離婚済みでも共同親権は可能?~2026年改正共同親権の弁護士解説~


この記事を書いた弁護士
代表弁護士 呉 裕麻(おー ゆうま)

出身:東京  出身大学:早稲田大学
2008年に弁護士登録後、消費者案件(出会い系サイト、占いサイト、ロマンス詐欺その他)、負債処理(過払い、債務整理、破産、民事再生)、男女問題(離婚、不倫その他)、遺言・遺産争い、交通事故(被害者、加害者)、刑事事件、インターネットトラブル(誹謗中傷、トレント、その他)、子どもの権利(いじめ問題、学校トラブル)、企業案件(顧問契約など)に注力してきた。
他にも、障害者の権利を巡る弁護団事件、住民訴訟など弁護団事件も多数担当している。

*近場、遠方を問わずZOOM相談希望の方はご遠慮なくお申し出ください。


このコラムについて

2024年5月に改正民法が成立し、2026年(令和8年)4月1日より「共同親権」制度が導入されることになりました。

これまでの日本の法律では、離婚後は単独親権のみでした。そのため、この度の法改正は夫婦関係や親子関係に悩む多くの方にとって、非常に大きな変化をもたらします。

そうした中、この法改正の報道やニュースを聞いて、
「すでに離婚済みだけれど、共同親権を持てるのだろうか?」
「共同親権の主張をされたらどうしたら良いのか?」

と疑問やご不安をお持ちの方も多いでしょう。いつ、どのようなわけで制度が適用されるのか、正しい知識確認しておくことが重要です。
当事務所では、これまでも離婚後の親権変更や面会交流(法改正後は親子交流と呼ばれます)に関するご相談を多数お受けし、男性・女性問わず多くの方からご依頼をいただいております。

本コラム記事では、既に離婚されている方に向けて、最新の情報に基づき制度の概要流れメリット・デメリットについて、一覧でわかりやすく解説します。

その際、共同親権が実現するのはどのような場合か、またどのようにしたらこれを拒否できるのかを実際の条文(および改正要綱に基づく内容)を引用しながら詳しく解説します。

1 共同親権とは何か?

⑴共同親権について

共同親権とは、離婚後も父母双方が親権者となり、協力して子供を育てる制度です。

これまでの「単独親権(どちらか一方)」に加え、新たに「共同親権」が選択できるようになります。

⑵共同親権の行使方法について(改正民法 第824条の2)

共同親権となると、子育てに関する決定はどうなるのでしょうか。

改正法では、原則として「共同行使」ですが、例外的に「単独行使」ができる場合が条文で指定されています。

条文上は以下のとおり定められています。

【改正民法 第824条の2(親権の行使)】

父母が共同して親権を行う場合において、監護及び教育に関する日常の行為については、父母の一方が単独でその親権を行うことができる。
⑵ 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、父母の一方が単独でその親権を行うことができる。
 一 他の一方が親権を行うことができないとき。
 二 子の利益のため急迫の事情があるとき。

以上を整理すると以下のようになります。なお、「3 どこまで話し合う?「共同決定」と「単独決定」の境界線」でも詳細に解説を加えます。

⚫︎日常の行為(単独OK): 食事、習い事、軽微な医療など。
⚫︎急迫の事情(単独OK): DVからの避難や、緊急手術など。
⚫︎重要な事項(共同必須): 進学、転居、手術、養子縁組などは、適切な協議のうえで父母の合意が必要です。

2 共同親権のメリット・デメリットは何か?

⑴メリット

⚫︎親子交流の促進: 法律上も親としての地位が維持されるため、交流が継続しやすく、精神的なつながりが保たれやすくなります。
⚫︎養育費確保: 養育費の支払いは親の義務であり、責任の明確化がされます。これに加え、新設される「先取特権」や「法定養育費」が合わさることで支払いが促進されることが期待されます。

⑵デメリット

⚫︎決定の遅れ: 意見対立時に進学や転居がスムーズに決まらないリスクがあります。
⚫︎関係継続の負担: DV等の事情がある場合、不適切な干渉が続き、日々の生活に支障をきたす恐れがあります。

