「損をしたくない」という心理について

人間には誰しも「損をしたくない」という心理があります。

自分に取り分けられた料理と他人に取り分けられた料理とで大きさが違ったりするのは通常、誰しも好みません。

自分で選べるなら「多い物」「大きい物」「新しい物」を選ぶ傾向にあるでしょう。

こうした心理は万国共通だと思いますが、いざ具体的に「どこからが損で、どこからが得なのか」の判断は実は難しいことがあります。私は、以下のような経験をし、このことを強く意識するようになりました。

とある宿泊先ではモーニングが有名で、A、B、Cという5つのモーニング会場があるくらいです(実際にはもっとあるのですが、ブログなので少し端折ります)。

これら会場はいずれも個性があり、内容も料金もバラバラです。

特にAについては朝食付きの一般的な宿泊代に加えてプラスアルファの料金が必要です。内容も特別感満載で、朝からゴージャスな気分に浸れること、知人友人に自慢できること間違いない内容です。

他方でBはいわゆる和食と朝食の「オーソドックス」なビュッフェモーニングで追加料金なく、選べます。

最後のCについては、ビュッフェではなく、和朝食のお膳で、(モーニングだけ食べに来たお客様への)設定料金上はBよりもさらに安いモーニング料金なのですが、Cを選択しても宿泊料金からの割戻はありません。

さて、人間の持つ「損をしたくない」という心理に照らすと、一泊朝食付きのプランで宿泊をした顧客はどのモーニングを選ぶことが多いのでしょうか?

この点、「普通」に考えるとBが一番多い!と思われそうです。私も予約の時点ではそう考えていました。

ところが、実際にはAが一番多いという結論でした。A、B、Cの会場の人数が大違いで、Aは(朝から)行列、Bはほどほぼ、Cはガラガラだったのです。

これは「損をしたくない」という心理が、このケースでは多くの人が「プラスアルファを払ってでも本当に美味しい、ここでしか食べられない人気のモーニングを食べないと損!」という状況になっていることを意味します。

そして、このような状況にまで持って行けるのは、このAというモーニングが内容面等において非常に魅力があるものであり、かつその宣伝にもうまく成功しているからだと思います。「○○のホテルのAモーニングは(追加料金を払ってでも)食べなきゃ損!」と大衆をして思わせしめているのです。

他方で、Cがガラガラなのは「損をしたくない」という心理そのものだと言えます。宿泊料金の割戻がある訳では無い中で、割安なCを選ぶ方は多くないということです。

さて、こうした人間の「損をしたくない」という心理ですが、やはり物事によって何を損と捉えるか非常に複雑で面白いものだと痛感しました。

私はこの経験を活かして、「プラスアルファを支払ってでも」依頼したい弁護士を目指そうと思いました。

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