いじめ隠しを指示した教員の敗訴が確定した最高裁判決について
兵庫県姫路市立中の柔道部であったいじめを隠すよう指示したことを理由に停職6カ月の懲戒処分を受けた元教諭の男性が、処分取り消しなどを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(木沢克之(きざわ・かつゆき)裁判長)は6日、処分を取り消した二審大阪高裁判決を破棄し、請求を棄却した。男性側の逆転敗訴が確定した。
高裁は「停職は重過ぎる」としたが、第1小法廷は「いじめを認識した教職員の対応として法令に明らかに反し、信用を著しく失わせる行為だった」と述べ、停職は妥当だったと判断した。
判決によると2015年7月、柔道部の1年の男子生徒が上級生らに蹴られて胸を骨折。顧問だった男性は、被害生徒らに「階段から転んだことにしておけ」と病院でうその説明をするよう指示した。校長は、この上級生を大会へ出場させないよう命じたが、男性は従わずに出場させた。これらを理由に停職処分を受け、後に退職した。
第1小法廷は「大会を目前に控えた中、主力選手の不祥事が明るみに出ないようにする意図をうかがわせ、被害生徒の心情への配慮を欠いていた」と指摘。いじめの被害者を速やかに救済するよう求めた、いじめ防止対策推進法などに違反すると批判した。
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上記の報道がありました。
いじめ自体が大問題な上に、そのことを意図的に覆い隠すよう指示した教員の行動も大問題です。部活動の顧問だったことから、いじめ加害者が大会に参加できるようにするためにこのようないじめを隠蔽する行動をとったようですが、
部活>生徒
もしくは
大会>生徒
という発想になっているようです。部活とはいったい何をする場なのでしょうか。学校とはそもそも生徒の学習の場です。部活はそれに付加するものであり、決して生徒やその学習に優先するものではありません。
私は、香川の高等学校教職員組合の顧問もしている関係で、学校での教員の考え方や生徒との接し方、部活についての取り組み方などいろいろな意見やお話しを聞くことがあります。
その中で、「授業よりも部活が命」の教員が多くいるとお聞きしました。
部活に熱中する生徒がいることは確かです。
しかし、その部活の中で生徒の人権が否定されたり、人生を壊されたりすることは到底許されません。
あくまで
部活<生徒
だと思います。
最高裁の判断は極めて妥当だと考えます。
内心の自由
美容院で髪を切っていた。
となりのお客さんと、さらにそのとなりのお客さんの会話が次々と聞こえる。
それとなしに聞いていた。
。。。
隣のお客さん「最近、コンタクトが痛くて痛くて。。。眼科いかなきゃ!」
呉の内心「うん。うん。わかります。僕も最近、ずっと目が痛くて先日眼科で新しいコンタクト作ったばかりなんです!今日はその新品のコンタクトで快適です。」
。。。
隣の隣のお客さん「もう、子どものお弁当作るの大変だわ。今日は昨日の晩御飯の残りの酢豚よ!もー。」
呉の内心「毎日大変ですよね。お疲れ様です。僕は酢豚大好きです!ちなみに今日のお弁当は八宝菜でした。中華繋がりですね!」
。。。
いずれもあくまで「内心」である。
今日は、見知らぬお客様たちと勝手に「会話」が通じました。
信念に基づく「仕事」をしたい
志をもって弁護士になったので、ひとつひとつの仕事を信念に基づいて取り組みたいと思っている。
たとえば債務整理や破産であれば、手続きを通じてどうやってその依頼者の方の生活や人生を立て直すのかを考えつつ進めること。
たとえば離婚であれば、どうやって離婚という決着をつけ、その後、どのような生活を送るのかを考えること。
たとえば交通事故であれば、事故によって被ったケガの治療を最優先に、負った傷に対する適切妥当な賠償額を獲得すること。
これをしないと、本当の意味での依頼案件の解決ではないと思っている。
たとえば破産でも、形式的に申立て書類を用意して提出すること、型通りの処理で破産を認めてもらうことはあり得る。
しかしそれだけでは破産者の生活再建に繋がらない可能性がある。また借金をするかもしれない。だから、二度と借金で苦しまないように、その原因に向き合えるよう乗り越えられるよう助言する。
たとえば離婚でも、早々に調停を打ち切り、離婚訴訟に踏み切る方法もある。しかし、一度は夫婦として生活してきた関係がある。だから、離婚の在り方もまずは調停でしっかりと話し合うことも大切だと考える。それでも駄目なら離婚訴訟もやむを得ないと助言する。
