売っているのは「時間」です
世の中に多く存在する商品や、サービスですが、見方を変えると、「時間を買っている」と表現することが可能です。
レストランでは、自分で食材の購入、下ごしらえ、調理、後片付けをしなくともお金を払うことで食事のみを楽しむことが可能です。これはまさに自分でやる代わりに人にやってもらう、という意味で「時間を買っている」と言えます。
また、シェフのこれまでの経験、修行という時間の上に食事が提供されるので、このような意味での「時間」を買っているとも言えます。
タクシーなどの交通機関も同じです。移動のためには徒歩でも良いところ、お金を払うことで早く目的地に到着できます。その差の時間を「買っている」といえます。
同時に、タクシードライバーの経験という時間も「買っている」と言えます。
最近、普及著しいオンラインショッピングも、忙しくて買い物に行く時間を「買っている」と言えます。まさに多忙な現代人にはピッタリの商売だったことから、ここまで普及したと言えそうです。
宝飾品などの「ブランド」では、創業○○年と謳い、宣伝していることもありますが、これなどまさに「時間」がブランド価値を作り上げている代表です。長年積み上げてきた信頼と実績のある「ブランド」だからこそ高値で人は買うのです。
さて、弁護士の場合はどうでしょうか。
裁判や調停、示談交渉はいずれも当事者本人が自ら行うことも可能です。
ただし、自己に有利な結論を得ようと思うと、専門的知識や経験が要ります。日中仕事で忙しい人は自ら調停や裁判に行く時間も惜しいでしょうから、その場合には弁護士に行ってもらった方が得かもしれません。そして、弁護士になるには長年の勉強期間や研修期間を要します。さらに、弁護士になってからの経験は、事案の解決のために非常に重要な意味を持ちます。
なので、やはりいろいろな目で見ても弁護士に依頼することも「時間を買っている」と言えそうです。
弁護士になるまでの勉強という時間、研修期間の時間、弁護士になった後の経験という時間。さらに、自分の代わりに相手方と交渉したり、文献調査や現地調査に行く時間、裁判に出頭する時間。
あらゆるサービスや商品を「時間」という尺度で分析してみるとまた違う物の見方ができるといえます。