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爆サイの誹謗中傷投稿を削除する方法について

【目次】

1 爆サイにおける誹謗中傷投稿の削除方法について

 ⑴爆サイとは何か

 ⑵爆サイの掲示板としての特徴について

 ⑶爆サイにおける誹謗中傷投稿の特徴について

 ⑷爆サイに対する削除方法について

2 ①個人による削除フォームを用いた削除の方法について

 ⑴爆サイにおいて削除対象となり得る投稿について

 ⑵爆サイの削除フォームを通じた削除申請について

  ア 爆サイの削除フォームについて
  イ 削除依頼方法について
  ウ 注意事項について
  エ 非弁行為・非弁護士との提携の禁止・表現の自由について

 ⑶削除フォームを通じた削除の注意点

3 ②弁護士を通じて爆サイに削除を求める方法

 ⑴弁護士を通じて爆サイに削除を求めるメリット

 ⑵①削除申請の説得力が違う

 ⑶②削除フォーム以外からの削除申請が可能

⑷③繰り返す投稿への対処が可能

4 まとめ

 
 
 

1 爆サイにおける誹謗中傷投稿の削除方法について

 ⑴爆サイとは何か

 爆サイとは、爆サイ.com係が運営するローカル口コミサイト(https://bakusai.com/)であり、「総投稿数8億突破!!地域に特化した日本最大級のローカルクチコミサイト!」と謡われています(2022年9月8日時点)。
 
 

 ⑵爆サイの掲示板としての特徴について

 爆サイの特徴は、地域密着の掲示板という点にあります。そのため、地域のローカルな話題(お店や個人、出来事など様々)について地域(岡山なら岡山、香川なら香川)の人々から次々と書き込みがなされます。
 
 たとえば、岡山県倉敷市の話題であれば爆サイ→「山陽版」から辿っていくことでジャンルに応じた無数の話題のスレッドにたどり着くことが可能です。やはり、香川県高松市についても同様に、爆サイ→「四国版」から辿っていくことで多様なスレッドにたどり着きます。
 

 ⑶爆サイにおける誹謗中傷投稿の特徴について

 このように、爆サイは地域に密着した話題の投稿がなされるため、ふとしたことから自分のお店や会社、個人のことなどについてスレッドが立てられ、話題に取り上げられることが少なくありません。
 
 結果、ある日突然、友人や知人などからの指摘で、自分のことが爆サイに書き込まれていることを知るに至るケースが後を絶ちません。
 
 当然、書かれている内容が気に留めるような内容でないとか、いわゆる誹謗中傷の類に相当しない場合であれば何らの対処も必要ありませんが、名誉棄損や侮辱、プライバシー権侵害に相当する内容に至っている場合にはすみやかに適切な対処をとることが必要です。
 
 爆サイは、閲覧者もまた地域の人々であることが大半なので、自分にとって不名誉なことや知られたくないことがまさに自分の住んでいるこの近所の人に晒されているとなると、そのことに対する精神的負担は極めて大きく、その被害は深刻です。
 
 すなわち、爆サイはあくまでネット上での書き込みですが、その影響は実生活に直結する問題なのです。
 
 

 ⑷爆サイに対する削除方法について

 このような爆サイへの誹謗中傷投稿に対しては、①個人による削除フォームを用いた削除の方法と、②弁護士を通じて爆サイに削除を求める方法の二つがあります。
 以下、これらの削除の方法について順にご説明いたします。
 

【爆サイに対する削除方法について】

①個人による削除フォームを用いた削除の方法
②弁護士を通じて爆サイに削除を求める方法
 
 

2 ①個人による削除フォームを用いた削除の方法について

 ⑴爆サイにおいて削除対象となり得る投稿について

 爆サイはそのHP上で「利用規約」を公開しており、その第3条1項にサイトにおける禁止事項として1号から16号まで規定を設けています。その中には、誹謗中傷投稿ないし削除の対象となり得るものとして以下のような内容が含まれています。
 
 そして、これらに該当する投稿に対しては、爆サイによる削除の措置が講じられることがあります(第3条2項)。
 
 
5号;他人の名誉、社会的信用、プライバシー、肖像権、パブリシティ権、著作権その他の知的財産権、その他の権利を侵害する行為(法令で定めたもの及び判例上認められたもの全てを含む)
6号;本名、住所、メールアドレス、電話番号の記載(一般に公開されている情報・公人に関してはこの限りではありません)
16号;上記以外の、管理者が不適切であると判断する行為
 
 
 5号は名誉棄損等を侵害する行為を禁止するものです。6号はプライバシー権を侵害する行為を禁止するものです。そして、これらと別に管理者が不適切であると判断する行為についても禁止事項となります。
 
【利用規約における禁止事項】
5号;名誉棄損等
6号;プライバシー権侵害
16号;その他不適切行為
 
 

