病気を理由とした休職と賃金や補償
新型コロナウイルスに限らず、病気で仕事を休まざるを得ない場合、休業に対する賃金は補償されない(支払われない)のが原則(法律上は当然には賃金が生じない)です。
これは、賃金が労務に対する対価である以上は当然のことです。
とはいえ、会社によっては従業員に対する福利厚生の観点から、病気休職に対する補償を就業規則で定めていることがあります。
他には、会社からではありませんが、健康保険の傷病手当金制度の利用により、賃金の一部の補償を受ける余地があります。
また、病気になったことが業務に起因すると認められる場合にはまさに労災ですから、労災保険の申請により、治療費や休業補償給付を受けることができます。
なので、病気で止む無く休業せざるを得ないにしても、そのことに対する具体的な手当がないか、よく確認することが大切です。
なお、つい先日、東京女子医科大学の内部文書に
「法人内の施設において新型コロナウイルスに感染したりして休業するに当たり、その感染原因等が法人からの自粛要請に反した行為にある場合には、休業中の給与は無給とする」
「医療機関を持つ医科大学で勤務する職員は、本来健康な状態で労働を提供する必要があり、感染等を理由に休業することはいわば民法上の『債務不履行』に当たると解釈されます。よってこの場合には、休業期間中には給与を支給しないことが妥当である」
などという内容が含まれていて波紋を呼んでいます。
これらは上記の病気休職の際の賃金支払についての原則論を踏まえたものと思いますが、如何せん、その表現においてあまりにも高圧的であり、人情味にかけたものです。
医療の最前線医療で必死で働いている職員に対する思いやりに欠けるものとして、ナンセンスだと考えます。
私は、労使が一体となって共に事業を展開していくことのできる企業こそ、本来あるべき企業の姿だと常に考えています。経営陣の都合ばかりで労働者を蔑ろにするような企業には存続価値はないと思っています。
見たいと思って見る夢と、見たくなくても見ちゃう夢
夢って不思議です。
恐らく毎晩見ているはずですが、起きたら覚えていないことも多いのでしょう。
それでも特に印象的な夢は起きた後も鮮明に覚えているものです。
また、夢って、「見たいと思って見る夢」と、「見たくなくても見ちゃう夢」があると思います。
いずれの場合も、自分の意識が強く働いた結果、夢として見るのでしょう。
こうして見た夢は朝起きてからもよく覚えていることが多いように思います。
さて、私は最近、このような二つのパターンで見る夢と少し異なる夢の表れ方を経験しています。
それは、「見たいような見たくないような微妙な気持ちの中で見る夢」です。
特別に強い気持ちで「見たい」と思う反面、「見たくない」と思っている気持ちもあり、そのような揺れ動く気持ちのまま特定の夢を見るのです。
今までそのような気持ちで夢を見た記憶がなかったので、ここ最近続いている「見たいような見たくないような夢」と毎晩向き合いながら朝を迎えています。
自己改革
意識的に自分のこと、体、生活など変えて行こうと思っています。
先日にはブログでも書いたとおりカフェイン摂取量を大幅に減らしています。
これに飽き足らず最近では、体の柔軟性、可動域を広げようと股関節回りや肩甲骨回りのストレッチをかなりやるようにしました。
他にもコレステロール値を意識して食事内容の大幅な見直しにも取り組みました。
いずれも、取り組まないと直ちに支障がでるというものでもないのですが、「より良い自分」を目指して取り入れることとしたものです。
カフェインについては明らかに利尿作用の違いを感じます。
ストレッチについても、腰痛が無くなりましたし、可動域が広がったと自覚できています。肩こりにも良いでしょう。
コレステロールについてはいよいよ全く目に見えない問題なので、健康診断での血液検査の結果で確認する他ありません。
これらはどれもこれも毎日の生活の中でのちょっとした変化ですが、積み重なることできっと大きな違いになって表れることでしょう。
そう思って取り組むと何だかとても楽しい気持ちになってきます。
弁護士の休日の過ごし方~三者三様な日曜日~
昨日は日曜日で天気も良かったことから外出をすることにしました。
すると、目的地に向かう道中で、知り合いの弁護士お二人にお会いしました。どうやら私と行先が同じのようでした。
ただし、お二人はあくまで「業務」のために当該目的地に向かうところで、私は単なる「休日」という違いが。
その後、半日程度、目的地で過ごした後、「ひょっとしたらお二人に帰り道でまたお会いするかな?」と思っていたところ、うちお一人と同じ便になり、ご挨拶。
もうお一方はもう少しゆっくりして別の便で帰路に着くとの事でした。
