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「財布は別」な夫婦の財産分与について考える

2021/4/14 12:59  執筆:oh

今日、テレビを観ていたら、夫婦それぞれの収入と支出の在り方について、いろいろなやり方が紹介されていました。

今どきは、お互いの収入や貯蓄は知らない、家計の支出については共通の口座にお互いが決めた額を入金し、それでまかなう、というやり方が割と多いとの事でした。

共働きが増えた現在、このやり方は必要以上に相手方に干渉をしないという意味でとても合理的です。また、以前はとても多かった、夫の収入に頼って生活をする家庭において、妻に経済力がないがために夫に意見をできない、離婚をしたくても切り出せないという問題も生じにくいというメリットもあります。

 

ところで、このような完全に財布は別な夫婦において、離婚問題が生じると、その財産分与はどうなるのかが気になります。

というのも、法律的には、婚姻期間中に夫婦で形成した財産は基本的にすべて夫婦共有財産とされ、お互いで半分ずつを取得することになるのが大原則だからです。

ただし、お互いで何を財産分与の対象に含めるかとか、財産分与の割合を半々ではなく4:6にするとかという合意は可能です。

 

そのため、財布は別世帯においては、離婚問題が生じた際に

➀離婚に際しても財布は別を貫き、お互いの貯蓄はお互いが取得し、相互に口出しをしないという合意をして解決する

②上記大原則に遡って、これまで維持してきた財布は別システムを放棄し、すべての財産を開示した上で財産分与の話を進める

の二択になると思います。

 

婚姻期間中は財布は別でもお互い納得していたところですが、いざ離婚になると相手に対する不満や不信感ゆえ、

「実は自分よりも相手の方が収入があって、貯蓄もしっかりしているのではないか?そうすると離婚になる以上は財布は別を維持しなくても良いのではないか。どうせならとれるお金はとってやりたい!よく考えたらそもそも財布は別を言い出したのは相手からだし、何か隠したいお金があったのではないか?」

との考えが生じてもおかしくありません。

 

さぁ、こうなると本当に大変です。

婚姻期間中に維持していた財布は別システムを放棄し、いざこれまでの収入や貯蓄を洗い出そうとしても、これを求められた相手方が素直にすべてをさらけ出すとも考え難いですし、仮に財産を開示しても、それまでの使途や隠し財産の有無などを巡り、紛争は激化する一方でしょう。

 

一番最悪なパターンは、財布は別システムを導入し、一方は一生懸命貯蓄をした(たとえば3,000万円)が、他方はほとんどしていなかった(たとえば100万円)場合です。

この場合に、上記大原則に照らして財産分与をすると、3,000万円+100万円=3,100万円となり、これを折半すると1,550万円ずつです。当然、3,000万円を貯蓄した側はたまったものではありません(念のためですが、審判例では、夫婦の一方が多額の貯蓄に努め、他方が散在しまくったケースで財産分与の割合を調整することで結論の妥当性を維持するケースもなくはないです。)。

 

それゆえ、財布は別システムは、婚姻期間中にうまくお互いを尊重しつつ生活をしていく際には有益ですが、離婚問題となり、上記➀の方法での折り合いがつかなかった場合には本当に血みどろの争いになりそうです。

 

なので、現在、財布は別システムを採用し、離婚を検討中の方は、財産分与の在り方についても事前に十分に検討されることをお勧めします。

 

 

 

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