このブログでも時折、触れていますが、弁護士の仕事は常に「トラブル」についてです。
離婚、遺産、交通事故、債務整理や破産、刑事事件、損害賠償その他、弁護士が受け付ける相談や依頼は「すべてがトラブル」についてです。
そのトラブルに関し、時に問題解決のために「謝罪」が重要になってくることもあり、弁護士として謝罪について相談者や依頼者との間で協議し、助言することもあります。
このような、トラブル解決の経験や知識は、他のどんな職業の方にも負けないものと自負しています。その経験から「謝罪」の極意についても自分なりに知見を深めてきました。
その謝罪の極意ですが、タイトルにも書いたように「ポイントは3回」という点にあります。
それは、最善の謝罪は適切なタイミングで3回行うという意味です。
1回目は、問題が生じた時、もしくは発覚した時(交通事故なら事故した直後)
2回目は、問題についての説明や事実関係が明らかになるなど少し落ち着いたとき(事故したショックから多少落ち着いた1、2週間後)
3回目は、問題についての状況が明らかになって(2回目の謝罪のタイミングのころ)からある程度の期間が経ったとき(事故のケガ、修理などがあらかた落ち着いた3カ月ないし6カ月ころ)
です。
このようなタイミングを見ての3回の謝罪は、人の心に届き、怒りの気持ちや不満の気持ちを緩和する効果があります(もちろん、事案によってはうまくいかないこともありますが)。
なので私は、謝罪が必要な時・事案ではこのようなアドバイスをしています。そしてこれは単なる形式的なテクニックではなく、人が人に心を届けるためのベストな方法だと確信しています。
このように、上記の謝罪の方法が人に心を届けるベストな方法であるがため、実はこの「3回」というのは感謝の気持ちを伝える際にも活用できます。
たとえば、人から贈り物を頂戴した時なら、、、
1回目は、もらったその時(当然、いただいたものをその場で開いてお礼を述べる。開封しないのはNG)
2回目は、もらったものを食べたり、使ったりした時(具体的な感想や、使用感の写真を添えるとベスト)
3回目は、もらった後、相当期間が経って、相手もあげたことを少し忘れつつあるころ(数カ月たってから、「そう言えば以前いただいた○○、とても気に入ったので自分でも探して購入させてもらったんです。」「とても気に入ったので友人にも紹介させてもらったんです。」などと使用後のエピソードを添えるとベスト)
です。
このようにしてお礼の気持ちを伝えると、差し上げた方はとても清々しく嬉しい気持ちになります。場合によっては「またこの人のために何か贈ろう」となるでしょう。
このように、人が人に謝罪やお礼の気持ちを伝えるベストな方法は「3回」という点にあります。これは他の気持ちを伝える時も同じなのでそれぞれで活用してみてください。
ところが、非常にシンプルな上記の方法ですが、うまく、自然に実現している人はとても少ないです。私自身も十分に出来ていません(特にお礼の方)。
私の知る方で実践できている方にもそうそう巡り合いません。
一番多いのは「1回」のパターンです。「2回」できている方に会えばもうそれだけで大喜び。「3回」できている方は、、、まだ巡り合いがないかもしれません。
しかし、「心遣いのプロ」の方はきっと、この「3回」を自然と実践しているはずです。生涯のうちにぜひ、お知り合いになりたいというのが私の夢です。