たとえば交通事故でも、単に高額の賠償金を目的とすると、ある意味で「負ったケガが重ければ重い方がよい。入通院は長ければ長いほどよい。」となる。
しかし、事故の被害者の本来望むことは「できるだけ早い治癒」である。
それなのに、治癒しない方が高額になるので「お得」との考えはおかしい。
だから、私は「できるだけ早くしっかりと直るよう治療に専念してください。」と助言する。
その他の事案でも、とにかく依頼者の方の人生に関わる仕事だから、きちんとした信念に基づき仕事をし、しっかりとした結果を提供したい。
早いことの価値
ふと思いついて、日ごろ仕事上でお世話になったり、お世話したりする関係の隣接業種の方々にあれこれと「口コミ」をグーグルに投稿してみました。
単に☆を付けるだけでは伝わらないので、きちんとコメントもつけました。
複数の方に投稿したのですが、書いていて思ったのは
「どの方々も仕事が早い」
という意味で共通しているということです。
私が信頼して仕事を頼む方々は、仕事の内容がしっかりしていることは当然の前提で、その上でさらに共通していたのはそのスピード感だったということです。
やはり、「早さは価値」だと改めて実感、痛感しました。
「待っている時間」って長く感じますし、「あれこれ」と余計なことを考えたりしますからね。なので早いことは依頼者にとってはストレス低減に直結します。今後、さらに「スピード感ある仕事」を意識したいと思いました。
顔パス「失敗」
高性能なタブレット端末の「顔認証システム」によるロック解除ですが、「鼻にティッシュ」を詰めている状態だと「解除できず」ということが分かりました。
(何をそんなこと、わざわざ公表することか!)
とのお声が聞こえそうな内容ですけど、「本当」なんです!
というのも、仕事中、のぼせたかなにかで(最近、暑くなったので!)不意に鼻血が出ました。そこで慌ててティッシュを鼻に詰めて事なきを得たものの、いくら端末に顔を向けてもロック解除にならなかったのです。
まだ鼻血が止まっていませんでしたので、ティッシュをとることも出来ず、止む無くパスコードにて解除しました。
しばらくして鼻血が収まってティッシュを外してから顔パスしましたが、やはりその時は無事に解除になりました。
ということで、顔認証に際しては、鼻にティッシュを詰めていると、「お前ではない!」と判別されることが分かりました。
ついでですが、最近マスクも良く付けますが、マスク着用でも認証できません。
便利な機能もちょっとしたところで「厳しく」判断されると分かりました。
いじめ「重大事態」と第三者委員会
「3年前の平成29年に自殺した東京 昭島市の当時、中学1年だった女子生徒の遺族が、いじめが原因と認めなかった学校側の調査は不十分だとして、第三者委員会による調査をするよう申し入れたことを受けて、市は詳しい調査を行うことを決めました。」
(NHK 2020.6.25) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200625/k10012483901000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_029
繰り返すいじめ被害の報道です。
自殺に至った事案について、学校側は、自殺の原因についていじめが主な原因とは認めず、市もその後詳しい調査をしていなかったとのことです。
遺族は、いじめ防止対策推進法の「重大事態」にあたるとして詳しい調査の申し入れを続けていたとのことです。
今後は第三者委員会での「公正な」調査が行われると良いのですが、問題は「第三者委員会」が本当にそのような調査をするかどうかは保障がない点です。
というのも一見すると、「第三者委員会」というと聞こえが良いですが、あくまで学校や当事者以外の「第三者」ということにとどまり、実際にどのような構成員がどのような調査をするかはあくまで当該「第三者委員会」次第になるからです。
これまでも「第三者委員会」の名の元に不十分な調査が実施されてきたことも否定できない事実です。
結果、いじめによる自殺を巡り訴訟に至ることも続いています。司法の場で証拠に基づきいじめの実態を明らかにするためです。
こうなると、被害者やその遺族は長い間、納得のできる結論を得られるまで苦しみ続けることになります。しかし、やり方によってはもっと早くいじめの問題に対処できたのではないかと考えざるを得ません。いじめの報道を見るにつけ、感じる次第です。
弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所の破産について
