1 放棄した養育費の請求の可否について
離婚の際に養育費を請求しない(これを放棄した)場合であっても、後に翻意し、請求をすることは可能です。
そもそも、養育費は民法766条1項にその根拠があり、離婚をした夫婦の一方が子を監護する側に対して負担をすべき子の生活のための費用です。かかる養育費は、支払う側からみれば扶養義務であり、受け取る側からみれば扶養を受ける権利に外なりません。
そして、扶養を受ける権利は放棄をすることができないものとされているので離婚の際に養育費を請求しない(放棄する)と言ったとしても、その放棄自体が無効なのです。
したがって、後に養育費を請求することは当然可能です。
2 養育費の請求方法について
では、その養育費を具体的にどのように請求するかですが、お互いの話合いで金額や終期を決めることができればそれに越したことはありません。
しかし、離婚をした後の関係が良好でなければましてや離婚の際に養育費を請求しないと言っていたことを踏まえるとお互いでの協議がそのようにスムーズに進むとは限りません。
そこで、改めて養育費の請求のために、相手方の住所地を管轄とする家庭裁判所に養育費を求める調停を申し立てることが考えられます。裁判所ではお互いの収入や現在の扶養家族の人数などに照らして客観的な基準で支払うべき養育費の額を算定してくれます。
その結果、お互いで裁判所の基準に従った養育費の金額で合意ができれば調停が成立しますし、これが無理であれば審判といって裁判所が支払うべき金額を言い渡してくれます。
執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所