
この記事を書いた弁護士
代表弁護士 呉 裕麻(おー ゆうま)
出身:東京 出身大学:早稲田大学
2008年に弁護士登録後、消費者案件(出会い系サイト、占いサイト、ロマンス詐欺その他)、負債処理(過払い、債務整理、破産、民事再生)、男女問題(離婚、不倫その他)、遺言・遺産争い、交通事故(被害者、加害者)、刑事事件、インターネットトラブル(誹謗中傷、トレント、その他)、子どもの権利(いじめ問題、学校トラブル)、企業案件(顧問契約など)に注力してきた。
他にも、障害者の権利を巡る弁護団事件、住民訴訟など弁護団事件も多数担当している。
このコラムについて
このコラムでは、離婚問題に詳しい弁護士の視点から、2026年より施行される共同親権制度と切っても切れない関係にある「養育費」について、新設される制度も含めて解説するコラム記事を作成いたしました。
共同親権は、離婚後も父母双方が子育てに関わる制度ですが、多くの方が気にされているのが「お金(養育費)」の問題です。
「共同親権になると養育費はもらえなくなるの?」
「相手と関わりたくないけれど、養育費は払ってほしい」
こうした不安や疑問に対し、新設される「法定養育費制度」などの重要ポイントを含めて、離婚問題に詳しい弁護士が丁寧に解説します。
1 共同親権とは何か?
⑴共同親権について
これまでの日本の民法では、婚姻中は父母が共同で親権を行使し、離婚後はどちらか一方を親権者と定める「単独親権」制度がとられていました。
しかし、2026年4月1日の改正民法施行により、離婚時または離婚後に、父母の協議によって
「父母の双方(共同親権)」
「父母のいずれか一方(単独親権)」
のいずれかを選択できるようになります。
この制度は、離婚後も父母双方が適切な形で子育てに関わり、子どもの利益を確保することを目的としています。
【重要:DVや虐待がある場合の例外】
ただし、無条件に共同親権が選べるわけではありません。父母の一方による子どもへの虐待や、配偶者へのDV(暴力)のおそれがあり、共同して親権を行うことが困難と認められる場合、家庭裁判所は必ず「単独親権」としなければならないと定められました。
⑵共同親権下での「決め方」のルール
共同親権といっても、すべてのことを二人で話し合って決めるわけではありません。スムーズな子育てのため、重要度に応じて以下のように判断権限が整理されています。
日常的なこと(単独判断OK): 食事、服装、習い事、予防接種、風邪の治療などは、
同居している親(監護者)が単独で決定できます。
重要なこと(共同決定): 居所の変更(転居)、進学先の決定、手術などの重大な医療行為、
預金口座の開設などは、父母の合意が必要です。
緊急時のこと(単独判断OK): DVからの避難や、急病時の緊急手術などは、
単独で判断可能です。
意見が対立して決まらない場合は、家庭裁判所が判断することになります。
2 共同親権でも養育費の支払い義務はあるのか?
結論から申し上げますと、共同親権であっても養育費の支払い義務はなくなりません。
改正法では、親の責務として「子の心身の健全な発達を図るため(中略)その子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない」と明記されました(新設民法817条の12)。
共同親権になったからといって、自動的に生活費が折半になるわけではありません。子どもと同居して日常の世話をする親(監護親)に対し、別居している親など経済力のある側が養育費を支払う義務は継続します。
3 養育費の算定方法に変更はあるのか?
現時点での改正法情報に基づくと、基本的な考え方は変わりません。父母それぞれの収入や、子どもがどちらの親とどれくらいの時間を過ごすかといった事情を考慮して決定されます。
ただし、共同親権の導入により、例えば「2週間ごとに父母の家を行き来する(交代監護)」といった共同監護を行うケースでは注意が必要です。
子どもが養育費を支払う側(非監護親)の元で過ごす期間が増え、直接的な生活費(食費等)を負担している場合、その分だけ養育費算定表の金額が修正(減額)される可能性があります。
重要なのは、「共同親権=養育費ゼロ」ではないということです。あくまで「子の利益」のために、必要な費用を分担するという原則は揺るぎません。
4 養育費を取り決めなかった場合の法定養育費制度について
今回の法改正で最も注目すべき点の一つが、「法定養育費制度」の導入です。
これまで、離婚時に養育費の取り決めをしていなかった場合、改めて協議や調停を行わなければ請求が難しいという現状がありました。
しかし新制度では、取り決めがない場合でも、子ども一人あたり月額2万円(現在の省令案)を請求できる権利が法律で定められます。
これにより、「話し合いがまとまらないから養育費は諦める」といった事態を防ぎ、最低限の生活保障が確保されることになります。
なお、この制度は2026年4月1日以降に離婚した父母に適用されます。
5 養育費の先取特権とは?
