離婚に伴うご相談事項とそのご回答(離婚問題何でもQ&A)


この記事を書いた弁護士
代表弁護士 呉 裕麻(おー ゆうま)

出身:東京  出身大学:早稲田大学
2008年に弁護士登録後、消費者案件(出会い系サイト、占いサイト、ロマンス詐欺その他)、負債処理(過払い、債務整理、破産、民事再生)、男女問題(離婚、不倫その他)、遺言・遺産争い、交通事故(被害者、加害者)、刑事事件、インターネットトラブル(誹謗中傷、トレント、その他)、子どもの権利(いじめ問題、学校トラブル)、企業案件(顧問契約など)に注力してきた。
他にも、障害者の権利を巡る弁護団事件、住民訴訟など弁護団事件も多数担当している。

*近場、遠方を問わずZOOM相談希望の方はご遠慮なくお申し出ください。
*この記事の内容を分かりやすく動画で解説しています。複雑な記事の理解にお役立てください。


離婚問題でのご相談、ご依頼に際してよくあるご質問を以下のようにまとめました。ご自身の抱えているお悩み解決の役に立てれば幸いです。

【離婚について】

1-1 離婚の手続にはどのようなものがあるか教えてください。

離婚の手続には協議離婚調停離婚裁判離婚があります。これらの違いや特徴については以下の記事に詳細に解説していますのでご参照ください。

1-2 別居しないと離婚調停はできないのでしょうか?

同居中でも離婚調停は可能です。

その場合、裁判所からの呼び出しの通知が封書で届いた際に、相手方に確実に渡るようになさってください。

1-3 配偶者(夫、妻)が離婚に応じてくれないがどうしたらよいですか?

協議離婚や調停離婚においては、夫婦のお互いが離婚について合意できていることが離婚成立のための前提条件となります。そのため、相手方が頑なに離婚に応じないようであれば強制的に離婚を実現するためには離婚裁判により解決するしかありません。

とはいえ、離婚裁判にまでして決着を図るのはとても苦労が多く、時間も費用も要します。

そのため、協議離婚、調停離婚にて可能な限り相手方が離婚に応じるように交渉を持ち掛けることが必要です。

その際、どのような条件を提示すれば相手方が応じるのか、もしくはどのような要求事項を応諾すれば相手方が応じるのかを損得を勘案しながら検討し、交渉を持ち掛けることが重要です。

そして、離婚問題に詳しく経験のある弁護士であれば、具体的にどのような提案をすれば相手方が離婚に応じるようになるかを見極めながら交渉や調停を進めることが可能です。

したがって、相手方が離婚に応じないからと言って諦めるのではなく、まずは離婚に詳しい弁護士に相談をすることをお勧めします。

1-4 できる限りお互いの話し合いで離婚を進めたいと思っているが、弁護士に頼んだほうがいいメリットはありますか?

お互いの協議により離婚条件が定まるのであればそれに越したことはありません。

他方で、以下のようなケースでは弁護士に依頼をするメリットが大きいと考えられます。

①そもそも相手方と離婚についての話し合いができない(相手方が話し合いに応じない)もしくは相手方と直接話をしたくない

②相手方が、口が達者で条件交渉で損をしそう

③離婚条件で損をしたくないもしくは妥当な結論を確実に得たい

④何が妥当な結論かが分からない

⑤養育費や財産分与の金額で開きが大きい

1-5 公正証書を作る場合に、作成を弁護士にお願いできるのか、それとも自分でできるのか。作成方法について詳しく知りたい。

公正証書は最終的には公証役場で作成をしてもらうこととなりますが、そのための文案自体はご自身で作成をすることがあります。その文案作成が難しい場合には弁護士に依頼をすれば弁護士が作成をしてくれます。

なお、離婚に伴う公正証書の作成については別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

1-6 離婚する際の取り決めなど、どういった内容を盛り込めばいいか知りたい。

離婚の際には、親権者、養育費、面会、財産分与、慰謝料などについての取り決めをすることが通常です。

具体的に何をどのように記載し、盛り込めばよいかについては別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

1-7 離婚しようかどうか迷っている段階で、弁護士に相談してもいいのでしょうか?