さらにその後、車で移動中に、夕食を買いにとあるお店でまた別の弁護士にお会いしました。私はそのお店を利用するのはまったくの初めてでしたが、その方も同じくまったく初めてとのことでした。
ちなみにその方はご家族と一緒でやはり夕食のために訪れていたようです。
最近は休日によそで弁護士とお会いすることもめっきり無くなっていたのですが、昨日は不意に3人も弁護士とお会いすることとなり、それぞれの日曜日の過ごし方の違いが面白く感じました。
涙のワケ
悲しいと涙が出る。
どうしてでしょうか。
科学的なことは分からないけど、きっと、「涙で目の前の現実を見えなくするため」だと思います。
人は誰でも辛い思い、悲しい思いをしながら生きています。
一度や二度に限らず、悲しみのために涙を流す生き物です。
そんな時、目の前の辛い現実、悲しい気持ちからそっと、少しの間だけ逃れられるよう、涙が出る。
自分なりにそう考えています。
だから、泣きたい時には泣けば良い。きっとまた涙は止まり、また人生は続いていくから。
入院拒否に対する刑事罰制定の問題点~感染症法の改正について~
新型コロナウイルスの蔓延防止策の一環として、入院拒否に対する刑事罰を制定する感染症法改正案が審議されています。
かかる改正案については、日弁連を始め多くの法律家団体から反対の声が上がっています。私も同じく反対の意見を持つ者として、改正案がなぜ問題なのかを示しておこうと思います。
第1に、刑事罰制定の必要性を裏付ける「立法事実」があるのかという問題です。
立法事実とは要するに、法律制定を基礎づける具体的な事実が社会内に生じているのかということであり、このような事実があるからこそ、法律を制定したり、改正したりするのだという事実的根拠となるものです。
本件では、入院虚偽の事例がどの程度存在し、それがどの程度、新型コロナウイルスの蔓延に悪影響を及ぼしているのかが必ずしも十分に検証されていないように思います。
しかも、入院拒否があったとしてもその人なりの事情があるのではないかという点の検討も不十分のようです。
にもかかわらず、刑事罰の制定を行うことは前提を欠くものであり、その進め方に慎重さを欠くと思います。
第2に、入院拒否という立法事実が仮に存在したとして、刑事罰が蔓延防止にどの程度効果を持つかという点の検証が不十分です。
刑事罰を課す以上、これにより入院拒否の事例が減少し、蔓延防止につながることが期待されなければなりません。
しかし、入院拒否には様々な事情があり、実際にはホテル療養や自宅待機などがあり得ることからすると、入院拒否がすなわち新型コロナウイルスの蔓延につながるとの因果関係も明らかとは言えません。
やはりこの点についてもしっかりとした検証が不可欠だと思います。
第3に、そもそも感染症法は、その前文で「我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。」と定めています。
感染症法は、過去の感染症に対する国の施策が患者や家族に対する多大な人権侵害をもたらしてきたことを前提にしているにもかかわらず、入院拒否に対する罰則を設ければ、かかる理念に反すると言わざるを得ません。
具体的には、そもそも新型コロナウイルスに罹患した患者は、病気そのもので苦しみ、世間からの冷たい目で苦しんでいるのであり、そのような状態の患者に刑事罰をもって入院を強制することは、まさに国が新型コロナウイルスの患者に対する差別を許容し、助長するようなものと言わざるを得ません。
その意味で、入院拒否に対する刑事罰は感染症法の基本的理念と相いれないと思います。
以上のように、感染症法の改正により新型コロナウイルスの患者の入院拒否に対する刑事罰の制定には反対です。
行うべきは、患者がいつでもすぐに入院できる環境の整備、自宅療養などでも十分に治療対応を受けられる環境の整備、患者に対する言われなく誹謗中傷を無くすことにあり、それらが十分に行われていない状況で刑事罰を設けることは抜本的な解決にならないと考えます。
ホキ美術館名品展に行きました。
今年は芸術にも(これまで以上に)目を向けることとしています。
なので、さっそく岡山シティミュージアムで開催中の「ホキ美術館名品展」に行きました。
写実絵画専門美術館の「ホキ美術館」の名品64点が展示されており、想像を超える絵画の迫力に圧倒されてきました。
写実絵画というのは、あたかも実物かの如く、カメラ撮影したかの如く描く絵画のことのようで、その微細なタッチや色使いなどとてもキレイです。
本当に間近で見ても「これが絵なのか?」と疑ってしまう作品ばかりでした。
気に入った作品のうちポスターとして販売があったものを購入して帰り、人に見せてみたのですが、「これは写真ですか?」との反応です。
それくらい写実絵画のプロの作品は精巧だということでしょう。