3 どこまで話し合う?「共同決定」と「単独決定」の境界線

「共同親権になると、いちいち元配偶者の許可が必要になるのか?」という不安をお持ちの方も多いでしょう。

改正法では、共同で決めるべき事項と、単独で決められる事項が整理されています。

⑴父母の合意が必要な「重要事項」

子どもの利益に直結する以下の事項は、原則として共同で決定します。

⚪︎ 進学先の決定(高校・大学選びなど)
⚪︎ 居所の変更(転居・引っ越し)
⚪︎ 重大な医療行為(手術など)
⚪︎ 法律行為への同意(携帯電話の契約、再婚時の養子縁組など)

⑵単独で判断できる「日常の行為」と「急迫の事情」

一方で、以下の事項は同居親(監護親)などが単独で決定できます。

⚪︎ 日常の行為: 毎日の食事、服装、習い事、ワクチン接種、風邪の受診、短期間の旅行など。
⚪︎ 急迫の事情: DVや虐待からの避難、緊急手術など。

⑶再婚時の注意点(養子縁組)

特に注意が必要なのが、ご自身が再婚し、お子様と再婚相手とを養子縁組させたい場合です。

養子縁組は「法律行為」にあたるため、共同親権下では元配偶者(もう一人の親権者)の同意が必要となります。

同意が得られない場合は家庭裁判所の判断を仰ぐことになり、再婚後の生活設計に影響が出る可能性があります。

⑷既に離婚している場合の共同親権の可否(改正民法 第819条)

新しい制度が施行されれば、法改正以前に離婚をしていたケースも含め、共同親権への変更が可能となります。

すなわち、改正法の施行日(2026年4月1日予定)より前に離婚し、単独親権となっている場合でも、施行後に家庭裁判所へ申し立てることで共同親権に変更できるのです。

その判断基準となるのが、改正民法 第819条です。以下、解説をします。

① 親権者変更の原則(第819条 第6項)

家庭裁判所は、父母の申立てにより、単独親権から共同親権への変更を審判することができます。ただし、無条件ではありません。

【改正民法 第819条 第6項(概要)】
家庭裁判所は、子の利益のために必要があると認めるときに限り、親権者を変更(単独から共同へ)することができる。

② 判断における考慮要素(第819条 第7項)

裁判所が「子の利益」を判断する際、以下の事情を考慮しなければなりません。

【改正民法 第819条 第7項(概要)】
共同親権に変更すべきかを判断するにあたっては、以下の事情を考慮する。
 一 父母と子との関係
 二 父と母との関係その他一切の事情

③ 必要的単独親権(共同親権が認められないケース)(第819条 第7項ただし書き)

以下の事情がある場合、裁判所は共同親権への変更を認めず、単独親権のままとしなければなりません。

【改正民法 第819条 第7項ただし書き(概要)】
次に掲げる事情があるときは、単独親権としなければならない。
 一 父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。
 二 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(DV)を受けるおそれの有無、親権に関する協議が整わない理由などを考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。

④ 既に離婚している場合の特則(第819条 第8項)

既に離婚して親権者が決まっているケースでは、さらに過去の経緯も審査されます。

【改正民法 第819条 第8項(概要)】
親権者の変更を申し立てる前の親権者が、父母の協議により定められていた場合には、さらに以下の事情を考慮する。
 一 親権者を定めた父母の協議の経過
 二 親権者を定めた後の事情の変更
 三 その他の事情

つまり、離婚時にDVが原因で協議が難航した経緯(暴力等の有無、調停やADRの利用有無、公正証書の有無など)や、公正証書で「今後も単独親権とする」といった合意があった場合は、共同親権への変更が難しくなる可能性があります。

共同親権への変更は申立てをすると必ず認められるわけではありません。裁判所は「子の利益」を最優先に考えるため、離婚調停や訴訟での過去のやり取り、DVや虐待を立証する書面や証拠資料をもとに判断します。その結果、裁判所が「共同親権は認めない」という方針を示すこともあります。いずれにしても共同親権への変更のために必要な要件を満たすかを事前にしっかりと確認すること、共同親権の問題に詳しい弁護士に相談や依頼をすることが大切です。