もちろん構いません。離婚自体に迷っている方の多くは、離婚をした場合のメリットやデメリット、離婚をした場合の生活のイメージが沸いていないというケースが少なくありません。

また、離婚のために何をどのように進めたらよいのかがつかめていないケースも少なくありません。

したがって、離婚を迷った時点で離婚問題に詳しい弁護士に一度、ご相談頂くことはメリットが大きいと言えます。

なお、離婚に伴うご相談は30分5,500円(税込)を頂戴しております。また、当事務所には男性の弁護士、女性の弁護士が在籍していますのでご希望があればご指名ください。

【離婚と別居】

2-1 離婚のために別居を考えているが、そのタイミングをどうしたらよいか教えてください。

離婚と別居は常にセットで考える必要があります。そして、別居のタイミングについては慎重な判断も求められます。当然、別居をすることになると生活状況、経済状況が一気に変化します。そのため、別居により自分が損をしないようにきちんと体制を整えてからアクションを起こすことが大切です。

具体的には、①別居先をきちんと確保すること、②別居後の生活の基盤とりわけ収入を確保することが大切です。

これらが揃っているのであれば、別居のタイミングはいつでも構わないと言えますし、逆に言うとこれらが揃ったタイミングで別居をするのがベストだと言えます。

このほか、別居ができないがためにいつまでも離婚の問題が進まないというケースも少なくありません。そのため離婚に際しての別居のタイミングはしっかりと離婚を進めるためにとても重要だと言えます。

2-2 相手に家を出ていってもらい別居をしたいがそのように求めることは可能ですか?

夫婦で居住している自宅から相手方に出て行ってもらいたいが相手方からは自分が出て行くように求められているというケースが多々あります。

こうした状況で強制的に相手方に家から出て行ってもらうことは容易ではありません。これはその自宅が自分名義であったとしても同じことです。

したがって、このご質問に対しては、相手方に出て行ってもらうことを強制することはできないとの回答になります。

2-3 別居の際に子どもを連れて出ることは構いませんか?夫から子どもは置いて行けと言われたら応じないといけませんか?

別居になる以上、子どもはお互いのいずれかが面倒を見るほかありません。そのため、別居に際して子どもを連れて出ることが多いのも当然です。

その際に、残された側から「子どもの連れ去りだ」と非難を受けることがありますが気にすることはありません。

実際問題、別居に伴い子どもを連れて出ることが違法とされることはないからです。

そのため、「子どもを置いて行け」と言われても応じる必要もありません。

なお、この問題については別のページに詳細を説明していますのでそちらもご参照ください。

2-4 別居の際にひとまず子どもを置いて出ると、監護権や親権争いで不利になりますか?

不利になります。

色々な事情から子どもを置いて出ることは仕方ない側面がありますが、監護権や親権を争う際には不利に働くことが通常です。

というのも、監護権も親権も裁判所が重視するのは「監護の継続性」という点にあるからです。

したがって、別居になり相手方が子どもを監護し続けている状況がありかつこれが安定したものである場合には監護の継続性の観点から、監護権や親権者が判断されてしまいます。

そのため、離婚に際して監護権や親権を争う考えがあるのであれば決して子どもを置いて別居を開始してはなりません。

なお、夫が子どもを連れて実家に帰ったようなケースで、後に妻から監護権や親権を主張されたものの排斥されたケースは以下のとおりです。

【別居後の子の取り戻し】

3-1 妻が連れて出た子どもを取り戻す方法を教えてください。

子どもを連れて出た妻に対して子の引き渡しを求める仮処分、監護者を定める仮処分、これらについての審判の申立をすることが必要です。

その詳細は別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

3-2 自分が監護者と認められるためにはどうしたらよいですか。

監護権の判断に際しては、親権者の判断と同様の判断要素から判断されます。具体的には、以下の要素から監護権も判断されているのです。

(1)子の福祉

(2)子の意思

(3)監護の継続性

(4)母性優先の原則

(5)きょうだい不分離の原則

これらの要素のうち特に重要なのは⑶監護の継続性です。したがって、監護権を主張しようと思ったらとにもかくにも監護を継続すること(子どもを離さないこと)が大切です。

なお、これら要素の詳しい内容は別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

【別居後の面会】

4-1 妻から面会交流の頻度について、月に1回と言われています。この頻度は妥当なのでしょうか?

