ決済となります。
※いずれも相談終了時にご案内いたします。後払いです。
ご来所相談の場合
ご相談にかかるお時間はおおよそ30分。ただしご契約の場合には1時間。
ご相談料は現金もしくはペイペイ決済となります。
※相談終了後、事務所でお支払いください。
2 委任契約の締結
オンライン相談でご依頼を受けた場合には、委任状および委任契約書などを作成し、郵送もしくはメールでお送りいたします。
届きましたらご署名・ご捺印の上、ご返送もしくはご返信をお願いいたします。
その際、お手元にプロバイダーなどから届いている「意見照会書」や制作会社からの「通知書」がございましたら、全て当事務所までお送りください。案件の対応を適切に進めるために、必要な情報となりますので、ご協力をお願いいたします。
当事務所でのご相談の前に和解が成立している場合には、その「和解書」も併せてご送付いただけますようお願いいたします。
ご依頼案件の進捗は、当事務所が導入している「確認まる」にてご確認いただけます。
また、弁護士との円滑なやり取りのため、できるだけLINEの登録もお願いいたします。ご登録方法については、別途ご案内いたします。
3 受任後の対応 ~意見照会書~
~意見照会書~
- 回答書の作成
(1)回答書について
ご依頼後、当事務所で回答書を作成し、プロバイダーへ発送いたします(回答書提出未了の場合)。
依頼者様ご自身で記入・発送する必要はございません。
お手元に回答書が届いている場合は、そのまま当事務所までお送りください。弁護士が適切に対応し、作成いたします。
万が一、ご自身で記入された回答書がある場合でも、未発送であればそのまま当事務所までお送りください。
回答書の記載内容(開示に同意するか、不同意とするか)については、相談時に方針を確認してから、当事務所で作成いたします。
依頼者様に事前確認していただいた後、プロバイダーへ正式に発送いたしますので、ご安心ください。
なお、提出期限が近い場合は、ご依頼者様から送ってもらう場合もありますので、ご相談時にお伝えください。
- 受任通知
の作成(2)受任通知について
ご依頼を受けた後、回答書について同意で進める場合には、当事務所より制作会社宛てに受任通知を送付いたします。
これにより、正式に当事務所が代理人として対応することを通知し、今後のやり取りを適切に進めます。
その後、相手方弁護士から、当該事案についての解決案などが提示される予定です。詳細が分かり次第、改めてご連絡いたしますので、お待ちください。
- 通知書
への対応(3)相手方弁護士からの通知について
受任通知発送後、相手方弁護士から通知が届くことが通例です。
通知の内容や対応方針は相手方によって異なりますが、主に以下のような特徴があります。
いずれのケースについても、当事務所ではご依頼者様の意向を踏まえ、ログ保存期間の経過を考慮して対応を取ることが通例です。
制作会社側法律事務所の対応方針
- A事務所
- B事務所
- C事務所
- D事務所
本件ファイルのダウンロード回数に基づいた損害額の計算が示されます。
そのため、当該計算額も踏まえた対応を検討することとなります。
また、本件ファイル以外のアップロード行為についても、同一IPアドレスからの履歴があると指摘されることがあります。
この場合にもこの指摘を踏まえた対応を検討することとなります。
ダウンロード回数は教えてくれるものの、損害額の提示はありません。
また、他にアップロードされている作品があるかどうかも教えてもらえません。
すぐに示談を求めてくる傾向があり、場合によっては刑事事件化を示唆し、強い態度をとることもあります。
ただし、慌てて示談に応じる必要はないと考えています。
一方的な交渉態度であり、早期示談以外には応じないスタンスをとります。
損害額やダウンロード回数についての具体的な提示はなく、情報が少ないまま示談交渉を進める必要があります。
損害額の提示はありません。
他の情報も不明なまま交渉が進むため、慎重な対応が求められます。
- 追加受任
(4)追加の意見照会書について
当事務所が介入した後でも、プロバイダーからの追加の意見照会書がご契約者様に送られるケースがあります。
万が一、ご自宅に追加の意見照会書が届いた場合は、すみやかに当事務所までお送りください。
当事務所に意見照会書が送付された場合は、「確認まる」にてご連絡いたします。書類をご確認のうえ、対応についてのご意向を弁護士までご連絡ください。
なお、プロバイダーには当事務所に意見照会書を送付するように申し伝えてあるものの、契約名義人にしか送付しないとの態度をとるところも少なくありません。
この点、やむを得ない点なのでご承知おきください。プランごとの対応範囲についてご案内
【通常プランの場合】
追加の意見照会書に対応する場合は、委任の意思を確認した上で、個別に対応させていただきます。
※他の制作会社の場合「着手金 55,000円+報酬」が別途かかります。
【おまとめプラン・訴訟プラスプランの場合】
追加の意見照会書についても、当事務所で対応いたしますのでご安心ください。
※他の制作会社であっても追加料金はかかりません。
種別 プラン 相談料 着手金 報酬 備考 協議
(示談交渉)通常プラン 5,500円 220,000円 1.示談により解決した際は 110,000円
2.示談によらず相手方の請求を断念させた際は 165,000円1.アクセスプロバイダー及び開示請求者の双方に対する対応を含みます。
2.示談交渉期間は6か月ないしプロバイダーのログ保存期間を目安とし、その間に同一の開示請求者から追加で
開示請求が届いた場合には追加費用は生じません。
3.交渉期間の経過後もしくは交渉期間中に他の相手方から開示請求が届いた場合には別途、委任契約が必要です。
