離婚に至る法律上のハードルの高さと、現実的な離婚成立までの経緯について~法律上の離婚原因はなくても、離婚することの可否について~
先日のブログでは、法律上の離婚原因が容易には認められないことを書きました。
そうなると、「離婚原因が認められず、私はこんなに苦しんでいるのに離婚できないのか?」と悩みを深めてしまう方もいるかもしれません。
この点、注意が必要なのは、法律上の離婚原因が存在しなくても、協議離婚、調停離婚、裁判上の和解による離婚の方法で実際に離婚をすることは十分可能ということです。
裁判上の離婚原因が厳しい要件を課しているのは、先日のブログでも書いたように「夫婦、親子関係に重大な影響を与える判断であるから」です。このような重要な影響を与える以上、裁判所は簡単にはこれを認めないこととなっているのです。
他方で、婚姻自体が当事者間の合意で成り立っていることの裏返しで、協議離婚を典型に、これを解消する合意たる離婚も、当事者間で取りまとめることが可能です。調停においても、裁判上の和解においても合意さえまとまれば離婚は可能なのです。
そして、実際問題、裁判所の判決によって離婚に至るケースは全体からするとごくわずかで、ほとんどのケースは協議離婚などで離婚に至っています。
当然、法律上の離婚原因がないケースでも合意によって離婚に至ることが多々ありますので、仮に法律上の離婚原因が認められずとも、離婚に向けて協議を重ねたり、調停を申し立てたり、場合によって離婚裁判に踏み切ることも決して無駄ではありません。
当事務所でも、多くの離婚案件を扱ってきましたが、裁判所による判決で離婚に至るケースはほんとうに限られています。ほとんどのケースでは、判決に至らず、お互いの合意により、納得の条件で解決しているのが実情です。
ですので、離婚原因がないからといって、離婚を躊躇する必要はありません。