美術展を見に行く前には素人考えで、「写真のようにも見えてしまうそんなに精巧な絵をわざわざ長時間かけて描くのはどうしてか?」との疑問がありました。
しかし、実際に作品を見てみたところ、実物よりも美しく、カメラよりも精巧に「描く」ことで対象物の本質や魅力をえぐり出すことに写実絵画の魅力があるのではないかとの考えに至りました。
少しだけ自分の感性が磨かれたように思います。
アルバイトの休業とその補償について~新型コロナウイルス関連~
政府、自治体からの休業要請に基づき、飲食店の時短営業が本格化しています。これに伴い、アルバイト従業員のシフトカットによる減収が改めて問題となっています。
この点、正社員については、「雇用調整助成金」という制度があります。なので、会社が社員に対して休業手当を支払えば、会社は国から雇用調整助成金の支給を受けられます(助成金の要件を満たすことは当然必要です。)。
ではアルバイト従業員はどうでしょうか?どうやら多くの方は、何らの補償もないと誤解しているようです。
しかし実際には、「緊急雇用安定助成金」という制度があり、正社員と同様の補償が存在します。なので、会社がアルバイト従業員に対して休業手当を支払うことで、会社は国から緊急雇用安定助成金の支給を受けられます(これもやはり助成金の要件を満たすことが必要です。)
【雇用安定助成金と緊急雇用安定助成金についての厚労省のHP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
↑雇用安定助成金の説明の「注意点」という箇所を見るとアルバイト従業員についての説明があります。
このように、正社員か否かでこの度の時短要請に対する休業手当の扱いに(本来は)差異はありません。
ところが、これら制度が複雑であり手間なこと、会社によっては先に休業手当を支給する余力がないこと、助成金の助成率も常に満額ではないことなどの理由から十分に活用し切れていない実情もあるようです。
しかし、会社の都合でこれら制度の活用がされないようでは労働者として救われません。
そこで、会社が申請をしない場合に、労働者自ら申請することで受けられる補償として「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」という制度があります。
【新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金についての厚労省のHP】
https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html#gaiyou
なので、労働者としては、正社員か否かを問わず、まずは会社に休業手当の支給の有無を確認し、これがない場合には、自ら申請することで生活を守ることが可能となります。
ただし、支給までの期間をどう乗り越えるかやりくりするかという難点は別途解決する必要があります。
今年になって始めたことと止めたこと
毎年1月は、新しい気持ちで何か新しいことを取り入れたり、今までの古い行いを改めたりする良い機会だと思います。
私は、今年さっそくいくつかのことを始め、また止めました。
➀事務所に絵を飾るようにした。
→今まで興味はあったものの、実際に自分で絵を購入するのは初めてでした。雰囲気に変化が出て気に入っています。
②事務所の「予定表」をホワイトボードからオンラインのアプリに変更した。
→旧来型のホワイトボードへの予定記入は止めました。便利なアプリが見つかったのでそちらで弁護士の予定を共有するようにしました。
③朝、事務所でコーヒーを飲むのを止めた。
→昨年秋ころからカフェイン摂取を減らそうと、毎朝飲んでいるコーヒーの量を減らしていましたが、今年からは朝に事務所で飲むこと自体を止めました。
少しずつですが、物事に変化を付けると気持ちにも変化があるように思います。
引き続き、何か新しいことへの取り組みを続けたいと思います。
飲食店に対する休業要請と罰則規定について
新型コロナウイルスの蔓延に伴い、2度目となる緊急事態宣言が発令されました。
その「基本的対処方針」においては、飲食店などに対する営業時間の短縮(~20時)の「要請」を行うとされています。
そして、この「要請」に対し、正当な理由がないにもかかわらず応じない場合には営業時間の短縮の「指示」を行うものとされ、さらにこれらの「要請」や「指示」については公表が行われます。
これらに加えて、いま議論されているのが、要請や指示に従わない事業者に対する「罰則」規定の制定です。
このような、飲食店などに対する時短要請や罰則について、分かりやすく整理すると次のとおりとなります。
➀新型インフルエンザ等対策特別措置法(緊急事態宣言の根拠法令のことです。以下「特措法」といいます。)やその政令(特措法の細目を定める政府の施行令です。)では、「感染を防止するための協力要請等」という規定があります。
