裁判にはどれくらい費用がかかりますか?
1 裁判にかかる費用について
「裁判をするためには多額のお金がかかる」
そのように思われている方が多いようです。たしかに裁判をするためには費用がかかります。では、その「費用」にはどのようなものがあり、それぞれいくらくらい必要なのでしょうか。
まず、裁判のための費用には、①裁判所に納める印紙代、郵便切手代、②弁護士に依頼した場合に弁護士に支払う弁護士費用や実費などがあります。
これらの費用について、具体的にいくらくらい必要になるのかを順次、ご説明いたします。
なお、当法律事務所の弁護士費用の一般的な基準などは以下のURLから詳細をご確認ください。
https://kakehashi-law.com/modules/kakehashi/index.php?content_id=1
2 ①裁判所に納める印紙代、郵便切手代について
⑴印紙代の定め方や負担者について
裁判をするには訴状に印紙を貼付する必要があります(民事訴訟費用等に関する法律3条)。この印紙は、裁判を起こす原告が当初負担します。金額は、裁判で求める金額によって異なり、たとえば100万円を裁判で求める場合には印紙代として1万円が必要となります。300万円の場合は2万円で、1,000万円の場合には5万円です。手数料の早見表は以下のURLからご参照ください。
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file3/315004.pdf
⑵印紙代の負担が困難な場合について
このように、訴訟の提起に際しては、まずは原告が印紙を負担しないとなりません。しかし、印紙代を用意することが困難が場合に、これが用意できないとして訴訟を提起できないとなると憲法で保障される裁判を受ける権利(憲法32条)を侵害することとなりかねません。
そこで、民事訴訟法82条では、印紙負担を猶予するための訴訟救助という規定を設けています。具体的には、「訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る。」と定め、一定の要件の下に印紙代の支払い猶予を認めています。
⑶印紙代の最終的な負担者について
また、訴状提出の際に印紙を原告が負担した後、裁判が進み、判決に至った際に裁判所が裁判に要した印紙代を含む費用(印紙代、予納郵券、証人らの旅費日当など)の負担を原告と被告とでどのようにすべきかを決めることがあります。
これは訴訟費用の負担の裁判といい、民事訴訟法67条に定めがあります。
そして、裁判の結果として、原告が全面的に勝訴したような場合であれば、要した印紙代などを全額、被告に負担するとの結論になることが多いです。
半面、原告全面敗訴で終わると、訴訟費用も原告に負担させることが多いです。
⑷裁判所に納める郵便切手代について
裁判所に訴訟を提起する際には、上記のとおり印紙が必要になります。同時に、裁判所が訴状等を被告に送達するためには郵便を使うことから、郵便切手の予納を求められます。
その額は、裁判の内容(訴状の分量や被告の数など)に応じ、各裁判所がその実情に照らして金額を定めています。なので、予納すべき郵便切手の額や内訳は各裁判所に直接ご確認頂く必要があります。
3 ②弁護士に依頼した場合に弁護士に支払う弁護士費用や実費について
⑴弁護士に支払う費用の内容について
弁護士に依頼をすると、依頼をした時点で弁護士費用が生じます。これは着手金と呼ばれ、依頼を受けた案件について、弁護士が受ける対価です。この対価を受けて弁護士は、委任を受けた事件についてその解決のために事件処理をします。
その後、事件が解決した際には、契約内容に従って報酬金を受けることが通常です。
したがって、これら着手金と報酬金が弁護士の受ける対価そのものということになります。
これらとは別に、弁護士が依頼を受けた案件を進めるために要する実費(切手代、各種資料の取り付け代、コピー代など)が生じます。これは委任事務を進めるために要する経費なので、弁護士が事件処理をしたことの対価そのものではありません。
その他、事件処理のために出張が必要になれば旅費や日当が必要になることもあります。
⑵着手金及び報酬金について
弁護士が事件処理を進めるに際して受け取る着手金の額や算定方法は各弁護士により自由に定めることができます。そのため、仮に同じ事件を依頼したとしても弁護士によって必要になる着手金は異なります。
この点、当事務所では、可能な限り当事者の方に分かりやすい費用を予めウェブサイトで明らかにしています。
https://kakehashi-law.com/modules/kakehashi/index.php?cat_id=4
⑶実費、旅費日当について
事件処理の際には必ず実費が必要になります。この実費の額については、事件の依頼を受けた時点で、概算として必要になる額を預かりそこから適宜支出の上、途中もしくは最終の段階で過不足の調整をし、清算をいたします。
たとえば相続人が多数の遺産分割の事案であれば、戸籍の取り付けだけで数万円を要することもあります。また、インターネット上の誹謗中傷の事案では、海外のサイトを相手方として手続きをとることになると、その会社の商業登記簿謄本をとるだけでやはり数万円を要することもありますし、海外送達や翻訳費用も高額になります。
また、旅費日当については、県内遠方、県外近隣、県外遠方などという形で行先に応じて必要になる金額が異なります。