しつこいようですが集団的自衛権のこと~内閣の意味不明な一問一答について~
重要なことなのでまた書きます。集団的自衛権のことです。
安部さんは、国民の理解を得られるよう、丁寧に説明していく、と言いますが、この度内閣官房HPで公開された「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の一問一答を見ると、どうにも誠実にきちんと丁寧にする気はないことがよくわかります。
むしろ、もともとよく理解しづらい集団的自衛権というものを、うやむやにし、あいまいにすることで「なんだかよくわからないけど必要なのかな?」と錯覚させようとしているとしかいえません。
消費税増税のときもそうですが、「増大する社会保障費のためには必要なんだ。」と錯覚させ、よくわからないあいまいなうちにことを進めてしまう手法です。
先日も書きましたが、集団的自衛権と個別的自衛権はまったく別物です。それで、日本の憲法は平和主義の観点から個別的自衛権以外に実力行使を認めていないのは明白なのです。
集団的自衛権は戦争に「参加」する権利です。それをなんだかよくわからないうちに、米艦で輸送中の日本人のおじいちゃんを助けなくていいのか?と想定し難い事例を想定し、むりやり感情論で押し込んだのです。
この一問一答には、「今回の閣議決定は、合理的な解釈の限界をこえるいわゆる解釈改憲ではありません。」と書いてあります。
これは嘘です。憲法を読めば、集団的自衛権を認めていないことは明白です。にもかかわらず、集団的自衛権が認められる、と従前の解釈を変えたのですから、解釈のみで憲法の従前の意味を変えたという解釈改憲そのものなんです。
勝手に、「解釈改憲ではない」と強弁しているだけです。犯罪の嫌疑をかけられ、明白な証拠もあるのに「自分はやっていない」と強弁している不合理な否認とまったく同じ状況です。
おそらくこのまま「解釈改憲ではない」と言い続ければ国民がそのうち諦めると思っているのでしょう。不合理な否認を続ける被疑者が、「犯人ではない」と言い続ければ警察が諦めてくれると思っているのとまったく同じでちゃんちゃらおかしなことです。
さて、賢明なみなさんは、政府が言い続けたらそれが認めてもよいことのように思うのではなく、いけないものはいけない、ときちんと判断し、批判できるようしていただきたいと思います。
一問一答では、ほかにも「今後も専守防衛を堅持していきます。」と書いていますが、それなら何もこれまでの解釈を変える必要ないですよね?これ一つみても言っていることとやっていることが矛盾しています。
さらにひどいのは、「自衛隊員が、海外で人を殺し、殺されることになるのではないか」との問いに対して「自衛隊員の任務は、これまでと同様、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるというときに我が国と国民を守ることです。」と答えており、まったく質問に答えてすらいないのです。
殺すのか、殺されるのか、との問いには「殺すことになる(ならない)、殺されることになる(ならない)」のどれかしか答えはありません。これを無視して答えをはぐらかしているのは、まさに都合の悪い質問(=殺すことになるし、殺されることになる)からです。
本当にひどすぎます。ちなみに、ちょっと前までは防衛相もHPで、憲法のもとでは集団的自衛権の行使は認められないと書いてありました。それを政府はこの度削除し、このような意味不明の一問一答を掲載しているのです。
なんども言いますが、集団的自衛権を認めたら、戦争に参加し、それにより死者が出ますよ。いいんですか、本当に?
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