飲食店は、「仕入れた材料をもとにした飲食物」を、小売店は「仕入れた商品」を提供する仕事です。
その他、多くの事業では何らかの「仕入れ」をし、これを元にして事業が成り立っています。
他方で飲食店や小売店などと異なり、弁護士は、「目に見える何か」を売る仕事ではありません。
では、弁護士には「仕入れ」という考え方はあり得ないのでしょうか?
この点、弁護士という仕事はたしかに、「目に見える何か」を売る仕事ではありません。しかし、目に見えない「法律」を用いて目に見えない人々の権利実現を図るという仕事と言えます。
そして、法律は非常に多様多彩であること、常に新法制定や改正があること、法律の要件解釈については最高裁を始めとした裁判所の判例による解釈が多々展開されていることから、これらの知識を常に自分の物にしておくことが重要です。
また、弁護士の仕事は社会の出来事や人々のトラブルを前提として成り立っていることから、社会の出来事やトラブルにみまわれた人々の心情などを把握しておくことも重要です(社会の出来事や相談者や依頼者の心情を理解できない弁護士には依頼したくないはずです)。
そのためには多くの文献を購入し、触れておくこと、新法などのセミナーを受講すること、その他社会で問題となっている出来事や人々の考え方を知っておくことが必要です。そうして初めて弁護士として最適、最善の仕事ができます。
なので私は、弁護士にとっても「仕入れはある」と思っています。逆に、弁護士にとって「仕入れはない」という弁護士がもしいたとしたら、それはきっと、法律や判例、その他多くの社会情勢を勉強しない弁護士だと思います。