さらに、養育費の支払いを確実にするため、養育費には「先取特権(さきどりとっけん)」が付与されることになりました。
先取特権とは、他の債権者よりも優先して弁済を受けられる権利のことです。
一般的に、給料や財産の差押えをするには裁判を起こして判決を得るなどの手続きが必要ですが、先取特権が認められることで、父母間で合意した書面があれば、公正証書などの債務名義がなくても、未払いがあった場合の回収手続きが可能になります。
【差押えの上限額について】
ただし、無制限に差し押さえられるわけではありません。先取特権に基づいて差し押さえができる金額には上限があり、現時点では「子ども1人あたり月額8万円」となる見込みです。
6 未払い時の対応(履行勧告と強制執行)
養育費が未払いとなった場合、いきなり「差押え(強制執行)」を行う以外にも、段階的な手段があります。
①家庭裁判所による「履行勧告」
家庭裁判所で取り決めをした場合、費用をかけずに裁判所書記官から電話や書面で「支払ってください」と督促してもらえる「履行勧告(りこうかんこく)」という制度があります。法的強制力はありませんが、これにより支払いが再開されるケースも少なくありません。
②強制執行と情報のワンストップ化
それでも支払われない場合は、給与や預貯金を差し押さえる「強制執行」を行います。 今回の改正で、以下の手続きが簡素化(ワンストップ化)されました。
財産開示手続(相手の資産を明らかにする)
情報取得手続(勤務先や口座を探す)
差押命令の申立て
これらを1回の申立てで行えるようになり、相手に資産を隠す時間を与えない仕組みとなります。
また、財産開示に応じない場合の刑事罰(6ヶ月以下の懲役等)も施行済みであり、逃げ得を許さない体制が強化されています。
7 その他の重要な改正点(親子交流など)
養育費だけでなく、子どもとの交流についても見直しが行われました。 これまで父母に限られていた交流ですが、改正後は祖父母や親族についても、子どもとの間に親しい関係があり必要があると認められる場合、家庭裁判所が交流を定めることができるようになります。
8 養育費に関する法改正内容のまとめ
2024年(令和6年)5月に成立した改正民法および、関連する民事執行法の主な改正ポイントを一覧表にまとめました。
政府の閣議決定により、多くの主要な制度(共同親権・法定養育費など)は 2026年(令和8年)4月1日 から施行されます。
9 共同親権で養育費について悩んだ際の弁護士相談のメリット
共同親権制度下での養育費問題は、監護の実態や収入差などが複雑に絡み合うため、当事者間での話し合いが難航することが予想されます。 弁護士に相談・依頼するメリットは以下の通りです。
①適正額の算出と交渉
法的な基準に基づき、あなたの状況に合わせた適正な養育費を算出し、相手方と交渉します。
②将来のトラブル予防
共同親権の場合、進学や病気などの際の費用負担でもめる可能性があります。これらを想定した詳細な合意書(公正証書など)の作成をサポートします。
③未払い時の回収サポート
万が一未払いが発生した場合、履行勧告の利用や、先取特権などを活用した差押え手続きを代理で行います。
10 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所の離婚問題へのスタンス
⑴「問題解決の架け橋」として依頼者に寄り添う
当事務所は「問題解決の架け橋に」をモットーに掲げ、不安を抱える依頼者の「味方であり続ける」ことを重視しています。
「相談して良かった」「依頼して良かった」と感じていただけるよう、法律の専門家としての知識と経験をフル活用し、解決へと導くことを最大の喜びとしています。
⑵「50分間」の丁寧な相談枠でじっくり話を聞く
離婚問題は個別の事情が複雑で、市役所等の20~30分の相談では説明しきれないことが多々あります。
そこで当事務所では、時間を気になさらず落ち着いてお話しいただけるよう、法律相談の時間を「50分間」確保しています。形式的な法律論だけでなく、ご納得いただけるまで相談に応じる体制を整えています。
⑶親権問題や法改正への高い専門性と実績
離婚・男女問題、特にお子様を巡るトラブルに注力しており、過去には父親側での親権獲得や、離婚後の親権者変更を実現した解決事例も有しています。
また、2026年施行の「共同親権」についてもいち早く実務的な検討を進めており、制度のメリット・デメリットを踏まえた上で、共同親権の獲得を目指す方、拒否したい方双方に対して最適なアドバイスを提供しています。
⑷話しにくい問題も解決へサポート
当事者間では解決が難しい離婚協議、DV被害、不倫問題など、人には相談しにくい悩みについても広く受け付けています。岡山・香川の両オフィスに加え、Zoomを活用した相談にも対応しており、距離を問わずサポートが可能です。
12 養育費に関する当事務所の解決事例
共同親権制度の導入以前の事例にはなりますが、当事務所における養育費解決事例を以下、ご紹介します。
【事例:離婚後に母親から父親へ親権変更し、養育費問題も解決した事例】
- 経緯 離婚時、夫婦間の取り決めで元妻を親権者としていました。しかし数年後、子どもの意向により、子どもが元夫(父)と同居を始めることとなりました。
- 対応 元夫側から弁護士を通じて家庭裁判所に対し、親権者変更の申立てを行いました。
- 結果 現在の監護状況(父親が実際に子どもを育てていること)が尊重され、家庭裁判所の審判において元妻から元夫への親権者変更が認められました。 これと併せて、「元夫が子を養育すること」を前提とした養育費の問題についても、適切な形で解決に至りました。 (通常、監護親が変更されれば、元夫から元妻への養育費支払いは停止し、逆に元妻から元夫への養育費支払いが発生する等の調整が行われます)
13 相談料について
弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、明確な費用体系を設けています。
当事務所では、お客様のお話を十分にお聞きするため、一般的な相談(30分)よりも長い「50分」の相談枠を設けています。
なお、無料相談、電話相談はお受けしておりません。
初回相談:5,500円(税込)/50分
※以降の延長は10分ごとに1,100円(税込)
2回目以降:5,500円(税込)/30分