4 離婚後に共同親権を主張するメリット

離婚後も共同親権を主張することは以下のようなメリットがあります。

⚫︎法的な親子関係の再構築: 「親権がない」という疎外感を解消し、子育てに関与する権利を取り戻せます。
⚫︎子の利益(福祉)の実現: 改正民法766条でも「子の利益」が最優先と明記されており、両親からの愛情を受けることは子の健全な育成に資すると考えられます。

【参考:改正民法 第766条 第1項(親子交流等の取決め)】
父母が協議上の離婚をするときは、父又は母と子との交流(以下「親子交流」という。)及び子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

5 養育費の未払いを防ぐ「新制度」の導入

共同親権の導入と合わせ、養育費の不払いを防ぐための強力な制度が整備されます。たとえ相手と関わりたくない場合でも、子どもの権利である養育費は確保されるべきです。

①「法定養育費」制度の創設

これまでは取り決めがないと請求が難しかった養育費ですが、改正法では離婚時に取り決めがなくても、法律で定められた最低限度額(子ども一人あたり月額2万円程度を想定)を請求できる権利が明記されます。

これにより、「話し合いができないから」と諦めていたケースでも最低限の保障が得られます。

②「先取特権(さきどりとっけん)」の付与

養育費には「先取特権」が付与され、公正証書や判決がなくても、合意した書面があれば、他の債権者より優先して相手方の給与や預貯金を差し押さえられるようになります。

現時点では、子ども1人あたり月額8万円までが優先回収の対象となる見込みです。

③強制執行の「ワンストップ化」 

相手の財産調査(勤務先や口座の特定)と差押えの申立てを1回の手続きで行えるようになり、逃げ得を許さない仕組みが強化されます。

6「面会交流」から「親子交流」へ・祖父母との面会も

さらに、今回の法改正により、これまでの「面会交流」は「親子交流」へと名称が改められます。

その改正の趣旨を以下、ご説明いたします。

①交流の多様化

「面会」という言葉が持つ「会う」イメージを超え、手紙、オンライン通話、SNS、宿泊など、多様な関わり方が推奨されます。

②親族(祖父母など)との交流

これまで法的根拠が曖昧でしたが、子の利益のために「特に必要がある」と認められる場合は、祖父母や兄弟姉妹との交流も家庭裁判所が定められるようになります。

7 共同親権を「勝ち取る」または「拒否する」ための準備

2026年の施行に向け、今の立場に応じて準備すべき証拠や記録が異なります。

【共同親権を希望する方(勝ち取りたい方)】

⚫︎子育て実績の記録: 学校行事への参加記録、写真、子どもへの手紙などを整理する。
⚫︎具体的な計画の提示: 離婚後の養育費分担や緊急時の連絡方法など、共同養育の具体的な計画案を作成する。
⚫︎面会交流の実績: 継続的に子どもと会い、良好な関係を築いている実績を作る。

【共同親権を回避したい方(単独親権を維持したい方)】

⚫︎ DV・モラハラの証拠保全: 録音、メール、医師の診断書、警察への相談記録などを確保する。過去にDVがあった事実は、単独親権とするための重要な判断要素となります。
⚫︎監護実績の記録: ご自身が主体的に育児を行ってきた日記や記録を残す。

・なお、配偶者による不倫は夫婦間の慰謝料の問題であり、共同親権の適否の問題とは異なる点、ご注意ください。

8 共同親権争いのために弁護士にできること

⑴当事務所のサポート内容

離婚後に共同親権への変更を勝ち取るには、改正民法819条の要件(子の利益、DVのおそれがないこと等)を満たすことを、証拠に基づいて主張する必要があります。

私たち弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所では、以下のサポートを行います。

①条文に基づく主張・立証

「監護の継続性」や「現在の親子関係(819条7項1号)」を分析し、共同親権が子の利益になることを裁判所に説得的に伝えます。

②「協議の経過」の整理(819条8項対策)

