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法律の庭

交際相手(不倫相手)が別れてくれない場合の法律問題について

【目次】

1 交際相手(不倫相手)が別れてくれない場合の法律問題

2 交際関係の法律上の位置づけ

 ⑴お互い未婚同士で婚約関係にない場合

 ⑵お互いが未婚同士で婚約関係にある場合

 ⑶お互いもしくは一方が既婚者である場合

3 交際関係終了と法律上の問題点

 ⑴お互い未婚同士で婚約関係にない場合

 ⑵お互いが未婚同士で婚約関係にある場合

 ⑶お互いもしくは一方が既婚者である場合

4 交際相手が別れることに応じてくれない場合の対処について

【本文】

1 交際相手(不倫相手)が別れてくれない場合の法律問題

 自分と交際関係にある彼氏や彼女もしくは不倫相手との関係を終了したいと考え、交際の終了を持ちかけたものの、彼氏や彼女もしくは不倫相手がこれに応じてくれないので困っているというケースが少なくありません。

 こちらからの交際終了に応じてくれないだけでなく、しつようにメールやLINEを送信してきたり、手紙を送付してきたり、自宅や職場を訪れたりといった行動にでることも少なくないため、次第にトラブルがエスカレートしていくこともよくあります。

 では、こうしたケースに対して法律上はどのような解決が可能なのでしょうか。そもそも交際関係の法律上の位置づけを踏まえてご説明いたします。

 

2 交際関係の法律上の位置づけ

 ⑴お互い未婚同士で婚約関係にない場合

 お互いが未婚同士であり婚約前の場合には、いわゆる自由恋愛の中で交際関係を持つことになるため、関係を終了することもまたお互いの自由です。

 この自由恋愛とはすなわち、恋愛関係を維持するか破棄するかは各自の自由である以上、お互いが恋愛関係を始めること、維持することに合意している限りは、交際関係は継続するが、お互いもしくは一方が破棄することを希望した時点で恋愛関係は終了することを意味します。

 すなわち、お互いが未婚同士であり婚約前の場合には、交際関係について何らの法的拘束力もないということです。

 

 ⑵お互いが未婚同士で婚約関係にある場合

 では、お互いが未婚同士で婚約関係にある場合はどうなるでしょうか。

 これはすなわち、婚約の成立を前提とした法律問題となります。この点、婚約がどのような場合に成立したといえるかや、婚約破棄による慰謝料の問題については別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

 

「婚約破棄により慰謝料を支払わないといけない場合とその相場について」

https://kakehashi-law.com/modules/terrace/index.php?content_id=65

 

 婚約が成立している場合には、成立していない場合と比較し、法律上の保護が及ぶ関係にある点で大きな違いがあります。

 

 ⑶お互いもしくは一方が既婚者である場合

 この場合には、いわゆる不倫関係にあることから、不倫をしている当事者は、不倫をされている他方配偶者に対して不法行為責任を負うこととなります。

 すなわち、AはBと婚姻関係にあるところ、Cと交際関係に至っていればAとCはBに対して不法行為責任を負うこととなるのです。

 

3 交際関係終了と法律上の問題点

 ⑴お互い未婚同士で婚約関係にない場合

 上記のようにお互いが未婚同士で婚約関係にもない場合には、完全に自由恋愛の範疇であることから、理由の如何を問わずいつでも自由に交際関係の終了を求めることができます。これはすなわち、自分が交際を終了したいと思えば、相手方が何と言おうと、嫌だと言おうと自分の交際終了の意思表示のみで交際を終了できるということを意味します。

 時折、交際の終了を求めたものの相手が応じてくれないというケースがありますが、自分が交際の終了を告げた時点で交際は終了なので、それにもかかわらず相手方がしつように連絡を求めてきたり、自宅や会社に訪れてくることがあれば理由のない面会強要や住居侵入、建造物侵入、営業妨害などという法律問題に該当すると言えます。

 したがって、交際の終了を告げた後にこれらの行為が続くようでしたら法律に則って解決をすることが可能です。

 さらには、交際終了を告げたがために交際中の性的動画や写真をWEBやSNSに投稿するという行為はリベンジポルノ防止法に該当するのでこれによる制裁の余地もあります。

 なお、リベンジポルノ防止法については別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

 

「リベンジポルノ防止法に該当するケースについて」

https://kakehashi-law.com/modules/terrace/index.php?content_id=186

 

 ⑵お互いが未婚同士で婚約関係にある場合

 この場合には、上記で引用したページでも詳細を説明しているように、婚約破棄が不当なものと言えれば婚約破棄の慰謝料を請求する、される余地があります。

 婚約破棄が不当とは言えないにもかかわらず執拗に連絡をとってくるなどする場合には、前項で述べた通り、リベンジポルノ防止法を含めた法律問題となります。

 

 ⑶お互いもしくは一方が既婚者である場合

 この場合には、不倫をされた側の配偶者(B)との関係で損害賠償の問題が生じることとなります。それとは別に交際関係を終了するかどうかについては、婚約関係にない以上、お互いが未婚同士で婚約関係にない場合と同様の扱いとなります。

 

4 交際相手が別れることに応じてくれない場合の対処について

 上記のとおり、各交際の類型に応じ、異なる法律問題が生じることとなります。こうした法律問題を前提に、交際終了に応じてくれない、別れに応じてくれない相手に対して、弁護士を通じて交際終了通知を送り、場合によっては損害賠償の請求をすることも可能です。

 自分は交際を終了したくないとか、別れを告げられることに納得がいかないという相手方からの連絡や要求に対して弁護士を通じた適切な対処での解決が可能となります。

 

執筆者;弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更

 

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