トレントの開示請求は1人あたり何通届くのか(依頼者データ1,370名分の集計)

ネット誹謗中傷

この記事を書いた弁護士
代表弁護士 呉 裕麻(おー ゆうま)

出身:東京  出身大学:早稲田大学
2008年に弁護士登録後、消費者案件(出会い系サイト、占いサイト、ロマンス詐欺その他)、負債処理(過払い、債務整理、破産、民事再生)、男女問題(離婚、不倫その他)、遺言・遺産争い、交通事故(被害者、加害者)、刑事事件、インターネットトラブル(誹謗中傷、トレント、その他)、子どもの権利(いじめ問題、学校トラブル)、企業案件(顧問契約など)に注力してきた。
他にも、障害者の権利を巡る弁護団事件、住民訴訟など弁護団事件も多数担当している。

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・はじめに

トレントの利用に伴い、プロバイダーから『発信者情報開示に係る意見照会書』や『開示命令が発令された旨の通知書』を受け取り、不安に駆られネットで調べると、以後もそれらが次々と届くケースがあることを知ることになります。

そのこともあり、弊所ではトレント問題の利用者側代理人として、当初から

■「ログ期間の待機」

■「何通の開示請求が届くかの確認を経ての方針確定」

を掲げ、実践してきています。

当然、ご相談者様、ご依頼者様からは

自分には今後、何通の意見照会が届くのか?

というご不安の声をお聞きし続けています。

そうした悲痛な叫びに少しでも応えられるよう、今回は弊所の過去の取り扱い事例を数値化し、出来る限りの情報をご提供することといたしました。

当然、まだ継続中の案件も多数含まれていることから、この数値は一定のタイミングにおける数値にとどまります。

とはいえ、現時点における一番信用性のおける数値なのではないかと自負しています。

このデータを読み取って、まずは落ち着いて以後の対処を決めていただけますと幸いです。

この調査でわかったこと

当事務所の依頼者1,370名が受け取った『発信者情報開示に係る意見照会書』・『開示命令が発令された旨の通知書』は、合計4,344通でした。1人あたりの平均は約3.2通、中央値は2通です。

【詳しい数値】
  • ・1通のみの方:633名(約46%)
  • ・2通以上届いた方:737名(約54%)
  • ・10通以上届いた方:71名(約5%)

届く通数には大きな個人差があり、「1通で終わる」とも「必ず多数届く」とも言えません。

なおかつ、この数字は2026年8月末時点の集計結果であり、今後届く通数を予測するものではありません。

調査の概要

集計の前提は次のとおりです。

■ 対象:当事務所が受任したトレント案件の依頼者のうち1,370名分。

■ 集計した書面:プロバイダから届く「意見照会書」と、「開示命令が発令された旨の通知書」です。

■ 集計時点:2026年8月末です。

■ 集計方法:依頼者ごとに受領した書面の通数を数え、平均値・中央値・分布を算出しました。

■ 受任時期:古い案件から最新の案件までを含みます。古い案件は数年前からの継続案件であり、最新の案件は今年8月受任の案件も含みます。

 ※ 個人が特定されないよう、公表するのは集計値のみです。

1人あたりの受領通数

1人あたりの平均受領通数は約3.2通、中央値は2通でした。最少は1通、最多は100通近くにのぼります。

受領通数依頼者数(名)割合
1通63346.2%
2通27420.0%
3通13710.0%
4〜5通13810.1%
6〜9通1178.5%
10通以上715.2%
合計1,370100.0%

1通に留まっている方が5割弱ですが、受任して間もないケース(初めて意見照会が届いたばかりのケース)がそれなりに含まれることに注意が必要です。

逆に、5割以上の方は2通を超える意見照会等を受領していることがわかります。

平均(約3.2通)が中央値(2通)を上回っているのは、数十通届いた少数の方が平均を押し上げているためです。

「平均が約3.2通」という数字だけを見て、ご自身も同程度届くと考えるのは適切ではありません。分布全体をご覧ください。

届く書面の内訳

4,344通の内訳は、意見照会書が2,885通(約66%)、開示命令が発令された旨の通知書が1,459通(約34%)でした。

『開示命令が発令された旨の通知書』はソフトバンクから届くものであり、ソフトバンクを相手方とする開示請求がかなりの割合を占めていることがわかります。

実際、プロバイダー別で計数するとソフトバンクがダントツの1位となります。そのため、ソフトバンクをプロバイダーとしているトレント利用者の方は、開示命令が発令された旨の通知書を受け取る率が他のプロバイダーよりも相当高いとご認識ください。