離婚時の経緯を整理し、現在は共同親権が可能であること(共同親権を求める場合)もしくは不可能であること(単独親権を求める場合)を主張、立証します。

③「50分間」の丁寧な法律相談

当事務所では、お客様のお話を十分にお聞きするため、一般的な30分相談ではなく「50分間」の相談枠を確保しています。

⑵当事務所における親権争いの実例

当事務所では、一般的に母親が有利とされる親権争いにおいて、父親側での親権獲得や、離婚後の親権者変更など、難易度の高い事案での解決実績があります。

以下、順にご紹介します。

①【離婚時】夫が親権を獲得した事例

離婚に際し、妻側と親権を争った結果、夫(依頼者)が親権者として認められた事例です。

  • 概要: 別居する際、夫が子ども(5歳未満の男女各1名)を連れて実家へ戻りました。その後も夫側で安定して子どもの監護(世話)を継続しました。
  • 解決のポイント: 「監護の継続性」が重視されました。別居後も夫が安定して子どもを育てていた実績が評価され、最終的に妻が親権を譲る形で解決に至りました。

②【離婚後】元妻から元夫への親権者変更を実現した事例

離婚時に元妻が親権者となりましたが、離婚後に元夫(依頼者)へ親権者を変更することに成功した事例です。

  • 概要: 親権は元妻が持っていましたが、その後、子どもの意向によって元夫と子どもが同居を始めました。これを機に元夫が親権者変更の申立てを行いました。
  • 解決のポイント: 家庭裁判所の審判において、子どもの意向と「現在の監護状況(元夫が実際に育てていること)」が尊重され、親権者の変更が認められました。あわせて、元夫が養育することを前提に、養育費の支払いについても調整が行われました。

③【別居中】夫が監護権を取得し、妻からの引き渡し請求を拒否した事例

離婚成立前の別居中に、妻から「子どもを引き渡せ」と要求されたものの、夫(依頼者)による監護(一緒に暮らして育てる権利)が認められた事例です。

  • 概要: 妻から子の引き渡しを求められましたが、夫は別居の前後を通じて子どもの日常の世話を十分に行っていたことを主張しました。また、妻との面会交流についても積極的に実施しました。
  • 解決のポイント: 裁判所の調査により、夫による現状の監護状況に何ら問題がないとの判断を得ることができ、妻からの引き渡し請求を断念させることに成功しました。

④【特殊事情】元妻への親権引き取り(変更)を実現した事例

自分が親権者である状況から、相手方(元妻)に親権を引き取ってもらう(変更する)ことを実現した事例です。

  • 概要: 元夫(依頼者)が親権者でしたが、元妻に親権の引き取りを求めました。元妻側は当初「親権変更には応じない」と主張していましたが、調停を通じて交渉を行いました。
  • 解決のポイント:元夫と子どもの関係が養子縁組(養親と養子)の関係であったケースです。調停における粘り強い交渉の結果、親権変更(元妻への変更)の合意が成立しました。

⑶当事務所の解決事例から見える特徴

上記の各解決事例からは、当事務所が以下の点に強みを持っていることが明らかです。

①「監護の継続性」の重視

性別(母性優先)だけでなく、「現在誰が安定して育てているか」という実績を法的に主張し、父親側での親権・監護権獲得を実現しています。

②子どもの意向の尊重

離婚後の親権者変更において、子どもの意思や生活実態の変化を的確に裁判所に伝え、変更を勝ち取っています。

③面会交流の活用

親権争いにおいて、相手方との面会交流を拒絶するのではなく、積極的に実施することで「寛容な親」としての適性を示し、有利な判断を引き出しています。

これらの実績は、2026年から導入される「共同親権」や、それに伴う「親権者変更」の事案においても、強力なノウハウになると考えています。

⑷最後に

共同親権制度というまったく新しい制度の導入にご不安を感じていらっしゃる方はご遠慮なく当事務所にお問い合わせください。

当事務所では法改正前からの実績を踏まえ、最新の法改正状況にも正しく対応できるように研究を重ねています。

そうした実績の上で私たちは、「問題解決の架け橋」として、あなたのお悩み解決の味方であり続けます。

【弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所】

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相談料:初回 5,500円(税込)/50分(無料相談、電話相談は実施しておりません。)
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