逸失利益とは、事故により後遺症を負った場合、事故前と同じ労働ができなくなることからそのできなくなった割合に応じた賃金相当額を算定し、加害者やその保険会社に賠償してもらうことです。
要するに事故のせいで将来得られたはずの賃金を現時点で補償してもらうことです。
後遺症になるといくら治療を継続してもこれ以上回復の余地がないということなので、その程度に応じて労働能力に制限が出てしまうことからこのような補償を認めるのです。
大きな問題は、(1)将来分とは何歳までの分か、(2)計算の基礎となる賃金をどう算定するか、です。
(1)については通常は67歳までとすることが多いですが、それよりも早く定年となる場合、逆にもっと長く働く予定だった場合、67歳以降で事故に遭った場合など様々な問題があります。
(2)については現在の賃金を元に計算することが多いですが、将来の昇給の見込み転職の可能性についてどう算定するのか、逆に事故当時は無職だった場合にどうするのかなどの問題があります。
このように逸失利益と一言に言っても、様々な問題点があるので保険会社の提案をうのみにしないことが大切です。
執筆者;弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更