事務所HPリニューアルのお知らせ
当事務所のHPですが、2023年9月を持ちまして以下のリンクから繋がる新しいページに移行しました。
つきましては今後、新しいHPよりこのブログを閲覧下さいますようお願い申し上げます。
なお、この間、ご案内が遅れたことをお詫び申し上げます。
弁護士は紛争好き?~争いごとを仕事にすることの意味について~
弁護士の仕事の多くは、世の中で生じた紛争を対象としています。
後見業務や契約書のリーガルチェックなどの非紛争型の業務を多く扱うということでなければ、弁護士は常に紛争の中で生きていると言っても過言ではありません。
朝から晩まで相談や依頼、調停や裁判はいずれも紛争そのものであり、それら紛争について、代理人として力を尽くすのです。
当然、これら紛争で最善の結果を尽くすことの対価として着手金を頂き、勝ち取った成果に応じて報酬も頂戴しています。
そのため、「弁護士は紛争を金儲けの種にしている」という言い方をする人もいるようです。
しかし、私は弁護士として決して「紛争が好き」な訳ではないと思っています。
すなわち、紛争が好きな訳ではなく、「紛争解決が好き」なのだと言いたいのです。
紛争解決とは要するに、紛争のない状態、紛争が治まった状態であり、一種の平穏、平和、安全と安心な状態を実現することです。
このような平穏な状態が好きだからこそ、相談者、依頼者にもその平穏な状態、生活を実現してもらいたく、弁護士として力を尽くすのです。
当然、そのような状態に至るまでには激しい主張や攻防が避けて通れません。
しかし、そのような応酬も法律のルールに基づき展開されます。決してルールに外れる方法はとりません。
そして、最終的には当該紛争について必ず結論が出ます。
時には思うような結果に至らないこともありますが、仮にそうだとしても紛争自体はそこで終結します。
その結果、紛争状態を脱することになり、依頼者の方にはやはりまた一定の平穏状態がもたらされるのです。
やはり私はそうした結果、得られた平穏をとても大切にしたいと考えます。 (できる限り避けるようにしつつも)人間にとって紛争は避けて通れない問題かもしれませんが、最後には必ず紛争のない状態が望ましいと思うのです。
その意味ではやはり戦争には強く反対をします。戦争には裁判などと異なり、明確な終わりがありません。国際法のルールも戦争状態だと容易に破られがちです。
そのため、人々を果てしない窮地に追い込む戦争は許せないのです。
話しが大分変りましたが、
①弁護士は紛争が好きなのではなく、紛争解決や平穏が好きだということ
②その紛争解決は法律のルールにより実現すべきこと
③これに対して戦争というものにはこれを容認する理由がどこにも見当たらないこと
④だからこそ戦争には反対するということをご理解いただけたらと思います。
毎年、8月になると広島や長崎のこと、過去の悲惨な戦争のことを考えます。
当然、ウクライナのことも気になります。
そうした中、弁護士は決して紛争が好きでしているわけでないことを知ってもらいたいと思い、書きました。
警察も、事件が好きでやっているのではないはずです。
消防士も火事が好きでやっているのではないはずです。
いずれも、弁護士も、これらがない平穏な状態を実現したいと思って日々、頑張っているのです。
説得と納得
「親子」を巡る争いについて
ここ最近、当事務所では「親子」関係を巡る争いに関する相談が増えています。
具体的には「親子関係不存在確認」や「親権者変更」などです。
親子関係不存在確認というのは、戸籍上は「親子」とされている親と子について、生物学的には「親子」ではないことを裁判手続きにより争い、明らかにするための手続きです。
ふとしたきっかけで自分の戸籍、家族の戸籍を見たところ、見も知らない「子」が戸籍に記載されていたので、本当に親子関係があるのかどうかをDNA鑑定を行い明らかにします。
多くは「隠し子」が戸籍に載っているパターンです。隠し子については、出生後に「認知」をすることで男性側の戸籍にも「子」として掲載されます。男性側の本来の妻や家族が、男性の死後にその隠し子の存在を知るということで親子関係を争うことがあります。
親権者変更というのは、離婚の際に取り決めた親権者を離婚後に変更する手続きです。
離婚の際には夫、妻のいずれかに親権者を定めますが、後に事情によりこれを変更するための裁判手続きです。
お互いが親権の変更に応じれば調停が成立し、親権変更が実現しますが、そうでなければ裁判所の審判により結論が出ます。
親権者の変更は、父、母のそれぞれの事情だけではなく、むしろ子どもの福祉の観点から「親権変更が子どものためになるかどうか」を判断します。
以上のような親子関係を巡る紛争が増えておりますが、当事務所としては、「あるべき親子関係、本来の親子関係」を大切に、そして「子どもの本当の意味での福祉ないし幸福」を目指して問題解決に取り組んでいます。
負荷の高い仕事
弁護士の仕事にもいろいろありますが、私が考える「負荷の高い仕事」のトップ2は、①尋問、②講演です。
尋問は、当日限り一回勝負であること、事前の準備が重要であること、自分以外に代わりが効かないことが理由です。
