2022年6月12日にJR吉祥寺駅前で行われた日本維新の会の街頭演説会で、猪瀬直樹氏が、参院選立候補予定の海老沢由紀氏の体を何度も触るという出来事がありました。
動画が広く公開されているため、ご覧になった方も多いと思いますが、肩や胸元を何度も触っている状況がよくわかります。
このことがセクハラに該当するのではないかと批判されると、猪瀬氏は、公式Twitterで次の通りツイートしました。
「仲間を紹介する際、特に相手が異性の時は肩に手をやるなど身体を触ることには慎重になるべきだとご指摘をいただきました。確かに軽率な面がありました。十分に認識を改め、注意をして行動していきたいと思います。改革のために、引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます」
他方で、触られた側の海老沢氏は、Twitterで次の通りツイートしました。
「猪瀬さんとわたしの関係では全く問題が無かったものの、猪瀬さん本人からは丁寧なご連絡がありました。胸にあたってもいないし、話題になったことにむしろ驚いたほどなのに、誠実な対応だと思います。」
このように、海老沢氏は、自分の体を公の場でベタベタ触り回った猪瀬氏のことを「誠実な対応だ」と擁護にまわったのです。
そうなると、触られた側が容認している以上、猪瀬氏の行動は、果たして「セクハラ」といってよいのか、海老沢氏の擁護の姿勢には何ら問題がないのか、モヤモヤとした気持ちが渦巻いている方も多いと思います。
この点、たしかに、触られた側が真意に基づき、触られることに同意をしているならセクハラに該当しません。当然のことです。いくら客観的にはセクハラと評される行為であってもそうなります。
ただ、本件で気を付けて欲しいのは、海老沢氏が猪瀬氏のことを擁護するのはあくまで置かれた立場上、当然のことであるという点です。
また、問題の本質は他にもあって、国会議員に立候補するような人物が、公の場で、一般的にはセクハラと評されるような行動をとられたにも関わらず、何ら意に介さないどころか、触った側を擁護する言動をとったという点です。
すなわち、あの動画とその後の海老沢氏の擁護発言は、世の中で蔓延し、今も被害が多数生じているセクハラについて、「あの程度のボディタッチはしても構わないんだ。」との誤解を多くの男性に植え付けているということです。
その結果、あの動画と海老沢氏の擁護発言のために今も新たなセクハラ被害が生じている可能性すらあるのです。
そのような結果を生じうることを海老沢氏はきっと考えもせずに単に置かれた状況ゆえに猪瀬氏のことを擁護したのだと思いますが、やはり政治家を目指す以上、自分の言動が社会にどう影響を与えるのかもっと考えて欲しかったです。
当然、最終的には有権者の判断です。この度の擁護発言を踏まえて海老沢氏に投票をするかどうか、しっかりと考えて決めてもらったらと思います。
一番残念なことは、ひょっとすると、世の中のセクハラ加害男性ないしその予備軍の方々が海老沢氏に多数投票し、当選するという結果です。
そうはならないことを心から期待します。