6月24日付で弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所が破産手続開始決定を受けたとのことです。報道によれば、負債総額は約50億円となっています。同事務所に所属していた弁護士は5名で、今月10日には法人の解散手続きが進んでいたようでもあります。事業展開としては全国にCMを打って、過払い請求やB型肝炎請求訴訟を手掛けていたとのことです。また、弁護士法人や弁護士個人が所属する弁護士会に支払う弁護士会費についても滞納になっていたようで、これを受けて所属する弁護士会から破産申し立てをしていたところ、東京地裁から破産手続開始決定を受けたようです。
以上の報道内容を踏まえると、いろいろと気になる点が浮かび上がってきます。
第1に、負債総額約50億円とのことですが、法律事務所の負債総額としてはかなり多額です。大規模なTVCMを行っていたとしてもこれだけの負債になるとは考え難く、従業員に対する未払い賃金や、ひょっとすると顧客に対する未払い清算金(例えば回収した過払い金の未精算分など)が相当蓄積していた可能性があると思います。
第2に、既存の依頼者についてですが、案件処理が終了しているような事案であれば、清算してもらうはずのお金(回収した過払い金や弁護士法人が受け取って未精算のB型肝炎給付金など)について、破産手続の中で処理されることとなり、現実問題としては依頼者の手元に返って来ない可能性があります。
第3に、既存の依頼者のうち、案件処理が未了ないし中途の事案であれば、同事務所との委任契約を解消し(一応、法律上は破産により当然に解約解任となります。民法653条2号)、新たに弁護士を選任していくことで案件処理を引き継ぐことが可能です。
以上のような次第ですから、ひょっとして同事務所に依頼中の方は、ご自身の案件処理や費用がどうなるのか、ご確認の上、早急にご対応頂いた方が良いかと思います。
当事務所でもご相談対応をすることとしています。
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