判決と和解の違いは何ですか?

1 判決とは

判決とは、裁判所が裁判において、原告と被告の主張立証を踏まえ、原告の請求内容に理由があるかないかを判断するものです。判断の結論は、判決の主文に示され、主文に至る理由などは判決の理由として詳細に記載されます。

判決では、原告の請求した請求の趣旨に対応をして、これを認める(認容)、認めない(棄却)、一部認める(一部認容)という形で結論が出されます。

そのため、大前提として、原告からの請求がある事項に対してのみ判断がされます。

判決に対しては、判決文を受け取り後、2週間以内に控訴が可能です。

 

2 和解とは

これに対して和解とは、裁判において、お互いの主張立証を踏まえ、紛争を最終的に解決するための双方の譲歩に基づく合意をいいます。

和解事項は、原告の請求事項に限ることはなく、双方の合意をしたい内容を適宜盛り込むことが可能です。

また、判決と異なり、和解については、和解した内容の結論だけが表示され、和解に至る理由が示されることはありません。

さらに、和解は判決と異なり、当時者双方がその内容での解決に合意をして初めて成り立つことから、合意が成立した時点で確定し、判決の場合のような控訴などの不服申し立て手段はありません(和解内容に錯誤があったとかという場合を除きます)。

 

3 判決と和解の違いについて

判決の場合には白黒の決着がはっきりと付く点ではスッキリするかもしれませんが、控訴などで長期化したり、控訴になってから逆転敗訴(勝訴)することもあり得ることを念頭に置く必要があります。

また、認容された金額や内容などについて、判決後に被告が任意に応じない場合には、別途、強制執行をしないといけないこともあります。差し押さえ先(預金やその他の財産)が分からない場合にはその調査も必要になり、判決が出たからといって必ずその額の全額回収が確約できるものでもありません。

さらに、判決は、原告の請求内容の当否のみしか判断対象となりませんが、和解の場合には和解条項にお互いで任意でいろいろと条項を盛り込むことが可能なので、その点のメリットがあります。

 このことを具体的に理解していただくために、判決と和解の文例を挙げます。

 

【判決の文例】

1 被告は原告に対し、金100万円及びこれに対する判決確定の翌日から支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え

2 訴訟費用は被告の負担とする

 

【和解の文例】

1 被告は原告に対し、本件〇〇の行為により原告を深く傷つけたことを謝罪する

2 被告は原告に対し、本件解決金として金50万円の支払い義務があることを認める。

3 被告は前項の金員を2021年1月末日以降、同年5月末日まで月10万円ずつ分割して支払う

 

 上記文例は多少抽象化していますが、和解の場合のメリットが具体的に想像できると思います。和解の場合には謝罪条項を入れたり、再度の違反(多くは不倫の事案)に対する違約金を入れたりしつつも、和解金額としては被告が現実的に支払可能な額や方法を選択したりすることがあります。

その意味で和解のメリットがあると言えます。

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