制作会社別の状況

通数の多い上位10社は次のとおりです。

制作会社通数該当依頼者数(名)依頼者全体に占める割合
SODクリエイト45335425.8%
プレステージ41425918.9%
CONT39022816.6%
ナチュ25315711.5%
ケイ・エム・プロデュース1921299.4%
ベンハー1721188.6%
桃太郎1601359.9%
Plum1441007.3%
三和出版136685.0%
グルーヴ・ラボ1341138.2%

最も該当者が多いSODクリエイトでも、依頼者の約26%(約4人に1人)です。届く制作会社は人によって異なり、当然、複数社から届いている方もいます。

このデータの読み方と限界

この数字は、次の点に注意してお読みください。

1.当事務所の依頼者のデータです。

 開示請求を受けた方全体の分布ではありません。複数通届いて不安になった方ほど弁護士に依頼する傾向があれば、実際より多く出ている可能性があります。

2.受任時期によって観察期間が異なります。

 受任から時間が経った方ほど、受け取った通数は多くなりがちです。受任年で区分している群(計467名)で見ると、2024年分(105名)は平均約5.2通・中央値3通、2025年分(159名)は平均約3.7通・中央値2通、2026年分(203名)は平均約2.5通・中央値2通でした。

現時点の通数は、最終的な通数ではありません。

個人差が大きい点にも注意が必要です。

利用していた期間や作品数、プロバイダ、権利者側の対応によって異なります。

相手方の代理人が複数の法律事務所にまたがる方(61名)は、中央値5通・平均約8.7通と、全体より多い傾向がありました。

※ これh今後の予測ではありません。 権利者側の対応は変わり得るため、過去の分布が今後も同じとは限りません。特に2025年よりも2026年は開示請求命令の申立件数が倍増しているとみられます。

「今後何通届くか」をどう考えるか

このデータから言えるのは、次の3点です。

複数通届くことは珍しくなく、約半数の方に2通以上届いています。

一方で、約半数の方は1通で済んでいます。

通数の幅は非常に広く、10通以上届く方もいます。

そのため、

あなたには◯通届きますよ

という目安を一つの数字でお示しすることはできません。

目安を考えるときは、

① 最初の書面を受け取ってからの経過期間

② 契約しているプロバイダのログ保存期間

③ すでに届いている書面の数や制作会社の数

といった個別の状況を踏まえる必要があります。ログ保存期間は、プロバイダによって1年未満から2年以上まで異なります。

当事務所は、プロバイダのログ保存期間の経過を待ち、追加の開示請求の有無を見極めたうえで、示談の当否を判断する方針を基本としています。

届いたものから順に示談していくと、その後に別の制作会社から請求が届いた場合に、総額が見えにくくなるためです。この集計も、その考え方の裏付けの一つです。

開示請求を受けた方へ

書面が届いたときは、次の点を整理してください。

① 書面の種類(意見照会書か、開示命令の通知書か)、日付、差出人、回答期限

② すでに届いた書面の数と、制作会社名

③ 利用していたプロバイダ

意見照会書には通常1〜2週間程度の回答期限があり、放置はお勧めできません。

一方、示談するかどうかは、状況を整理してから判断することが大切です。

当事務所では、次の窓口をご用意しています。

リーガルレスキュー(無料)

LINEまたはお電話で、事務局が状況をお伺いし、弁護士が「今は様子を見てよい状況か」「弁護士への相談を検討すべき状況か」について簡易な見立てをお伝えします。

弁護士による法律相談(有料)

30分22,000円(税込)です。ご依頼の際は着手金に充当します。詳細は費用のご案内をご覧ください。

デジタルコンシェルジュ(無料・AIチャット)

当事務所の掲載記事をもとに、AIが一般的な情報をお答えします。回答は参考情報であり、弁護士による個別の法律相談ではありません。

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よくある質問

Q1. 通知書は1通で終わりますか。

当事務所の依頼者では、約46%が1通でした。一方、約54%の方には2通以上届いています。1通で終わるかどうかは、事前には分かりません。

Q2. 最終的に何通届くか、事前に分かりますか。

分かりません。この集計は、これまでに届いた通数を示すもので、今後の予測ではありません。プロバイダのログ保存期間や、これまでの届き方などを踏まえて、個別にご相談ください。

Q3. 同じ制作会社から何通も届くことはありますか。

あります。上位の会社では、該当する依頼者1人あたり約1.3〜1.7通でした。

Q4. 通数が多いと、訴訟になりやすいのですか。

今回の集計では、通数と訴訟の関係は調べていません。通数が多いかどうかだけで判断することはできません。

Q5. まず無料で相談できますか。

リーガルレスキュー(LINE・お電話)で、状況の簡易な確認を無料で受け付けています。

※本記事は、当事務所の依頼者データの集計に基づく一般的な情報です。個別の事案についての法律相談・助言ではありません。

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