少子高齢化社会に突入した日本はこれから先、総人口の減少に歯止めがかかりません。
実際、日本人人口は2022年は前年と比べ、約75万人の減少であり、減少幅は11年連続で拡大しています。
日本人の生涯未婚率は、2020年時点で男性約28%、女性約18%です。この数値は右肩上がりの状態で、今後も生涯未婚率は高い状態が続くと予想されます。
合計特殊出生率も2023年には1.20程度と過去最低を更新しています。
こうした中、飲食業を始め、多くの企業で人手不足が深刻化しています。
報道では、人手不足のため臨時休業をせざるを得ない、営業時間を短縮するなどの対応を余儀なくされた店舗が多々あるようです。それどころか、人手不足が原因で廃業せざるを得ない店舗も増えているとのことです。
飲食業はとりわけ、コロナ禍でのイメージダウンが大きく、なかなかアルバイトが集まらない実情があるようです。
ところで、このような人手不足問題は、決して飲食業に限られたものではありません。人口減少は避けられないことを考えると、あらゆる業態で深刻な課題となっていますし、進行していくことは間違いありません。
こうした人手不足を解消する方策としては、技能実習生の活用や、女性や高齢者の労働力の活用や、さらには機械化の取り組み及びAIの活用による省力化が挙げられます。
しかし、技能実習生はそもそも日本人による労働力不足を補うことが目的ではなく、技術等の開発途上国への移転と通じた開発途上国の発展のための人づくりにあります。それゆえ、人手不足解消のための根本的な対策にはなりません。
また、女性や高齢者の労働力の活用については、すでに相当程度、浸透しています。すなわち、共働き世帯は60%を超えていますし、高齢者については定年延長や定年廃止、定年後の再雇用などの制度がすでに社会に深く浸透しています。そもそも、女性や高齢者の数自体が今後は減少もしてしまいます。そのため、これらを期待してさらなる労働力増加を実現することは難しいと考えられます。
そうすると、頼みの綱は機械化やAIです。実際、ここ最近はセルフレジや配膳ロボが増え、時折、無人店舗や自動調理器も見かけるようになりました。AIによる自動発注なども取り組みが進んでいるようです。
したがって、これらは人手不足問題解消に一定の影響を及ぼすと考えられます。
ただし、機械化やAIはあくまで人がこなす作業の一部を代替するに過ぎないという根本的問題があります。そのため、機械化やAIによって、人が完全に必要なくなるということではありませんし、人と同じ作業を完全に出来る訳でもありません。
このように見てくると、昨今の人手不足問題については、残念ながら抜本的な解決策は存在しないと考えられます。
したがって、まずは各自の置かれた労働環境の中で、どのようにしてこの人手不足問題に対応していくのかが大きな課題となります。最近では、賃上げにより労働者の採用に繋げ、離職を阻止しようという動きも大きくなっていますが、多くの企業が賃上げをするようになると、単に賃上げをしただけでは人材確保もできなくなることも明らかです。
そう考えると、自社で何ができるのか、徹底して考え抜いて実践をしないことには、人手不足問題のために廃業せざるを得ない事態が起きかねません。当事務所においても今後の持続的発展のためにこの人手不足問題を真剣に考えているところです。