【行政事件事例】

障害者に対する介護保険優先原則の適用は違法との判決を得た事例

相談者:60代  男性
65歳になるや否や、それまで受け続けてきた障害福祉サービスを一切不支給とした岡山市の処分に対して違憲、違法の主張をした事例です。いわゆる「介護保険優先原則」のあり方を巡って争いとなった事例です。

裁判の結果、岡山地方裁判所及び広島高等裁判所岡山支部は、以下の結論を認めました。

①本件不支給決定の取り消し、
②従前の重度訪問介護サービスとして支給されていた249時間から、本件不支給決定後に原告が介護保険を申請した結果支給されるに至った重度訪問介護サービスとして支給されるようになった153時間を差し引きした96時間の自立支援給付の義務付けを認め、
③本件不支給決定は国賠法上も違法であるとして慰謝料100万円を認容し、
④本件不支給決定がなければ原告には介護保険の自己負担は生じなかったのだから、提訴までの間に原告が支出せざるを得なかった5か月分の介護保険利用料75,000円も被告である岡山市が負担すべき原告の損害と認めました。

求めた内容 不支給決定の取り消しなど
結論 原告の請求を認容
解決までの期間 約5年
生まれ持っての障害ゆえに障害者自立支援法に基づく重度訪問介護を受けてきたところ、65歳を目前に、介護保険優先原則を理由として介護保険の利用を強要してきた事案です。原告は、従来からの障害者自立支援法に基づく重度訪問介護の利用を求めましたが、岡山市が不支給を強行したため、裁判に発展しました。裁判では、弁護団を組み、支援者と共に断固戦い、結果、原告の請求が認められました。

障害者の生きる権利を奪うような行政のあり方が問われた裁判でした。
弁護士法人 岡山香川架け橋法律事務所