いま流行りのあっせん利得処罰法です。
「収賄罪と何が違うの?」
「あっせん収賄罪というのもあるらしいけど?」
そんな声がそこかしこから聞こえてきます。
(1)収賄罪(単純収賄罪ともいいます)は、公務員が、その職務に関し賄賂を受けることを罪とするものです。
(2)あっせん収賄罪は、公務員が、依頼を受けて他の公務員に職務上、不正行為のあっせんなどをし、そのことの報酬として賄賂を受け取ることを罪とするものです。
(1)は、賄賂を受け取る人が、自らの職務に関して受け取ることが必要です。
(2)は、賄賂を受け取った人が、他の公務員の職務に関して不正行為のあっせんをすることが必要です。
要するに細かい点を省いて説明すると、自分の職務に関し賄賂を受け取ると(1)、他人の職務に関して働きかけをする前提で受け取ると(2)です。
これらと違い、「あっせん利得処罰法」は、国会議員などが、国の処分などに関し、依頼を受けて、自分の権限を行使して当該公務員にその職務をさせたりするなどし、報酬として財産上の利益を受けることを罪とするものです。
収賄罪と違い、主体が国会議員などと限定されていること、また、不正な報酬たる賄賂に限らず、財産上の利益であれば足りること、あっせん収賄罪と違い、不正行為に限定されていないことといった違いがあります。
言い換えると、国会議員等については、自分の職務に関し、正当な行為であっても対価を受けて口利きをしてはいけない、ということです。
今回の大臣の件では、金銭の授受があったことは明らかなので、大臣が自らの権限を行使して、担当の公務員に職務行為を行うよう指示するなどしたかどうか(=口利きの有無)が問題となっているのです。
URが建設会社に支払った補償金は、違法な金員ではないので(2)にいうところの不正行為のあっせんに当たらないと思います。
大臣が受け取った金員も、政治献金であれば、不正な対価たる賄賂ではないので(1)にも当たらない可能性が出ます。
そういう意味でも不正な対価か否か、不正行為をあっせんしたか否かを問わない「あっせん利得処罰法」が重要な意味を持つのです。
さて、この問題、きちんと落とし前を付けられるのでしょうか。