侮辱罪の厳罰化に向けて
上川陽子法相は14日の閣議後の記者会見で、インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策を強化するため、刑法の「侮辱罪」の厳罰化を16日の法制審議会(法相の諮問機関)総会に諮問すると明らかにした。
侮辱罪の現行の法定刑は「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」だが、法制審では「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を追加する案を検討。厳罰化に伴い、公訴時効も現行の1年から3年に延長となる。
(日本経済新聞2021年9月14日)
従前から指摘されていた刑法の侮辱罪が厳罰化の動きと報じられました。
インターネットでの誹謗中傷問題では、多くの被害者は➀名誉棄損、②侮辱のいずれかで刑事告訴を行い、また発信者情報開示請求や損害賠償請求をしています。
ところが、事実摘示を伴わない侮辱については、刑法上の法定刑が上記のとおりとても軽く、かつこれに伴い公訴時効が1年ととても短かいという問題がありました。
発信者を特定したのにたかだか1万円未満の罰金では被害者も浮かばれません。ましてや投稿から1年経過しているので刑事処罰にはできませんともなれば何のために発信者を特定したのかともなりかねません。
そのような声を受け、、この度の改正への動きです。早期に改正されることを望みます。
なお、名誉棄損と侮辱とは、事実摘示を伴うか否かという違いがあり、単に「あほ」とか「死ねば良いのに」と書き込むことは名誉棄損とはならず、侮辱どまりとなります。
しかし、事実摘示を伴わないからといっても、していることが悪質なことに変わりはありません。
投稿者としては、侮辱罪の刑罰の軽重にとどまらず、自らの投稿についてきちんと反省し、そもそも、投稿前に自重するようにして欲しいものです。
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