
この記事を書いた弁護士
代表弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
出身:東京 出身大学:早稲田大学
ここ数年、数百件のトレント案件(トレント利用者側)に注力している。単なる示談での解決ではなく、ログ保存期間を踏まえての示談や、ケースによってはそもそも示談を拒否すべきとして案件処理にあたっている。
現在、拠点のある岡山や香川に留まらず全国各地(北海道から沖縄まで)からオンライン(ZOOM利用)にて相談のみならず、受任対応を続けている。
*近場、遠方を問わずZOOM相談希望の方はご遠慮なくお申し出ください。
*この記事の内容を分かりやすく動画で解説しています。複雑な記事の理解にお役立てください。
当事務所では、トレント関係の情報についてXにて専用アカウントを解説し、最新の情報等を投稿しています。
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このコラムについて
このコラムでは、アダルトビデオ(AV)など他人の著作物を、ビットトレント(BitTorrent)を通じてアップロードしてしまったことにまつわる諸々の疑問にまとめて整理をし、回答しています。
最近増えているトレント利用に伴う著作権侵害について、その対応でお悩みの方は一読下さい。
なお、本コラムの他に、現時点(2024年6月)での最新の情報を踏まえたコラムを新たに公開したので、本コラムと合わせてご参照頂ければと思います。
- Q1. そもそもビットトレント(BitTorrent)とは何か?
- Q2. ビットトレント(BitTorrent)は違法なのか?
- Q3. ビットトレントを利用したことに伴い、プロバイダーから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届いたが、どうしてか?
- Q4. どうして自分のアップロードが発覚するのか?
- Q5. 届いた意見照会書に対して同意で回答をしたらどうなるのか?
- Q6. 届いた意見照会書に対して不同意で回答をしたらどうなるのか?
- Q7. 届いた意見照会書に対して何も回答をしなければどうなるのか?
- Q8. 意見照会に不同意で回答をした場合に、開示になる確率はどれくらいか?
- Q9. 著作権侵害が認定された場合の刑事、民事の責任はどうなるか?
- Q10. 民事上の責任について、具体的にどのように損害賠償額が算定されるか?
- Q11. 無料でダウンロードできるからダウンロード回数が多いだけではないか、との言い分は通るのか?
- Q12. 自分がアップロードしたのは当該ファイルのひとつのピースに過ぎないのに、ファイル全部の損害を負担するのか?
- Q13. 著作権会社の弁護士から通知が届いたが、すぐに示談にした方が良いのか?
- Q14. 複数の製作会社から開示請求が届いたので、示談金額が高額になりかねないがどうしたらよいか?
- Q15. アダルトビデオ(AV)の製作会社側弁護士との示談交渉をしたいが自分でも可能か?
- Q16. ビットトレントシステムを利用してダウンロードした動画は、自分で一回閲覧したらすぐに削除していたが、ビットトレントシステムをアンインストールするまでの間の責任を負うしかないのか?
- Q17. 複数の製作会社から開示請求が届いた場合には弁護士費用は倍になるのか?
- Q18. ビットトレントシステム利用の開示請求や損害賠償の問題に関し、弁護士に依頼することのメリットは何か?
- Q19. ビットトレントの問題を解決するために、弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所では何をしてくれるのか?
- Q20. トレント問題解決のために、どのような弁護士に依頼をすべきか?
- Q21. トレントを扱う弁護士費用の相場を教えてください。
- Q22. 実際に何社くらいから開示請求が来ることが多いのか?
- Q23. 制作会社からの通知書が届いた後、示談までの期間はどの程度猶予してもらえるのか?
- Q24. 制作会社との減額交渉は可能か?
- Q25. 制作会社との分割払いの交渉は可能か?
- Q26. 意見照会書に同意で回答をすると、回答結果を踏まえて自分の情報が他の製作会社に漏れるなどし、次々と開示請求がされるのではないか?
- Q27. 製作会社からの損害賠償請求に対して、損害賠償額が少額に限られた裁判例(大阪地裁令和5年8月31日判決)について教えてください。
- Q28. アダルト動画以外の著作物についての開示請求への相談対応はしていますか?またご依頼も可能ですか?
- Q29. トレントユーザーの負担すべき賠償額について判断した3つの裁判例(東京地方裁判所令和3年8月27日判決、知的財産高等裁判所令和4年4月20日判決、大阪地裁令和5年8月31日判決)の考え方の違いについて教えてください。
- Q30. 1社目、2社目を他の弁護士に相談、依頼したがその後さらに他社からの開示請求が来たので弁護士を変えたい。可能でしょうか?
- Q31 トレント利用に伴う開示請求についての最新の情報を教えてください。
- Q32 トレントの利用に関し、プロバイダーから意見照会書を受け取ったが、日本語が分からないのでその対応方法について英語で教えて欲しい。I received a consultation letter from my ISP regarding the use of torrents, but I don’t understand Japanese so I would like to be told in English how to respond to it.
- Q33. トレントを自分も家族も全く利用した覚えのないのに意見照会書が届いたのだが、どう対応すればよいか?
- Q34. 架け橋法律事務所の解決事例は?
Q31 トレント利用に伴う開示請求についての最新の情報を教えてください。
2024年の年末から2025年の年始にかけて、トレント案件の開示請求とその後の損害賠償請求に関し、複数の新たな動きが生じました。
主に以下の三つの動きです。
①まず、従前から開示請求者側の代理人として就いている赤れんが法律事務所に関し、開示結果を踏まえての損害賠償請求額の計算方法に変更が生じました。
以前は、利用したファイル数、開示されたファイル数を問わず50万円の賠償請求を求めてきましたが、最近では利用したファイル数に乗じて金額を増額しての請求となっています。
具体的には1作品目で50万円とし、2作品目以降、一作品あたり20万円にて計算しての請求となっています。
これは従前と大きく異なる賠償額になることを意味しており、今後、示談の当否を検討する際に重要な問題となります。
②次に、従前はアダルトビデオの製作会社側代理人弁護士は、ITJ法律事務所と赤れんが法律事務所の2事務所に限られていましたが、ここ最近、四谷コモンズ法律事務所と、弁護士法人オルビスが開示請求側代理人として名を連ねるようになりました。
四谷コモンズ法律事務所は、以前は開示請求を受ける側の代理人として広く展開をしていたようですが、何かの事情により開示請求側の案件も対応をするようになったことなのでしょうか。まだ詳細は不明です。
③②に関連し、上記両事務所のうち、弁護士法人オルビスについては、他の法律事務所と異なるスタンスを鮮明にしています。
具体的には、示談に応じるか否かの期限厳守を求めること、これを越えたら示談には応じないとしていること、当該ファイルの実損害額の提示をしないことです。
現状、弁護士法人オルビスの担当製作会社は株式会社ヒロスンエンタテインメントのみのようですが、今後の状況は要注意です。
*以上の各点について、詳細確認をご希望の方はご連慮なくご相談予約をお申込みください。
Q32 トレントの利用に関し、プロバイダーから意見照会書を受け取ったが、日本語が分からないのでその対応方法について英語で教えて欲しい。I received a consultation letter from my ISP regarding the use of torrents, but I don’t understand Japanese so I would like to be told in English how to respond to it.
以下、意見照会書を受け取った後のご質問等として多いものをまとめました。参考になさってください。
Below is a list of frequently asked questions that are asked after receiving the Enquiry Form. Please use it as a reference.
相談の概要は以下の通り。
①意見照会書の回答期限が迫っているが、どのように対応すべきか。回答期限の延長を求めるべきか。
②意見照会書には同意で回答すべきか、不同意で回答すべきか。確かにトレントを利用したこと自体は事実である。
③意見照会書に回答した後の手続きの流れを知りたい。
④今後も他の開示請求が続くと賠償額が多額になるので不安である。自分は退職者であり、収入や貯蓄に余裕はない。
⑤弁護士に依頼をした場合、後の対応を全て任せることができるのか知りたい。
⑥弁護士費用について知りたい。
The overview of the consultation is as follows:
①The deadline for responding to the inquiry letter is approaching – how should they respond? Should they request an extension of the response deadline?
②Should they respond to the inquiry letter with consent or non-consent? It is true that they did use torrents.
③They want to know the procedural flow after responding to the inquiry letter.
④They are worried about potential high compensation amounts if more disclosure requests follow. They are retired and don’t have much income or savings.
⑤They want to know if they can leave all subsequent handling to a lawyer if they hire one.
⑥They want to know about lawyer fees.

