【インターネット名誉棄損等(書き込みされた側)ネット誹謗中傷事例】

性的に乱れた人物かのようにあれこれ投稿されたことが名誉棄損になるかについて判断された事例

相談者:40代  女性
本件ではまず、ネット上の掲示板に「淫乱」「ヤリマン」「不倫している」などと多数投稿されたことが名誉棄損に該当するかが問題となりました。

また、投稿の対象者について、完全に個人の氏名が表記されていなくとも、依頼者に対する投稿であるものと認められるか、すなわち「同定可能性」も問題となりました。

その上で、投稿先の爆サイにIPアドレスの開示を求め、その後、プロバイダー(KDDI、ソフトバンクなど)に対して発信者情報開示請求訴訟を提起した事案です。

裁判所は、多数の投稿が、依頼者に対する投稿であると認定した上で、淫乱との投稿が、みだらな行いをほしいままに行い性的に乱れているという趣旨の投稿であると評価しました。

そして、かかる投稿は依頼者の社会的評価を低下させ、その名誉を棄損するものと認定しました。

その他の投稿も同様の判断方法にて名誉棄損の成立を認定し、各投稿の発信者情報開示を認めました。

投稿先掲示板 爆サイ.com
プロバイダー KDDI、ソフトバンクほか
投稿内容 淫乱、ヤリマン、不倫
侵害された権利 名誉権
結果 開示
掲示板への投稿は、投稿相手の名前をイニシャル表記、伏字、名前の一部のみにて表記することが多々あります。

そのような場合であっても、投稿先の掲示板が特定の会社やお店、地域のことを記載するスレッドになっているここと、一連の投稿の内容や流れが特定の個人を対象としていることなどといった事情に照らし、投稿の対象者を特定することが可能です。

本件では、そのような方法で同定可能性を肯定した上で、「淫乱」などとの投稿が、性的に乱れている人物であるとの評価をし、これらが結局、名誉棄損に該当するとしました。

ネット上の書き込みでは、書き込みした人物があえて投稿対象者を分かりにくくすることがありますが、周辺事情などから誰に対して投稿したものかを裁判所は綿密に認定をします。

当然、そのような判断を得るために綿密な主張と立証が必要になります。
弁護士法人 岡山香川架け橋法律事務所