ネットにされた自分や会社に対する書き込みについて削除を求めることができる場合がありますが、その法的根拠はどこにあるのでしょうか。
この点については、(1)人格権侵害を根拠とするもの、(2)著作権や商標権侵害を根拠とするものに分けることができます。
【(1)について】
具体的には名誉権侵害(名誉棄損)や、プライバシー権侵害がこれにあたります。侮辱もあたりますが、侮辱行為が権利侵害と認められるには侮辱行為の違法性が強度で、社会通念上許容される限度を超える場合に限られるとされています。
これらについては明文の根拠はありませんが、判例上、認められているものです。
これらが人格権侵害とされる類型のうち代表的なものです。
他には「忘れられる権利」や「なりすまし」なども最近は議論されていますが、すべてが常に削除請求の根拠となるとは言い切れません。
【(2)について】
著作権法(112条)や商標法(36条)といった個別の法律にその根拠が定められています。これら権利は法律上、排他的な権利としての側面が肯定されているからです。
他方で、会社や企業であれば、「営業権」に基づく削除を検討することもあると思いますが、現状では否定されています。
営業権は、上記人格権や著作権などと異なり、排他的権利とはされていないことが理由です。
そのため、会社や企業に対する書き込み削除の際には、会社自身の名誉棄損や、経営者に対する名誉棄損などが成立しないかを検討することとなります。
執筆者;弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所