あー言えばこう言う
国会で安全保障関連法案の審議が行われています。
6月4日の衆院憲法審査会では、参考人として呼ばれた3人の憲法学者が、「憲法違反」との見解を示しました。
要するに、安倍政権が成立を目指す法律案は、憲法に違反するから許されない、と一致した意見を示したのです。
与党は慌てて火消しに走っています。
野党は勢い勇んで廃案に持ち込もうとしています。
自民党の高村議員は、火消しのためにこう言いました。
「憲法の番人は最高裁で、憲法学者ではない。」
さて、確かに最高裁は、制定された法律の憲法適合性の最終判断権を持ちます(憲法81条)。なので↑の発言はそれ自体間違いではありません。
しかし、国会議員は憲法尊重擁護義務を負います(憲法99条)。なので、制定しようとする法律が憲法に合致するよう、配慮する義務を負います。
このことが意味するのは、「いくら憲法の最終判断権者が最高裁だとしても、そもそも法律案提出の段階で、当該法律案が憲法に違反しないかどうか、最善の注意を払う必要がある。」ということです。
最終的には最高裁が判断してくれるからといって、憲法に違反するかどうかもまったく考えることなくやたらめったら危険な法律案を出してはいけないのです。
そう考えると、↑の高村さんの発言は事の本質をごまかしているだけで、火消しになってはいません。事前には国会が、事後には最高裁が、法律の憲法適合性をチェックするのが憲法のタテマエなのです。
また、このような理屈の問題以外に、私があまりにも馬鹿げていると感じたのは、結局今の安倍政権は集団的自衛権の問題について「あー言えばこう言う。」という姿勢しか示せていないということです。
そうです。何を隠そう、安倍さんは、2014年2月12日の衆院予算委員会で、「(憲法解釈の)最高責任者は私だ。」と自信満々に答えているのです。
これって、↑の高村さんの発言と真逆のことを言っていますよね。
どうにもこうにも都合が悪くなると、簡単に前言と矛盾する言動が横行しており、「あー言えばこう言う。」という胡散臭い状況が続いています。