別居をするとそれまでの生活状況と打って変わったものとなり、住む場所、生活上のリズム、通う保育園や学校、交友関係などが大きく変わります。

そのため、同居中は毎日顔を合わせていた子どもと、たまにしか会えないことのストレスはとても大きいものです。

とはいえ、新しい生活環境における子どもの日々の生活も大切にする必要があります。

その結果、裁判所では面会交流の頻度について、月に1回を目安に指定することが少なくありません。妻としてはこのことを念頭に月に1回の頻度を打診してきているものと考えられます。 ただし、子どもや相手方の負担にならないのであればこの頻度自体を増やすことは何ら問題がないはずなので、お互いの生活状況等に照らし、そのことを指摘してみることでより多くの頻度を実現する余地があると考えられます。

4-2 別居している配偶者から子どもに会わせろと言われています。会わせないといけませんか。また、会わせないと親権争いで不利になりますか?

面会交流は子どもの福祉の観点から判断されます。言い換えると、現行法上は、別居親の権利として面会交流が認められているものではないのです。

そのため、相手方からの面会の求めに対しては、最終的には「面会を実施することが子どもの福祉(すなわち子どもの幸福)」に繋がるかどうかで判断されます。

仮に別居親が面会を求めて調停を起こした場合に、裁判所はかかる観点から面会の当否を決めることとなっています。

そのため、別居親からの面会の求めを断っても裁判所から面会の実施を言われることがあったり、そのような審判が言い渡されたりすることもあります。

したがって、面会の求めに対しては最終的な裁判所からの決定を見据えて判断をすることが望ましいと考えられます。

4-3 子どもが面会を希望していない場合には面会を断る理由になりますか?

子どもが面会を希望していない場合にも、いくつかケースがあると思います。

まず、①同居中に子どもが別居親からの暴力等にさらされていた、もしくは別居親が同居親に暴力を振るっており、これを子どもが目の当たりにしていたというようなDV事案の場合には、かかるDVをきっかけに子どもが深い精神的、肉体的な傷を負っていることが考えられます。

このような場合には、面会交流を続けることで子どもに精神的な負担がかかるとして面会が否定されることがあります。要するに面会を実施することが子どもの福祉に反する、子どもの福祉を害するということです。

次に、②子どもが同居親のことを気にしてもしくは気を遣って面会に消極的な態度をとる場合です。

この場合には実は子どもは別居親との面会を希望しているが、それを言い出せないということが考えられます。したがって、子どもの本心をよく探り、実は子どもとして別居親との面会を希望しているということが分かれば積極的に面会を実施するべきケースだと言えます。

以上のように、子どもが面会に消極的な態度をとったとしてもその原因や理由がどこにあるのか、子どもの本心、真意はどこにあるかをよく把握してから面会の当否を判断することが大切です。

なお、①の事例に相当するケースで当事務所にて面会交流の求めを拒否し、裁判所もこれを認めた事例がありますので別途、ご参照ください。

4-4 別居中の妻が子どもとの面会を認めません。解決のためにはどのような方法がありますか?

面会交流は子どもの福祉の観点からその実施の当否が判断されます。にもかかわらず、同居親である妻が単に別居親である夫のことを毛嫌いするなどし、面会をさせないケースが少なくありません。

このような妻の態度は子どもの福祉を害する行為なので直ちに改善されるべきものです。

とはいえ、当事者間の協議で解決しない状態に陥っていることも少なくありません。そのような場合にはすぐに家庭裁判所の面会交流調停を申し立てるようにしてください。

そうすることでいたずらに面会ができない期間が経過するのを防ぐためです。

そして、面会調停では、どうして面会が必要なのかを調停員を通じて伝え、必要に応じて調査官調査、試行的面会交流を実施するようにしてください。

途中で調停条項がまとまればその内容に従って面会を実施するようにし、調停での合意が無理であれば裁判所による審判を経てください。

4-5 別居中の妻が、子どもとの面会を著しく制限してきます。もっと自由に面会を実現するためにはどうしたらよいですか?