そして、講演も、これにほぼ同じ理由です。
なのでこれらの仕事は弁護士業務の中でも特に負荷が強く、大変なものです。
今日は偶然にも午前に講演、午後に尋問という予定です。
なので、一日中、負荷の高い状態で働くこととなります。
ふぅ。
目に見えない「安心」を求めて
我々法律家、弁護士の仕事は目に見えない「法律」「ルール」に基づいて行われます。
人々は、この目に見えない法律やルールの下、市民生活を送りますが、いざ何かのトラブルに遭遇すると、目に見えないこれら法律などの制約に従って自分の権利について争う結果に至ります。
こうした目に見えない法律などに従って行動をしなければならないという状況は、多くの人にとって強い不安を覚えさせます。
「これから自分はどうなるのだろう?」
「どんな責任を負わないとならないのだろう?」
「相手にはきちんと賠償を求めることができるのだろうか?」
我々弁護士は、このような目に見えない法律を操り、目に見えない不安を解消するため日々奮闘しています。
我々弁護士は、こうした「不安」を無くすためにあらゆる手を尽くすのです。
そのために具体的には、現状の正確なヒアリング、当事者の方が抱える不安に対する理解、これらを踏まえた見通しのわかりやすい説明、取り得る手段とメリットデメリットの説明、選択した手段に基づく結果獲得に向けての工夫などといった具合です。
これらを尽くすことで当事者の方は、目に見えない不安から少しずつ解放され、目に見えない法律により守られることになります。
相談者の方からは、相談をした結果、「不安がやわらいだ」と言ってくださることも少なくありません。
なので、私は、日々、目に見えない法律を扱いながら目に見えない不安の解消のために働いていると強く意識しています。
「誠実な仕事」をする弁護士
弁護士の仕事は誠実であるべき。
そう考えています。
なぜなら弁護士という法律の専門家が、専門知識や経験を悪用すれば、一般の人は太刀打ちできないことは当然だからです。
なので当事務所では常に仕事に対する誠実さを重視しています。
当然、争いごとなので相手方とのやりとりが激化したり、激しい攻防になることも多々あります。
しかし、向き合い方自体は「誠実に」を心がけています。決して欺くようなことはせず、決して誹謗中傷に至るようなことはしない。そういうことです。
当然、依頼者の方や相談者の方に対しても同じです。法律知識の無い相談者の方に、弁護士サイドから不安を煽るようにして受任に繋げたりしてはいけないと考えています。
ところが世の中には、当事者、相談者の不安に乗じて法外な弁護士費用を徴求する弁護士が存在します。
当然、こういう弁護士に依頼をしても誠実な仕事は見込めません。結果、食われたような結果で放り投げられ、弁護士費用を損するだけです。
極めて不誠実です。
残念ながら私が見る限りでもこのような不誠実な仕事をする弁護士は少なくないです。
なので、まずは当事務所から誠実な情報発信を続け、誠実な弁護士業務を維持することを大切にしています。
おかげ様で今日はまったく別の相談者や依頼者の方から「誠実な仕事」に対する評価のお言葉を頂戴しました。とても嬉しい限りです。
見えないものに縛られる~法律の持つ拘束力の意味~
人はその社会生活を維持するためにルールを作り、規律を設けました。ルールや規律が社会における規範となり、それが国民代表機関により制定されるといわゆる「法律」となります。
これらルールや規律、規範や法律はまったくもって目に見えません。一応、法律であれば条文という形で文章にされ、六法に記載がなされます。
とはいえ、六法に記載された内容自体はあくまで目に見ることのできない法律の内容を文字で記しただけです。
このように、法律を始めとした各種の法規範はまったくもって目にすることはできませんが、人はその内容を守り、違反があればペナルティを課すこととしました。
こうした目に見えない法律というルールが社会を構成する人々の共通認識となったことで安定した社会、予測可能な社会が築かれました。目には見えないものの、このような法規範を人々が守るべきものとして尊重し、大事にしてきた結果が今の社会や世界を基礎づけているのです。
こうした目に見えない法規範についてまずもって一番身近に考えることができるのはそれはまさに「家族」の問題です。
家族とは、生物学的には男女の結合を基本とした夫婦親子関係です。これを法律的に説明すると、まずもって婚姻関係があります。その上で子どもが生まれれば親子関係が生じます。子どもがさらに婚姻をし、子どもが生まれればその関係はさらに広がりを持ちます。
こうした家族関係を通じて人は幸福を覚え、逆に時には不幸になり、ひどい時には家族間での憎しみ合いを生みます。
嫌になれば離れればよいのにと思うものの、目に見えない力で親子関係、親族関係を断ち切ることができず、最悪の事態に至ってしまうのです。
しかし、夫婦であれば離婚をすれば、姻族関係であれば姻族関係終了届けを出し、その関係を終えることができるのです。婚姻の際に養子縁組をした場合であれば離縁によって解消することもできます。
