オレオレ詐欺が無くならない訳
ここ10年、オレオレ詐欺を始めとする振り込め詐欺(特殊詐欺)が流行り出し、いっこうに被害がおさまりません。
平成26年の特殊詐欺被害額合計は全国で500憶円を越えています。
このような甚大は被害を報道で見るにつけ、弁護士として何もできないもどかしさをずっと感じています。
弁護士仲間とも常々対応策を議論したりするのですが、残念ながらまだこれといった策が見つかっていないのが実情です。
そんな中、そもそもなぜこのような被害がなくならないのかを知るべく、オレオレ詐欺の裏側に潜入した「老人喰い」という本を読んでみました。
そこには、
①頑張っても報われない今の若者世代の生活状況があり、それを作ったのは高齢者たちである
②生活に困らない大金を貯めこんだ老人から、いくばくかのお金をとったとしても殺人や強盗に比べれば重い罪とはいえない
③通常の仕事では得られない対価を得られ、組織は巧妙に作られているので自分たちが逮捕されることはない
といった背景事情が紹介されていました。
詐欺を働く若者たちは異常なまでの高いモチベーションで名簿に基づき電話をかけまくっている、罪悪感はゼロではないが、「そんなに悪いことではない」との考えでやっているとのことでした。
読んでいて納得してしまう部分もあり、このような仕組みができてしまい、かつ若者にとって報われない社会状況が変わらないことにはオレオレ詐欺がなくなるのはまだまだ先のことだと感じてしまいました。
結局、社会に生じた間違ったひずみを直すには、社会自体が変わる必要もあると思います。
私は、出会い系サイト被害の救済も手掛けていますが、これも相当被害は減ってはきましたがそれでもまだ「根絶」には至りません。
その理由はきっと、サイト業者からの「甘い言葉」が、何かを求めてネットに頼る人々の心に深く届いてしまうからだと思います。
日々仕事をしながら、個別の事件の解決では問題の本質を変えるのに限界があることを痛感します。
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