面会交流の調停を申し立てることをお勧めします。面会交流を不当に制限されている場合、とりわけ面会自体を拒否されている場合にはその状態がいつまでも続くと子どもの福祉を害する結果になりかねません。

お互いの話し合いや協議で解決するのであれば構いませんが、いったん態度を頑なにした妻との間で譲歩を勝ち取るのは容易ではありません。

そのため、いたずらに面会が制限された状況を置いておくよりは早期に面会を申し立てて裁判所の介入の下、適切妥当な面会の実現に向けて進むべきです。

【別居後の婚姻費用(生活費)について】

5-1 別居後には生活費として相手に何をいくら請求できますか?

夫婦には婚姻費用の分担義務があります。これは民法760条に以下のとおり規定されています。

(婚姻費用の分担)
第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

したがって、別居に至った夫婦はお互いの収入などに照らし、婚姻費用を分担する義務があるのです。

具体的に請求できる金額についてはこの条文にあるようにその資産、収入、その他の事情から判断されることとなりますが、婚姻費用が日々必要になる生活のための費用という性格に照らし、裁判所ではこの問題を早期に解決するための算定表を作成、公表しています。

平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所
裁判所のホームページです。裁判例情報、司法統計、裁判手続などに関する情報を掲載しています。

この算定表では、お互いの収入と監護している子どもの人数や年齢に照らし、一方が他方に対して負担すべき婚姻費用額を簡易に計算することができるようになっています。

5-2 別居後にいくらくらいの生活費をもらうことができるのか教えてください。

別居後にもらうことのできる費用は婚姻費用といいます。婚姻費用の算定に際しては厳密な計算式があります。その計算式に基づき算定をすることが可能ですが、一般の方に対しては裁判所の公表している算定表が便利です。

この算定表に基づいて具体的に受け取ることのできる生活費を計算してみてください。

平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所
裁判所のホームページです。裁判例情報、司法統計、裁判手続などに関する情報を掲載しています。

5-3 婚姻費用として決まった金額から、相手方名義の電話代や保険代など自分の口座から引き落としになっているものを控除することは認められますか。

認められます。

婚姻費用は、総額としていくらを負担すべきかの金額である以上、口座引き落としやカード払い等で相手方が利用している各種費用(電話台、保険料、食費、電気ガスなど光熱費、その他)がある場合には、婚姻費用の総額から控除した残額を相手方に支払えば足ります。

5-4 自分の不倫がきっかけで別居になった場合でも婚姻費用をもらうことはできますか?相手の不倫がきっかけで別居になったが、その場合でも婚姻費用の支払いが必要ですか?

不倫がきっかけで別居になった際に、婚姻費用を請求することは権利濫用として全部もしくは一部制限されるというのが裁判所の考え方です。

たとえば、不倫をしたのが妻であり、子どもと共に別居をしている場合には、妻の生活費に相当する婚姻費用の支払いは権利濫用とされ制限され、他方で子どもの生活費に相当する部分は認められることとなります。

この問題に関し、当事務所が関与して解決した事例は以下のとおりご紹介します。

5-5 相手名義のローンの残った自宅に住み続けている場合、婚姻費用からローン額が全額控除されてしまいますか?具体的にもらえる婚姻費用はいくらになりますか?

婚姻費用には、別居中に負担すべき生活費として居住費すなわち賃貸物件を借りた場合に必要となる賃料相当額も含めて計算がされています。

そのため、相手方がローンを負担している住宅に住み続ける場合には、婚姻費用の計算の際に考慮される居住費相当額が婚姻費用から控除されるべきとされています。

たとえば、婚姻費用が本来は12万円であり、そのうち居住費が4万円相当だとすると、12-4=8万円だけが婚姻費用として支払われることとなるのです。

この場合に、実際の住宅ローンの金額が仮に10万円だとしても、この10万円が丸々控除されることはありません。住宅ローンは実際の家賃相当額と必ずしも同額ではないことや、住宅ローンには金利も含まれていること、その支払いは将来的には住宅という資産を形成するための費用という側面があり、必ずしも月々の居住のためだけの費用とはいえないからです。

5-6 妻が自宅に住み続けているが、そのローンの名義は夫である場合に、その後も夫がローンを払わないとなりませんか?