関係の悪化した親子であれば、親の死後、その遺産の引き受けを拒否するために相続放棄も可能です。
こうした方法で目に見えない拘束力である親子親族関係を断ち切ることは可能なのです。
とはいえ、そうは言っても簡単にいかないのが人間の社会です。
実際、法律上の夫婦関係にはない内縁の夫婦であれば、関係解消のためには明確な法律上の規範はありません。一応、内縁関係解消を求める調停が可能ですし、ケースによっては慰謝料請求、財産分与も可能です。
しかし、内縁関係の基本となるのは、お互いが実質的な婚姻関係に等しい関係を維持することを合意している点にあります。
これはもはや明確は法規範によるものではなく、お互いの「合意」というそれこそやはり目に見えない拘束力の上に成り立っているのです。
内縁関係以外でも、婚約も似た側面があります。婚約をすることについては法律上のルールや取り決めはありません。お互いが婚約をすると考え、そのために必要な各種行動(結納や挙式の段取り、新居の用意、家族や親族への紹介など)をとることで初めて婚約が成立するのです。
以上のように、今回は夫婦や親子などの関係を基本に説明をしましたが、法律のルールはまったく目に見えないものであるにも関わらず、人々はその拘束力を信じ、縛られ生きています。
しかし、これが仮に苦しいと感じるのであれば、自由を求めてこの拘束から逃れる方法もあることを覚えておいて欲しいと思います。
そうです。法律はあくまで人々がより良い生活を送り、より幸せになるためのものなのです。何も法律により苦しい生活を受け入れる必要なんてまったくないのです。
初の「発信者情報開示命令事件」
昨年10月に改正法が施行された特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(俗称「プロバイダ責任制限法」ないし「プロ責法」)に基づいて、発信者情報開示請求が容易になりました。
具体的には、これまでの裁判手続きでは、①コンテンツプロバイダー(掲示板やSNSの運営会社)に対して当該投稿にかかるもしくは当該投稿と近接した時点でのログイン時のIPアドレスの開示を求める仮処分や裁判が必要であり、②その結果得られたIPアドレスを踏まえて今度はアクセスプロバイダー(NTTドコモやメガエッグなどというネットサービスを提供する会社)に対して、当該IPアドレスを割り付けていた契約者情報の開示を求める訴訟を起こす必要がありました。
それを簡易化するため、新たに改正法により「発信者情報開示命令」制度という非訟事件の類型が加わったのです。
この制度を使うと、ひとつの手続でコンテンツプロバイダーへの開示命令、その結果を踏まえたアクセスプロバイダーへの開示命令が可能となり、手続の簡略化や早期化が実現することとなります。
そして、この制度を利用するに際しては、コンテンツプロバイダーの所在地を管轄する裁判所に申し立てをすることが大半なので、必然的に東京地裁や大阪地裁に事件が集中することとなります。
そうした中、この度、当事務所でも同制度に基づく発信者情報開示命令申立て手続の依頼を受け、偶然にも管轄が高松地裁となる案件がありました。
高松地裁の担当書記官にお聞きしたところ、昨年の法改正から今回のうちの申し立てが初の案件となったとのことで、新しい制度の初の案件をこの高松地裁で対応することとなりました。
今後、新制度に基づく手続の状況などご案内ができるものがあればまたご報告いたします。
本人尋問、証人尋問について
民事、家事の裁判でお互いの主張と立証を書面で一通り提出し終わると、その後の裁判手続きの進行として「尋問」手続に移行することがあります。
いわゆるテレビドラマや映画でよく見る「あのシーン」です。
この尋問手続きは、当該裁判の中で原告と被告の間で相違する事実関係について、訴訟当事者である原告本人や被告本人、もしくは当該事実関係について知っている第三者に法廷の場で直接、その認識を問うための手続きです。
尋問手続きは何度も繰り返すことはないし、やり直すこともできない言わば「一発勝負」のため、事前の準備と当日の集中力、それから瞬発力が非常に大切になります。
まず、事前の準備としては、それまで出された双方の書面(訴状、答弁書、準備書面、書証)をきちんと精査し、内容を改めて把握しておくことが大切です。
事件によっては数百ページに渡ることも、さらにはそれを超えることもあるのでこの事前準備はとても大切です。
次に、記録を精査した上で、当日に向けて誰に何をどの順番で聞くのかを検討し、しっかりと整理しておくことが大切です。これがないと、いざ当日、何か聞こうと思っても当然うまく行きません。
そして当日はやり直しの聞かない一発勝負なので一瞬たりとも集中力を切らすことはできません。体調管理もまた大切になります。
その上で尋問の最中にこちらに有利な証言や、不利な証言が出ようものなら間髪入れずにそこを追及したり、フォローしたりする必要があります。
こうした事前の準備や当日の対応の結果、当該訴訟の勝敗や結論の行方が決まってくるのです。
当然、とても労力のいる作業ですが、そんな尋問手続きが今年は2月までに5件あり、年明け以降、準備や対応に忙しくしております。