 ⑵爆サイの削除フォームを通じた削除申請について

 ア 爆サイの削除フォームについて

 上記のとおり、爆サイによる書き込み被害は深刻な結果をもたらすことから、爆サイは削除フォームを通じた削除依頼を受け付けています。 
 そして、この削除依頼のページには、削除依頼方法、注意事項、非弁行為・非弁護士との提携の禁止・表現の自由についての説明があるので一つ一つきちんと確認をする必要があります。
 
【爆サイの削除依頼ページについて】
 
 

 イ 削除依頼方法について

 そこでまず、「削除依頼方法」に記載の内容を確認します。
 
 
1.削除依頼方法
・各スレッド及びレスが表示されている画面の最下部に削除依頼フォームがございます。そこから依頼して下さい。
・削除依頼は基本的に問題のあるコメント番号のみに適用致します。
・レス番号は同時に複数は送れません。1つずつ送信下さい。
・削除は利用規約に反しているか削除人の判断となります。
・削除依頼フォーム以外での依頼は受付しておりません。
・削除依頼は削除理由を記載の上依頼して下さい。
 
 
 これによると、まず①フォームを通じた依頼であること、②問題のあるコメントのみ対応すること、③削除を希望するレス番号をまとめて送信することはできないこと、④利用規約に違反しているか否かは削除人の判断であること、⑤削除依頼には削除理由を記載する必要があることが分かります。
 
 したがって、これらの要件をきちんと満たして削除の依頼をしないとなりません。
 とりわけ、⑤削除依頼の理由に関しては、当該投稿が法的な観点からどうして削除対象になるのかを簡潔明瞭に書かないと爆サイの削除人において削除の判断に繋がらないので注意が必要です。
 
 

 ウ 注意事項について

 続いて「注意事項」の内容の確認も必要です。
 
 
2.注意事項
・同内容の連続した削除依頼(72時間以内に同内容の複数回の依頼)及び威圧的削除依頼は、弊社の業務妨害と判断し禁止リスト登録を行い、今後の依頼にはお答え出来なくなることが御座います。予めご留意ください。
・削除に関しては、依頼の都度対応致します。「今後同様の書込みがあった場合には削除して下さい」といった要望には対応出来ません(大量処理の為、判断しきれません)。
・削除は、削除規定に照らし合わせ行います。依頼された全てを削除するとは限りません。
・お問い合わせ、削除依頼に関しては、72時間を目処に行います。ご了承下さい。
 
 
 これによると、①同一内容に関し連続して申請をすることや威圧的に申請をすることは削除対応から除外される原因となること、②削除対応は都度判断、都度対応になること、③削除は削除規定に照らし合わせ行い、すべてを削除する訳ではない事、④削除の対応は72時間を目安としていることがわかります。
 
 

 エ 非弁行為・非弁護士との提携の禁止・表現の自由について

 さらに、非弁行為・非弁護士との提携の禁止・表現の自由についてとして以下のとおり説明があります。
 
・削除要請は、弁護士以外の者が行うと弁護士法第72条で禁止している(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)または、第27条 (非弁護士との提携の禁止)に該当する可能性があります。
・削除要請は当事者、または弁護士にご依頼下さい。
・安直かつ過剰な削除は、表現の自由を侵害する可能性や、違法性・有害情報の判断に於いても、裁判所の司法権を侵すことも懸念される為、慎重に行っております。
 
 これによると、①削除要請は本人もしくは弁護士から行うべきこと(非弁行為の禁止)、②安直かつ過剰な削除要請には慎重な対応をしていることがわかります。
 
 

 ⑶削除フォームを通じた削除の注意点

 削除フォームを通じた削除の注意点ですが、実際にどのような場合に爆サイが削除を実施するか否かが必ずしも明瞭でないという点にあります。
 
 上記の「削除依頼方法」には、「削除依頼は基本的に問題のあるコメント番号のみに適用致します。」「削除は利用規約に反しているか削除人の判断となります。」とあります。
 
 また、「注意事項」には「削除は、削除規定に照らし合わせ行います。依頼された全てを削除するとは限りません。」とあります。
 したがって、削除を申請すればあらゆる投稿が削除されるわけではありません。
 
 すなわち、爆サイはネット上の表現媒体という役割を担っているところ、表現の自由が憲法上非常に重要な価値を持つことに照らし、投稿内容に対して爆サイが「問題がある」と判断して初めて削除になるのです。
 
 その際、具体的にどのような投稿であれば削除の対象となるのか明確な基準(削除規定)は爆サイから公表はされていません。
 
 また、そもそも爆サイは冒頭で述べたように非常にアクセス数の多いサイトであること、問題のある投稿も日々、多数なされていること、その結果、削除依頼の件数も相当多数と見込まれることから、削除フォームから削除を申請してもすぐに対応される保証がある訳でもありません。
 