住宅ローンはローン会社との契約に基づき、支払いが定められています。そのため、自分が居住していない住宅であっても、契約名義人である以上は自分でその支払いを継続する必要があります。

5-7 婚姻費用の取り決めのためにはどのような方法がありますか?

婚姻費用の取り決めは当事者間の協議による方法と、裁判所を通じた調停ないし審判による方法があります。離婚とは異なり婚姻費用は裁判で決めることはありません。

これらのうち、協議による場合には、口頭での取り決め、お互いで作成した書面での取り決め、公証役場の公正証書による取り決めがあります。

口頭での取り決めは後で簡単に約束が破られる可能性が否定できないこと、お互いで作成した書面による場合には強制力(執行力といい、不払いの際に差押えをするための効力)がないことから、不払いのリスクを最小限に抑えるためには公正証書にしておくことが必要です。

5-8 婚姻費用について調停で合意ができない場合にはどのようになりますか?

婚姻費用について調停で合意ができない場合には、裁判所は審判に付した上で結論を出してくれます。その結論に対して不服があれば即時抗告により争うことが可能です。

審判により確定した婚姻費用すら支払いがない場合には、給与や預金を差し押さえることも可能です。

5-9 審判で決まった婚姻費用を相手方が支払わない場合にはどうしたらよいですか?

審判が確定したにもかかわらず相手方が支払わない場合には、相手方の給与や預金の差押えが可能です。裁判所に申し立てをして強制執行をしてもらえます。

また、強制執行とまでいかなくとも、履行勧告という方法により、裁判所から相手方に支払いをするように促してもらうことも可能です。

5-10 決まった婚姻費用を増額してもらうこと、減額してもらうことはできますか?

婚姻費用の増額、減額は金額を決めた際の事情に変更がある場合には認められます。すなわち、婚姻費用を取り決めた後に、収入が増えた、減った、扶養する子どもが増えたという事情がある場合にはこれを認めてもらうことができます。

その場合には家庭裁判所に増額ないし減額の調停を申し立てることとなります。

5-11 夫が婚姻費用を支払わないので面会を拒否したいが許されますか?

許されません。

婚姻費用と面会交流はまったくの別問題です。婚姻費用の支払いがないので心情的には面会を拒否したいという気持ちになることは分かりますが、婚姻費用の不払いに対してはあくまで履行勧告や強制執行により解決をするべきです。

仮に、面会交流と婚姻費用の支払いとがバーターとなるとすれば、面会はしなくてよいので婚姻費用も支払わないとの理屈や、婚姻費用を増額するから面会の回数を倍にしてくれとの理屈が成り立つこととなりますが、これらが不当なこともまた明らかです。

5-12 妻が面会に応じないので婚姻費用を止めても構いませんか?

許されません。

面会と婚姻費用は別の問題です。面会に応じない相手に対してはあくまで面会交流を求める調停にて解決をするようにしてください。

5-13 婚姻費用を支払う際の注意点を教えてください。

婚姻費用の支払いは離婚が成立するまでもしくは別居が解消するまでの間、続きます。そのため月々の支払いが間違いなくなされていることが証拠で残るようにしておくべきです。

したがって、手渡しではなく、振り込みによる支払いをお勧めします。

【離婚と親権者について】

6-1 夫婦の間では離婚をすることに合意ができましたが、親権者をどちらにするかがまとまりません。お互いに親権を主張しているような場合にはやはり夫側が不利なのでしょうか?