上記の相談に対して弁護士である私は次のように助言をしました。
①回答期限の延長を求められるなら求めておくと良い。ただし、一般的には回答期限を経過した後に解答書を提出してもプロバイダーは受け付けてくれるので安心されたい。
②トレントを利用したことが事実であれば、いずれで回答をしても結果的には開示となる。そのため、不同意で回答をするメリットはないので最初から同意で回答をすれば良い。
③回答書を提出すると同時に弁護士から開示請求者である著作権者の会社側の弁護士に受任通知を送信する。その上で双方での交渉が始まることとなる。
④万が一、開示請求が続き賠償請求が多額になった際には、支払いを拒否するなどし、支払額を抑える交渉を試みることが可能である。
⑤もちろんである。ただし、プロバイダーからの追加の意見照会書はどうしても相談者に届くのでその際にはすぐに知らせて欲しい。
⑥我々の事務所では、3つの費用プランを設けている。一つ目は通常プラン、二つ目はおまとめプラン、三つ目は訴訟費用込みのプランである。三つ目のものは万が一、訴訟を起こされた際の弁護士費用も含めるものであり、一番お得である。

As a lawyer, I advised the following regarding the above consultation:
①If possible, it would be good to request an extension of the response deadline. However, please be assured that providers generally accept response letters even after the deadline has passed.
②If you did indeed use torrents, disclosure will be the result regardless of how you respond. Therefore, there is no benefit in responding with non-consent, so it’s better to respond with consent from the start.
③When submitting the response letter, the lawyer will simultaneously send a notice of appointment to the copyright holder company’s lawyer who made the disclosure request. Negotiations between both parties will then begin.
④In the worst case scenario, if disclosure requests continue and compensation claims become substantial, it’s possible to negotiate to reduce the payment amount, including refusing to pay.
⑤Of course. However, any additional inquiry letters from the provider will inevitably be sent to you directly, so please notify us immediately when you receive them.
⑥Our firm offers three fee plans. The first is the standard plan, the second is the package plan, and the third is the plan including litigation costs. The third option, which includes lawyer fees in case a lawsuit is filed, is the most cost-effective.

執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所