 ただし、「注意事項」には「お問い合わせ、削除依頼に関しては、72時間を目処に行います。ご了承下さい。」とあり、可能な限りの迅速な処理を目指していることは窺えます。
 
 
【削除申請の際の注意事項】
・申請すればすべて削除される訳ではないこと
 
 
 

3 ②弁護士を通じて爆サイに削除を求める方法

 ⑴弁護士を通じて爆サイに削除を求めるメリット

 以上のとおり、爆サイでは、削除のための受付フォームをしっかりと用意し、可能な限り早急な対応をとることとしています。
 そのため、爆サイの書き込みに対しては、書かれた本人がご自身でこのフォームを通じて削除依頼をすることが十分に可能です。
 
 しかし、以下の3つの理由に照らせば爆サイへの削除依頼は、弁護士に頼むことがベストだといえます。
 

 ⑵①削除申請の説得力が違う

 そもそも削除フォームを通じて申請するとしても、どのレスがどうして問題であり、どのような根拠で削除の対象とすべきかを法的な観点から説得的に整理が可能であり、爆サイが削除の判断をし易くなります。
 
 すなわち、爆サイでは、削除の対象となる投稿かどうかは「削除規定」に従って判断をしています。
 
 この規定自体は公開されていませんが、概ね削除申請の対象となった投稿が以下のような内容であれば削除に応じていると予想されます。
 
・名預棄損に該当する
・侮辱に該当する
・プライバシー権侵害に該当する
・著作権を侵害している
・その他、法令に違反する投稿内容である
 
 そのため、削除フォームを通じて削除を申請する場合には、問題となっている投稿がこれらに該当することを分かりやすく、説得的に説明をすることが重要です。
 ところが、爆サイに書き込みされた投稿は、イニシャルや伏字、一見して分かりにくい言い回しなどを用いて表現をしていることが多いので、これらをどう繋げて読むと上記の削除基準に該当すると言えるのかを分かりやすくフォームを通じて説明をしないといけません。
 
 しかし、これを個人で行うには非常に困難が伴います。
 そのため、削除フォームを通じての削除であっても弁護士が、当該書き込みの前提事情、内容、法的にどの権利侵害なのかを分かりやすく説明することが大切です。
 

 ⑶②削除フォーム以外からの削除申請が可能

 爆サイには上記のとおり、スレッド毎に削除フォームが設けられていますが、何も爆サイへの削除申請はこの削除フォームによらないといけない訳ではありません。
 すなわち、削除フォーム以外の削除申請方法としては、「一般社団法人テレコムサービス協会」が作成している「プロバイダ責任制限法名誉棄損・プライバシー関係ガイドライン」にある「送信防止措置依頼」の手順に従って削除の申請が可能です。
 
「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」の一部改訂について」
 
 この送信防止措置依頼に必要な書類をどう揃えて、どう爆サイに届けるか(爆サイの住所)はやはりこの分野に詳しい弁護士への依頼が必須です。
 当然、削除フォームを通じての申請の際と同様に、どの投稿がどうして法的に問題なのかを分かりやすく説明しないといけません。
 
 

 ⑷③繰り返す投稿への対処が可能

 爆サイに限らず、ネット上への書き込みは、次々と繰り返されることで被害を深刻化、永続化させています。この点、爆サイに対して削除フォームを通じていくつかの投稿を削除してもらったとしても、再び投稿が繰り返されることまでは止められません。
 その場合、投稿が繰り返される都度、削除申請をすることはあらゆる意味で負担が大きいです。
 他方で、弁護士を通じて削除を申請するに際しては、当該弁護士が当該掲示板の当該スレッドに、削除申請をしたことや、投稿が続くようであれば発信者情報開示を求め、損害賠償を請求すること、刑事告訴をすることを通告し、投稿者への警告とすることが可能です(削除依頼を請け負う弁護士や法律事務所によって、ここまでの対応をしてくれるかどうかは個別にご確認ください。)。
 
 

4 まとめ

 以上のとおり、爆サイへの削除に際しては弁護士への依頼が非常に有益です。
 
 書き込みをされただけでとても傷つき、日常生活にも支障が出る中、削除のために動こうとしても、何をどう用意したらよいのか、自分で削除しても削除されなかった場合には、さらに被害は深刻化してしまいます。
 
 なおかつ、削除されたものの、投稿者が再び投稿をするのではないかと考えるだけでその後の生活への不安が続きます。
 したがって、安心した生活環境を早く取り戻すためにも、爆サイへの書き込み削除は弁護士に依頼すべき必要性が高いといえます。
 
 
 
執筆者;弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
 
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所
 
 
 

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