SNSによる子どもの犯罪被害の多発状況
未成年者へのスマホ普及が拡大し、これに伴いSNSを通じた子どもの犯罪被害もまた増加しています。
警察庁によると、SNSに起因する被害児童数が、昨年初めて2000件を超え、統計を取り始めてから一番多い被害件数になったとのことです。
そのうち、被害の類型として多いのが、青少年保護育成条例違反、児童買春・児童ポルノ禁止法などの性犯罪類型です。
青少年保護育成条例(各地方自治体で定める)では、青少年に対する淫行、わいせつ行為を刑事罰をもって規制の対象としていることが多いです。ここでいう青少年は18歳に満たない者を意味し、条例は青少年の健全な育成を保護の目的としています。
ところが残念なことに、青少年が年齢を偽って、知り合った異性と性交渉を持つことも多く、そうなると青少年と関係を持った相手方からすると「18歳未満とは聞いていない。高校生ではなく大学2年生と聞いていた。」とか「19歳と聞いていた。」などという弁解がされることがあり、それなりの事案で、このような弁解が採用され、刑事上の責任は不問に付されることがあります(犯罪の故意がない)。
児童買春・児童ポルノ法に関しては、今どきは児童買春をさせて利益を得るということのみならず、児童がSNSで知り合った大人とLINEなどを通じて自己の裸体写真を送信することで被害に遭う事例が後を絶ちません。
まだ心の発達が不十分な中、SNSで知り合った「大人」を信じ切ってしまい、画像を送信した後、家族などが気が付いて被害が発覚するという状況が多いようです。
この場合にも、年齢が18歳未満とは知らなかったとの弁解があり得、そうするとやはり刑事責任の追及が困難になることもあります。
このように、未成年者(青少年)に対する法の規制は多様ですが、SNSというツールがそもそも匿名を持って利用しやすい現状では、未成年者側がSNSを使う際に、自分の特性(年齢や所属先学校や学年など)を明らかにしつつ用いることもまた一つの「身を護る」手段となってしまっています。
仮に未成年者が年齢を偽っていた場合でも、服装(高校の制服など)や会話の内容(中学校での出来事を前提とした会話など)などから18歳未満と推測し得たとか、うすうす気付き得たという場合には上記のような弁解は通らないからです。
したがって、保護者の方からすれば、➀SNSを通じて見知らぬ人物と安易に接触をさせない(事前の措置)+②仮に見知らぬ人と接触をするにしても、自分の属性を明らかにしておく(これにより、万が一の場合に相手方に対して刑事責任を問える)ような注意が必要だと思います。