よく、
「弁護士になるには六法全書を全部覚えるんですか?」
と聞かれます。
きっと、
「弁護士になるにはものすごく記憶力がないとなれない。」
と思われているのでしょう。
しかし、答えは
「NO」
です。
実際には、大量の法律、大量の条文について、
「だいたいどこにどういう法律があって、どういうことが書いてあるか。」
くらいのことを記憶しているだけです。
例えると、
「〇〇という百貨店には、たしか△というお店がだいたい5階くらいにあったかなー」とか
「あの部屋のクローゼットの上の方に、たしか一昨年買った茶色いニットがしまってあったなー」とか
という程度の記憶です。
さまざまな法律に関し、このようなうすーい記憶がたーくさんあるだけで、一つ一つの法律や条文を、正確かつ詳細に記憶しているワケではありません。
要するに「たくさんの引き出しを持っているが、その引き出しの中身をすべて詳細に把握している訳ではない。どの引き出しにどんな物があったか、大雑把に把握しているだけだ。」という状況なのです。
とはいえ、それでもそれなりの法律の数、条文の数があります。
なので、これらの多くの引き出しをすぐに見つけられる能力は必要です。
結果、たくさんの引き出しを持つこと、その多くの引き出しの中から事案解決に必要なものを瞬時に見つけられる能力が求められるのです。ある意味で記憶力よりは瞬発力が必要です。
カードゲームで例えるならば、
「弁護士は、神経衰弱よりもカルタが得意」
かもしれません。