夫婦の扶助義務に基づき、別居後、離婚が成立するまでの間、一方当事者は他方当事者に婚姻費用の支払いをしなくてはなりません。
とはいえ、別居の原因が妻の不倫にあるような場合にまでかかる請求を認めることは不公平です。そのため、不貞の事実が客観的な証拠から認められる場合や、不貞の事実を妻が認めているような場合には、婚姻費用の支払いを拒否することが可能ですし、裁判所もこれを認めています。
とはいえ、別居の際に妻が子を連れて出ているような場合には、婚姻費用のうち、養育費に相当する金額部分については支払いに応じるほかありません。これは子のための費用に他ならないからです。
したがって、別居の原因が妻の不貞にあるような場合であり、客観的な証拠などもある場合には婚姻費用のうち妻に対する部分(子の養育費に相当する部分以外)の支払いを拒否することができます。
執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所