弁護士費用は高いのか?
「弁護士費用は高い。」 そうお感じの方が多いとのことです。
先日のとあるアンケートでもそのような傾向が表れていました。
具体的には、弁護士費用の相場として、「そもそも弁護士費用の検討すらつかない」との回答が最も多く、次いでいわゆる弁護士サイドで考えているよりも低い弁護士費用を想定する回答が多かったのです。
実際、弁護士費用は数万円~数十万円に及ぶことから、普段の生活で支出する各種支払いと比べると格段に高いことは事実だと思います。
ただ、弁護士としては、以下のような観点から「弁護士費用は本当に高いのか?(高すぎるのか?)」を考えて欲しいと常に感じています。
①そもそも弁護士に依頼する事柄は、多くの方にとって「一大事」なことが大半です。
離婚にしろ、交通事故にしろ、刑事事件にしろ、破産にしろ、解雇紛争やパワハラセクハラにしろ、いずれも人生の中でそうそう多くの方が経験するものではありません。
かつこのようなトラブルに見舞われた方は一度きりの大切な人生の中で大変な思いをし、また場合によっては以後の人生にも大きな影響を与える問題です。
②弁護士への依頼案件は、解決までに思ったよりも時間がかかります。また、自分の言い分を通すためには相応の法的知識や経験、工夫が必要です。
この点、たとえば離婚調停では解決までに早くて半年、長いと1年から2年かかることがざらです。離婚訴訟に至るともっと長期戦に及びます。交通事故の訴訟でも1年以上かかることも少なくありません。
その他の案件も概ね同様の期間が必要になってきます。
どうしてこれだけ時間がかかるかですが、それはいずれも「相手方」がいること、その「相手方」にとっても当該トラブルは人生の一大事のため、相手方にとっての言い分を必死で争ってくるからです。
それに対してこちらとしても食い下がる必要があるため、解決までには相当期間に渡り、双方の言い分を尽くし、結論に至るのです。
時に「早く解決したい」とおっしゃる方がいます。当然の心情だと思います。
しかし、これを実現するには、「妥協」もしくは「諦め」が必要になります。それでは十分にご自身の権利や将来は守れないと思いますので、弁護士が介入し、全力で戦うのです。
③弁護士への依頼案件はすべてが完全オーダーメイドです。
すなわち、同じ離婚、交通事故、解雇紛争と表現してみても、個別の中身は千差万別です。当事者も違いますし、紛争の中身もまったく異なります。主張の内容や証拠も然り。 そのため弁護士の依頼案件はすべてが完全オーダーメイドになります。
作業には膨大な時間と労力、経験やセンスが必要になるのです。
他にも理由はいくつかありますが、私が考える大きなポイントは上記のとおりです。
完全オーダーメイドで人生の一大事を長期間に渡り、法律の専門家に依頼するための費用として弁護士費用が構成されています。
それを高いと考えるか、そうでないと考えるかは依頼者の方次第です。
ですが、たとえば
・探偵の調査費用(1か月の調査で40、50万円から100万円以上のことも)、
・不動産の仲介業者の手数料(物件価格が400万円以上の場合にはその価格の3%+6万円であり、2,000万円の物件であれば66万円)、
・税理士費用(月間で3万円程度のことが多く決算の際には別途生じるため年間で40万円以上)
などと比較してみても決して弁護士だけが高額に過ぎるということはないと思います。
したがって、ご自身の抱えた一生に一度かもしれない一大トラブルを、より良く解決するために必要な費用として弁護士費用をお考え頂きたいと常に思っています。