家裁の待合室で順番待ちの際、置いてあった書籍が気になり、開いてみました。村上龍さんの「新13歳のハローワーク」という書籍です。
初版は2003年で、置いてあったのは2010年の新版の方でした。
ベストセラーになったこともまったく知らなかったのですが、内容がとても面白かったので自分用にも購入してしまいました。
特に面白かったのは、はしがき。
村上さんが、職業選択について思いを綴っています。
自分に向いていることを職業にするべきであり、それが見つかるのはだいたい28歳前後。それまで、13歳から数えると15年という十分な時間があるからその時間を有効に使って自分にとって向いている職業を選んで欲しい。
とのことです。
ご自身も28歳のころに、作家として生きていく決意が出来たとあります。
また、ご自身は、作家という仕事が「好きか」と聞かれると「そうではない。ただ、向いているとは思う。作家として長時間、長期間文章を書き続けたり、調べたりすることはまったく苦にならない。」とのことです。
とても興味深い言葉です。
一般的には、好きなことを職業に出来たら幸運だと言われたりしますが、村上さんは好きかどうかではなく、「向いているかどうか」で考えています。
その「向いている」仕事をいかにして見つけることができるか、出会えるかが非常に大切なことだということです。
私も弁護士という仕事をしていますが、向いているかどうかで言われると、「向いている」とは思います。好きかどうかでいうと、確かにどう答えようか考えます。
なるほど、職業選択の在り方について深く考え直しました。
結局、あるべき職業選択の流れは、
?自分に向いているかどうか(かつ好きであればなお良い)
(2)その職業をこなすだけの能力があるかどうか(どんなに向いている仕事でも、どんなに好きな仕事でも能力が不足すれば職業としては成り立たない)
(3)生活するに十分な収入(もしくは自分が望むくらいの収入)となるかどうか
が大切ですね。
(3)を最初に考えてしまうと長続きしなかったり、仕事に対する不満ばかりが出るかもしれません。
やはり、?において、ふさわしい職業を選択できていれば、その人にとって長い目でみて充実した人生になると思います。きっと、?において、自分に向いている職業を見つけた人は、その職業に就くことを目指してきっと努力することでしょう。
そうすればおのずと、(2)の能力についてもついてくることでしょう。
私自身は、中学生のころに弁護士を志すようになりました。不条理が嫌いだったからです。ある意味で?を満たしています。その後、必死で勉強をしました。受験勉強は約10年です。毎日10時間以上、歩いている時も電車に乗る時も、お風呂でもトイレでも勉強をしました。やはり、(勉強は大変でしたし、楽ではありませんでしたが)向いていたのだと思います。
その結果、何とか(2)能力が備わって、弁護士になることができました。
職業選択というのはとても奥が深いと感じます。