新型コロナウイルスに限らず、病気で仕事を休まざるを得ない場合、休業に対する賃金は補償されない(支払われない)のが原則(法律上は当然には賃金が生じない)です。
これは、賃金が労務に対する対価である以上は当然のことです。
とはいえ、会社によっては従業員に対する福利厚生の観点から、病気休職に対する補償を就業規則で定めていることがあります。
他には、会社からではありませんが、健康保険の傷病手当金制度の利用により、賃金の一部の補償を受ける余地があります。
また、病気になったことが業務に起因すると認められる場合にはまさに労災ですから、労災保険の申請により、治療費や休業補償給付を受けることができます。
なので、病気で止む無く休業せざるを得ないにしても、そのことに対する具体的な手当がないか、よく確認することが大切です。
なお、つい先日、東京女子医科大学の内部文書に
「法人内の施設において新型コロナウイルスに感染したりして休業するに当たり、その感染原因等が法人からの自粛要請に反した行為にある場合には、休業中の給与は無給とする」
「医療機関を持つ医科大学で勤務する職員は、本来健康な状態で労働を提供する必要があり、感染等を理由に休業することはいわば民法上の『債務不履行』に当たると解釈されます。よってこの場合には、休業期間中には給与を支給しないことが妥当である」
などという内容が含まれていて波紋を呼んでいます。
これらは上記の病気休職の際の賃金支払についての原則論を踏まえたものと思いますが、如何せん、その表現においてあまりにも高圧的であり、人情味にかけたものです。
医療の最前線医療で必死で働いている職員に対する思いやりに欠けるものとして、ナンセンスだと考えます。
私は、労使が一体となって共に事業を展開していくことのできる企業こそ、本来あるべき企業の姿だと常に考えています。経営陣の都合ばかりで労働者を蔑ろにするような企業には存続価値はないと思っています。