長期間の別居により離婚が認められることがあるのは事実です。長期間の別居という事実及び別居解消の見込みがないことをもって裁判所は、婚姻を継続し難い重大な事由があると判断をするためです。
その際、何年くらいの別居であれば離婚が可能かは婚姻期間に照らして判断される傾向にあり、婚姻期間が長ければ長いほど、離婚が認められるための別居期間も長期であることを求める傾向にあります。
他方で、婚姻期間が短ければ短期間の別居でも離婚を認めることになりやすいといえます。
とはいえ、婚姻期間が長期間(たとえば20年)だからといって、別居期間が10年ほどないと離婚を認めないということもなく、3分の1の7年前後あれば十分でしょうし、実際にはより短く3年から5年程度でも別居解消の余地がまったくないようであれば離婚を認めるものと思われます。
また、婚姻期間が3年程度の事案であれば1年程度の別居をもって離婚を認めることも十分にあり得ると思います。
よくある質問としては、「3年たてば当然に離婚できる」というものがありますが、あくまで婚姻期間に照らして、どの程度の別居であれば裁判所が離婚を認めるかという問題なので、3年たったら当然に離婚になるということはありません。
また、ここでいう別居というのは、離婚を念頭に置いた別居を意味するので、端に単身赴任で別居しているだけであったり、別に生活の本拠をもうけているが日ごろの連絡や交流はあるような場合であったりすると、離婚のための別居期間にはカウントされません。
執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所