そして、この規定に基づき様々な施設の使用制限の「要請」や「指示」が出来るとされています(特措法45条2項)。
②しかし、つい先日まで、飲食店などはこの使用制限の対象施設として明示列挙されていませんでした。
これでは困るとのことから2021年1月7日に政令が改正され、対象に含まれることとなりました。元来の政令の内容や、改正された政令の内容は↓のとおりです。
【改正前の対象施設・政令第11条】
(使用の制限等の要請の対象となる施設)
第十一条 法第四十五条第二項の政令で定める多数の者が利用する施設は、次のとおりとする。ただし、第三号から第十三号までに掲げる施設にあっては、その建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えるものに限る。
一 学校(第三号に掲げるものを除く。)
二 保育所、介護老人保健施設その他これらに類する通所又は短期間の入所により利用される福祉サービス又は保健医療サービスを提供する施設(通所又は短期間の入所の用に供する部分に限る。)
三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学、同法第百二十四条に規定する専修学校(同法第百二十五条第一項に規定する高等課程を除く。)、同法第百三十四条第一項に規定する各種学校その他これらに類する教育施設
四 劇場、観覧場、映画館又は演芸場
五 集会場又は公会堂
六 展示場
七 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗(食品、医薬品、医療機器その他衛生用品、再生医療等製品又は燃料その他生活に欠くことができない物品として厚生労働大臣が定めるものの売場を除く。)
八 ホテル又は旅館(集会の用に供する部分に限る。)
九 体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設又は遊技場
十 博物館、美術館又は図書館
十一 キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設
十二 理髪店、質屋、貸衣装屋その他これらに類するサービス業を営む店舗
十三 自動車教習所、学習塾その他これらに類する学習支援業を営む施設
十四 第三号から前号までに掲げる施設であって、その建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えないもののうち、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等の発生の状況、動向若しくは原因又は社会状況を踏まえ、新型インフルエンザ等のまん延を防止するため法第四十五条第二項の規定による要請を行うことが特に必要なものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの
【政令改正の官報の内容】
https://kanpou.npb.go.jp/20210107/20210107t00002/20210107t000020002f.html
③このような経緯を辿り、現在の特措法では、飲食店などに対しても上記「要請」や「指示」が可能となりました。
④加えて、今後は特措法を改正し、時短要請に応じない事業者に対する罰則制定が議論されています。
⑤罰則の対象としては、刑事罰たる罰金なのか、行政罰たる過料なのかが議論されているようです。
しかし、刑事罰を課すということは時短要請に応じないこと自体をもって「犯罪」と構成する訳であり、罪刑法定主義の観点からは行き過ぎな感は否めませんし、営業の自由に対する過度な制約との批判もあるかと思います。
そうすると、行政上の違反行為としての過料の限度で罰則化が検討されるのではないかと思います。
⑥これらとは別に、時短要請に伴う「協力金」は、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」として、地方公共団体が地域の実情に応じて支出することが可能なものとして支出されています。
今後は、特措法自体に、休業要請等に対する補償規定自体が盛り込まれることも議論になっており、この点の法改正の行方も気になるところです。
以上を踏まえると、今当然のように話題に上がる休業要請や罰則のこと、応じた飲食店などが受け取る協力金について、具体的に法律などでどのような定めるがあるのかないのかが明確になると思います。
その上で、新型コロナウイルスの蔓延防止は必要だとしても、法に基づかない不利益処分は許されてはならないことも肝に銘じる必要があります。