証拠の「価値」

以前に比べ、最近は、弁護士に相談に来る時点で「証拠」を確保してご来所される相談者の方がとても多くなっています。おそらく、インターネットやTV報道などを通じて、「裁判にするには証拠が大切」という考え方が深く浸透してきた結果だと思います。

 

そのような、「証拠」ですが、いずれもタダで入手できれば良いのですが、これはまさに証拠に寄りけりです。

たとえば交通事故の場合、事故態様や過失割合を巡る争いにおいては、「ドラレコ」が何にも代えがたい最有力証拠です。このドラレコの場合、車両に取り付けておけば良いのでその費用のみが証拠の「価値」を生みます。そして、今どきであればドラレコも数万円からで取り付け可能ですので、大きな証拠価値のある「証拠」をその程度の金額で入手できることになります。

 

他方で、不貞案件などの探偵調査費用ですが、これもまた不貞の責任を追及する際の最も「動かしがたい証拠」として絶大なる「価値」を持ちます。ただ、そのための費用は、調査事務所の設定金額、調査期間などにより多分に左右されます。基本的には調査期間が長ければ長いほど高く、1カ月程度の調査の場合、数十万円~という費用になってくることが多いと思います。

そのため、要した調査費用を不貞相手に請求したいところなのですが、現在の裁判実務では、調査の必要性と金額の相当性が肯定される限り、調査費用を相手方に請求することが認められています。

これは、過剰な調査(すでに十分な不貞の証拠があるのに「念のために調査した」とか)や、無意味な調査(調査してみたものの、不貞の証拠は入手できなかったとか)、さらには調査の必要性は肯定されるものの、調査費用として余りにも高額な場合にまで不貞相手に負担させるのは認めないという趣旨です。

 

なので、不貞の調査は、とても有益な証拠価値がありますが、調査依頼を実施する際や相手方に請求する際には注意が必要です。

 

いずれもケースも証拠の持つ「価値」は大きいものの、そのような証拠を入手するための「費用」も併せて考慮必要があることを考えさせられます。

 

 

 

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