もうインフレが言われ始めてかなりの時間が経ちました。最近は価格改定、価格高騰もある意味で「当たり前」になってきた感があり、消費者もこれに慣れてしまったもしくは諦めてしまった様子すら見受けられます。
このインフレと同時に、政府の働きかけもあって賃上げもまた進んではいる状況です。
とは言え、現在の日本では、物価が高騰する=多くの消費者には負担が増えるということは間違いなさそうです。
この物価高騰に関しては、
価格の高騰=価値の高騰
ならまだ納得も行きますが、実際には
価格の高騰≠価値の高騰
というのが実情のように思われます。
すなわち、価格を上げる背景には、原材料、人件費、輸送費などの高騰があるがために価格を上げているというのが大半であり、価格の高騰と比例して価値もまた同程度に高騰してはいないという事です。
そのため、消費者からすると、価格も上がるわ、価値はさほど上がっていないわということで何だかとても損した気分になる訳です。
他方で外国からの旅行客=インバウンドにおいては、もともと日本の物価が諸外国ほど高くないこと、円安が進んでいることからとてもとてもお得な状況になっています。
その結果、外資系の企業などにおいては、インバウンド狙いで遠慮なく価格を釣り上げており、とても日本の一般的な消費者には手が届きにくい状況となっています。
このことが顕著に表れているのがホテル業界だと思います。
最近、出張が増えたのであちこちのホテルを手配するのですが、その際に、
①以前泊まったことのあるホテルの宿泊費が明らかに高くなっている
②価格が上がっているだけでなく、そもそも満室のことも多く、予約自体ができない
③価格高騰は外資系ホテルほど顕著
という状況なのです。
この宿泊費問題はニュースでも取り上げられており、多くの企業で出張の際の宿泊費上限を変更するなどしているとのことです。
当然、ホテルは価格が高騰しても、そこで得られるサービスは従来と変わりません。そのため、上記のように、価格は上がったが受けるサービスに変化はないので、「損した気分」になるのです。
それでもインバウンドを始めとした旅行客の多くが押し寄せるため、ホテル側は嬉しい限りです。ですが、あるべき価格と価値がどこかで均衡を取れないと、いつか消費者に見限られると思います。
実際、私も東京に宿泊した際に「この価格でこの内容か」という感想を持ったことがあり、そうなると「今後もまだ同じ価格だったらここには泊まりたくない」と思ってしまいました。
したがって、企業としては、しっかりと「価値と価格の均衡」を考えないと行けない時期が見えてきていると考えた方が良いと思います。