一般に、有責配偶者からの離婚請求は認められない、と言われることがありますが、この表現は大いに問題があります。
正確には、有責配偶者からの離婚請求は一切認められないのではなく、「裁判離婚において、有責配偶者からの離婚請求は、請求棄却判決となることがある」とご理解ください。
すなわち、有責配偶者からであっても、協議離婚、調停離婚、裁判での和解離婚の成立の余地は十分にあるのです。
なおかつ、裁判での判決でも、事情(別居が長期間に及び未成年の子がいないなど)によっては有責配偶者からの離婚請求が認められることはあります。
したがって、有責配偶者からの離婚請求は認められないとの説明は誤りです。
ただし、有責であることに伴い、慰謝料の支払い義務が生じるなどの負担は十分にあり得ることです。
しかしこれも離婚が認められないということではないのできちんと区別して考えてください。
有責配偶者からの離婚請求についてはこの通りですので、離婚を認めてもらうには協議離婚や調停離婚、裁判での和解離婚により相手の同意を前提として離婚を取り付けることが中心となります。したがって、相手からいかにして離婚の同意を得るか、条件面を含めての駆け引きとなります。
その駆け引きがうまくいけば、有責配偶者であっても十分に離婚は可能です。
執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所