(着手金 55,000円+報酬)おまとめプラン 5,500円 308,000円 すべての開示請求に対する事案処理が完了した際に 308,000円
(示談・請求断念問わず)1.開示請求が届いた案件数、会社数を問わず、すべての案件について弁護士対応が可能です。
2.交渉期間の経過後もしくは交渉期間中に他の相手方から開示請求が届いた場合にも、追加費用は発生しません。訴訟プラスプラン 5,500円 418,000円 すべての開示請求に対する事案処理が完了した際に 418,000円
(示談・請求断念問わず)3.おまとめプランに、「万が一民事訴訟になった際の弁護士費用(着手金と報酬金)」を予めプラスにしたプランです。
このプランをご選択の場合、万が一、民事訴訟を提起されたケースでも左記金額にて民事訴訟の対応(一審まで)を行います。
4.複数社からの訴訟提起にも対応いたします。※税込
4 受任後の対応 ~示談交渉から訴訟対応~
(1)示談金額について
示談には主に、一つの作品に限り示談をする「個別示談」と、その制作会社すべての作品に対し示談をする「包括示談」の二種類があります。
そして示談の条件は相手方によって異なります。
示談条件には以下に主な相手方ごとの特徴をまとめます。
制作会社側法律事務所の示談条件
- A事務所
- B事務所
- C事務所
- D事務所
個別示談(1作品あたり) :33万円
包括示談(当該会社すべての作品):77万円
※ただし、2025年5月以降はいずれも11万円ずつ加算した額での提示になるとの態度をとられています。
個別示談(1作品あたり) :50万円
包括示談(当該会社すべての作品):対応無
一括での和解金支払いに応じる場合、10万円までの減額交渉が可能です。
利用ファイル数が複数に及ぶ場合には、1作品目を50万円、2作品目以降を20万ずつの金額を加算した総額。
個別示談(1作品あたり) :対応無
包括示談(当該会社すべての作品):77万円
損害賠償額の減額交渉には一切応じず、支払期限を厳しく設定されることがあります。
個別示談(1作品あたり) :33万円
包括示談(当該会社すべての作品):77万円
金額の提示のみで、柔軟な交渉には応じない傾向にあります。
(2)示談の時期について ~ログ保存期間との関係~
示談のタイミングについては、ログの保存期間との関係を考慮して判断することが重要です。
ログの保存期間はプロバイダーによりますが、長いと2年とされているようです。その間に追加の意見照会書が届く可能性があります。
示談を急ぐ必要はありません。
ログ保存期間内に追加の意見照会書が届いた場合、新たな開示請求が行われる可能性があるため、改めて対応方針を検討する必要があります。
示談をするかどうかについては、個別の状況によって異なりますので、詳しくはご相談ください。
(3)示談拒否について
以下のようなケースでは、示談に応じることなく示談拒否をするケースがあります。
①トレント利用に全く身に覚えがない場合
②ダウンロード後に即座に削除している場合
③示談金を用意することができない場合
これらの場合の対応方法は以下の通りです。
なお、①トレント利用に全く身に覚えがない場合については、以下の記事にて詳しく解説しておりますので、併せてご参考ください。

(4)訴訟について
示談が成立せず、訴訟に発展する場合の対応についてご案内いたします。
5 受任後の対応 ~案件の終了~
(1)示談による解決の場合
合意書(和解条項)を取り交わし、示談となります。
示談、もしくは裁判手続きの中で、制作会社と合意書を締結します。
これにより、最終的な和解内容が確定します。
(2)合意書の送付
締結した合意書を確認まるなどで依頼者様にお送りします。
内容を確認いただき、最終的な手続きを進めます。
(3)解決金のお支払い
合意した解決金を相手方に支払い、示談手続きは終了となります。
(4)弁護士費用、報酬のご請求
案件の解決、終了に伴い弁護士報酬をご請求申し上げます。
(5)案件終了後の対応について
案件の終了後にもプロバイダーから意見照会書が届くことがあります。
この場合には、示談済み、和解済みであればそのことを回答書に記載の上で回答することで、その後の請求はないままで終了しますのでご安心ください。
万が一、示談、和解等をしていない新たな開示請求を受けた場合にはすぐにご相談ください。
ケースによっては従前の費用での案件処理対応をすることもあります。
6 最新情報
最後に、ここ最近のメーカー側代理人であるITJ法律事務所からの方針変更について少し触れます。
2025年5月1日適用 示談金の金額変更
ITJ法律事務所はこれまで個別合意33万円、包括合意77万円の示談条件を提示してきていました。ただし、以前は個別22万円、包括55万円であったものを値上げした結果、33万円、77万円になったという経緯がありました。
そうした中、この度、この金額をさらに改訂し、個別を44万円、包括を88万円にするとの方針変更が通達されたものです。
この金額変更は2025年5月1日から適用するとのことです。
度重なる示談条件の値上げの理由ですが、詳細は不明であるものの、ひょっとすると示談率との兼ね合いで増額にしているのか、もしくは案件が非常に多く弁護士介入の手間が増えていることから増額にしているのか、というあたりが理由ではないかと当事務所では推測しています。
そうした中、単にこの値上げに応じるべきかというと、一方的な値上げであることや、トレントの利用実態を踏まえないものであることに照らすと疑問を感じます。
ただし、最終的には個別の案件の内容にもよるところがありますので詳しくはご相談の際にお尋ね頂ければと思います。
執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所