「親権者争いは妻が有利」という言葉はよく聞かれるところです。しかし、男性による家事、育児に対する積極的な関与が増えた現在ではこの言葉は常に当てはまるものとは言えなくなりました。

そもそも、親権者の指定の際には、以下の要素を考慮の上で決定されています。

(1)子の福祉

(2)子の意思

(3)監護の継続性

(4)母性優先の原則

(5)きょうだい不分離の原則

これらの要素のうち、とりわけ重要なのは⑶監護の継続性です。これは日ごろから子どもの監護にどれくらい積極的に関与をしてきたか、それから別居後に夫婦のいずれが主として監護をしてきたかという問題です。

裁判所はこの監護の継続性を重視し、子どもの安定した生活を維持できる方を親権者と定める傾向にあります。

したがって、男性側でもこの条件を満たすのであれば親権者となる余地は十分にあります。

なお、男性側からの親権争いに関しては別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

また、夫が親権を取得した事例についても別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

6-2 離婚の際には親権を譲ったが、後に変更を求めることはできますか?

できます。

法律上「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。」(民法819条6項)とされており、この要件を満たす場合には親権者の変更が許されています。

親権者の変更については、別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

また、当事務所関与の下で親権者の変更が実現した事例は以下のとおりです。

【離婚と財産分与について】

7-1 離婚の際に財産分与を求めることができると聞きましたが、財産分与とは何ですか?

財産分与とは、夫婦が協力して築いた夫婦共有財産を分与することです。

そしてこれは、婚姻期間中に形成された財産を積み上げた上で折半をするのが基本です。

具体的には、結婚時のお互いの財産(預金や保険など)と、離婚時もしくは別居時などの財産分与の基準とすべき時点のお互いの財産の差額を算出し、折半するということです。

なお、お互いの収入にかなり大きな格差がある場合や、夫婦の一方の特殊な能力で得た財産などを考慮し、折半ではなく、4:6などと分与の割合を変更することもあります。

これら財産分与については別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

7-2 財産分与の対象となる財産を教えてください。

財産分与の対象となる財産は、夫婦のお互い名義の預貯金、保険(解約返戻金)、有価証券(株式や投資信託)、住宅、車やバイク、退職金(まだ退職していない場合であっても仮に現在退職をしたとしたら受けられる額を会社に試算してもらう)などがあります。

これらについて、別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

7-3 負債は財産分与の対象となりますか?

負債については、プラス財産から控除して清算をするのが通常です。

ただし、プラス財産がない場合には、負債そのものは財産分与の対象とせず、負債の名義人自身が離婚後も支払いをすることとなります。

7-4 結婚前の財産は財産分与の対象となりますか?

なりません。

財産分与は婚姻中に夫婦で形成した財産を分与するものだからです。

7-5 自分の父母から相続した財産は財産分与の対象となりますか?

なりません。財産分与は婚姻中に夫婦で形成した財産を分与するものだからです。

また、相続で得た財産からの利益(たとえば相続した不動産の賃料収入など)も財産分与の対象となりません。

【離婚と慰謝料について】

8-1 相手の転勤に伴い、仕事を辞めて帯同しました。例えば相手の不貞で離婚することになったら、そのことを反映した慰謝料額になりますか?

不倫の慰謝料請求ないし離婚に伴う慰謝料請求に際しては、当該不倫行為によって被った不倫をされた側の精神的苦痛が賠償額算定の際に考慮されます。

一般的には、婚姻期間の長短、小さい子どもがいるかどうか、不倫の期間や回数、不倫行為発覚後の反省の有無や態度などにより算定されます。

これらの要素に、ご質問にあるような事情を加味して慰謝料額を算定することになろうかと思います。

8-2 不倫相手と夫の両方から慰謝料をもらいたいと考えていますが可能でしょうか?

不倫は不倫をした当事者2名による共同不法行為を構成します。その結果として不倫をされた側が精神的苦痛を被ったとしてその賠償(慰謝料等)を求めることが可能となります。

そして、その賠償については不倫をした2名による連帯責任となることから、いずれかからもらおうとも、総額としての慰謝料額までしか受け取ることはできません。

したがって、仮に慰謝料額が200万円の事案において、夫から200万円の慰謝料をもらえば相手方女性に請求できる金額は0となります。

他方で、女性から100万円をもらっただけであれば夫から別途、100万円もらうことができます。

執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所

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