離婚と離婚届けの提出、子の氏の変更の許可について
【目次】
1 離婚の成立と必要な各種手続きについて
2 ①離婚届けの提出について
⑴離婚届けの提出先について
⑵離婚届け提出の際の必要書類について
⑶離婚届けの作成方法について
⑷提出の期限について
3 ②子の氏の変更の許可申立について
⑴はじめに
⑵子の氏の変更の許可申立について
⑶子の氏の変更の許可と転籍
【本文】
1 離婚の成立と必要な各種手続きについて
協議離婚にしろ、調停離婚にしろ、審判離婚にしろ、裁判離婚にしろ、いずれの場合でも夫婦間での離婚が成立した場合には、離婚届けを始めとして多くの手続きが必要になります。
ここでは、そのうち①離婚届けの提出、②子の氏の変更の許可申立についてご説明いたします。
2 ①離婚届けの提出について
⑴離婚届けの提出先について
離婚届けは、届出人の本籍地又は所在地の市役所、区役所又は町村役場に提出することとなります。
⑵離婚届け提出の際の必要書類について
離婚届けを本籍地以外の市役所等に提出をする場合には戸籍謄本が必要です。本籍地に提出の際には必要ありません。なので、本籍地以外での提出を考えている場合には、離婚の成立が見越せた段階で戸籍謄本1通を予め取り付けておくことをお勧めいたします。
また、協議離婚の際には戸籍謄本とは別に届け出に来た人の運転免許証などの本人確認書類が必要です。調停離婚、審判離婚及び裁判離婚の際には本人確認書類は必要ありません。
他方で、調停離婚の際には調停調書の謄本、審判離婚の際には審判書の謄本と確定証明書、裁判離婚の際には判決の謄本と確定証明書が必要になるので注意が必要です。
以上を整理すると次のようになります。
①協議離婚の場合
離婚届け、戸籍謄本(本籍地以外に提出の場合)、届け出に来た人の身分証明書
②調停離婚の場合
離婚届け、調停調書の謄本
③審判離婚の場合
離婚届け、審判書の謄本と確定証明書
④裁判離婚の場合
離婚届け、判決の謄本と確定証明書
⑶離婚届けの作成方法について
離婚届けの届書用紙は各自治体の窓口にあるのでそれをもらってくるようにしてください。記入例は以下の法務省のウェブサイトからご確認ください。
その際、調停離婚、審判離婚及び裁判離婚の際には、以下の点が協議離婚と異なるので注意が必要です。
①作成者について
調停離婚、審判離婚及び裁判離婚の際には届出人のみが署名捺印すればよく、お互いで作成をする必要はない。
②証人欄について
調停離婚、審判離婚及び裁判離婚の際には証人欄の記載は必要なく、空欄のままでよい。
⑷提出の期限について
離婚届けの提出期間についてですが、協議離婚の場合には、届出を提出した時点が離婚の成立なので、提出の期限はありません。ただし、公正証書にて離婚の条件を取り決めた場合には、当事者の一方がいつまでに離婚届けを提出するかを明記していることがあるのでその期限は守る必要があります。
他方で、調停離婚の場合には、調停の成立から10日以内、審判離婚の場合には審判が確定してから10日以内、裁判離婚の場合には、判決が確定してから10日以内に届け出を提出する必要があります。
これは結構時間的に限られているので注意が必要です。
3 ②子の氏の変更の許可申立について
⑴はじめに
離婚に伴い、親権者になった方は、自分の新本籍を作成し、もしくは以前の戸籍に戻り、以後、子どももその本籍に転籍をさせたいと考えることでしょう。
その際、戸籍法では親子であっても「氏を同じくする場合」に限り同一の戸籍に編成されることから、その条件を満たす必要があります(戸籍法6条)。
そして、子の転籍についても、離婚届けの提出と同時に済ませたいと考えるのが通常ですが、実は同時にはできませんので注意が必要です。すなわち子の転籍のためには、自分と同じ氏でないといけないのですが、そのために必要な子の氏の変更の許可申立についてご説明いたします。
⑵子の氏の変更の許可申立について
離婚をし、以前の姓に戻るか、婚姻時の姓のままとするかいずれの場合であっても、子の氏についてはこれを自分と同じ氏に「変更」するように求める許可手続が必要です。
婚姻時の姓であれば子の氏と同じなのでわざわざそんな手続きは必要ないのではないかとの疑問が生じますが、法律上は婚姻中の氏と婚姻時の氏を続称する場合とでは別個の氏と扱われることから、子の氏(婚姻中の氏と同じ氏)を離婚後の氏(婚姻時の氏を続称する場合の氏)に変更することとなるのです。
そして、そのための手続きとしては家庭裁判所への申し立てが必要になるところ、裁判所のウェブサイトに詳細な説明があるので以下、ご参照ください。
「子の氏の変更許可」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_07/index.html
⑶子の氏の変更の許可と転籍
上記の手続きの結果、子の氏を変更した後に、子と自分の氏が同じになるので、子を自分の新本籍に転籍することが可能となります。