個人情報をネットに晒されたが削除できるか。プライバシー権侵害にならないか。

自身の電話番号や住所などが誰かにネットに晒された被害に対して削除請求等が可能かという問題です。

今どきはこれら情報については「プライバシー」の問題であり、そのプライバシー権が侵害された以上は削除などが可能とも考えられそうです。

この点、現時点では最高裁を含めていわゆる「プライバシー権」の明確な定義はされていません。とはいえ、プライバシー権に対して何らの配慮もしていないわけでなく、当該情報が「他人にみだりに知られたくない個人に関する情報」であればプライバシーだとしてこれをネットに晒されたことに対する削除等の可否が問題となります。

その上で、単に「他人にみだりに知られたくない個人に関する情報」だからあれもこれも削除になるかというと、ここは別途、検討が必要です。

すなわち、晒された情報について、あれもこれもプライバシー権を侵害するとなってしまうと、これら情報を掲載した側が常に責任を問われかねず、自由な表現や情報のやりとりが実現しなくなってしまうからです。

そこで、「事実を公表されない法的利益とこれを公表する理由とを比較衡量し、前者が後者に優越する場合」には、プライバシー権侵害があるものとして削除などの対象と認められると考えられます。

そのため、晒された電話番号や情報について、これがどのような媒体にどのような趣旨で掲載されていたのかなどの事情をも加味して考慮し、削除等の可否が判断されることとなります

執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所

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