6月24日付で弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所が破産手続開始決定を受けたとのことです。報道によれば、負債総額は約50億円となっています。同事務所に所属していた弁護士は5名で、今月10日には法人の解散手続きが進んでいたようでもあります。事業展開としては全国にCMを打って、過払い請求やB型肝炎請求訴訟を手掛けていたとのことです。また、弁護士法人や弁護士個人が所属する弁護士会に支払う弁護士会費についても滞納になっていたようで、これを受けて所属する弁護士会から破産申し立てをしていたところ、東京地裁から破産手続開始決定を受けたようです。
以上の報道内容を踏まえると、いろいろと気になる点が浮かび上がってきます。
第1に、負債総額約50億円とのことですが、法律事務所の負債総額としてはかなり多額です。大規模なTVCMを行っていたとしてもこれだけの負債になるとは考え難く、従業員に対する未払い賃金や、ひょっとすると顧客に対する未払い清算金(例えば回収した過払い金の未精算分など)が相当蓄積していた可能性があると思います。
第2に、既存の依頼者についてですが、案件処理が終了しているような事案であれば、清算してもらうはずのお金(回収した過払い金や弁護士法人が受け取って未精算のB型肝炎給付金など)について、破産手続の中で処理されることとなり、現実問題としては依頼者の手元に返って来ない可能性があります。
第3に、既存の依頼者のうち、案件処理が未了ないし中途の事案であれば、同事務所との委任契約を解消し(一応、法律上は破産により当然に解約解任となります。民法653条2号)、新たに弁護士を選任していくことで案件処理を引き継ぐことが可能です。
以上のような次第ですから、ひょっとして同事務所に依頼中の方は、ご自身の案件処理や費用がどうなるのか、ご確認の上、早急にご対応頂いた方が良いかと思います。
当事務所でもご相談対応をすることとしています。
https://kakehashi-law.com/modules/news/index.php?content_id=2134
生とうもろこし
とうもろこしを公言していたら、ふいに、見るからにおいしそうなとうもろこしをたくさん頂きました!
さっそく自宅に持ち帰り、茹でて食べようかと準備をしていたら、箱の中に食べ方の説明が書いた紙がありました。
見ると、「生でも美味しく食べられます。」と。
おぉ。とうもろこし好きではあるものの、生とうもろこしは食べたことはない。なのでさっそく、お湯が沸くまでの間に、一本丸々、生とうもろこしを頂きました。
うーむ。シャキシャキでジューシーな味わい。フレッシュこの上なく、歯ごたえはみずみずしい。茹でて食べる時よりも果汁が溢れるような感じでした。
いやぁ、貴重な経験をしました。今度、普通のとうもろこしでも「生食」を試してみて比較をしてみます。
結局、生とうもろこしを楽しんだ後には沸いたお湯で塩ゆでしたとうもろこしも頂きました。甘さが増す感じで、また違う味わい。
一日で二度もとうもろこしの美味しさを体験できました。本当にありがとうございました。
うどん通
うどんが好きです。大好きです。
なので、香川出張の際には、機会があればうどん屋さんで食べます。
そうしたところ、今日は丸亀に出張に行き、思ったよりも時間が空いたので有名店の「なかむらうどん」に行きました。
なかむらうどんさんは、有名店ですが、県外や観光客だけでなく、地元の人も多く通っておられます。
なので、平日昼前の店内は、あちらこちらに近所の方と思しき来客が多く見受けられました。
私は頼んだかけうどんと釜玉うどんを次々にすすりながら常連さんの「うどんのお作法」を見学していました。
すると、ひとりの高齢男性が、お膳にうどんを載せてやってきました。右手には湯飲みも手にしています。そして、湯飲みにおもむろに「熱いかけだし」と書いてあるお茶ポットの出汁を注ぎ、自席についたのです。
そうです。なかむらうどんさんは、完全セルフの名店なので、「うどん出汁」も当然セルフなのです。
問題は、「熱いかけだし」を湯飲みに入れたことの当否です。。。
「ひょっとすると、「熱いお茶」と勘違いしたのか、、、」
「いや、まさか、うどん県の常連がそんな初歩的間違いを犯すはずはない!これは、うどん出汁を直に飲むための湯飲みだ!」
と、ひとりで思案しました。
その後、その常連男性を横目で見ると、何の違和感もない様子で湯のみを口にしています。なので、これはやはり「うどん出汁を湯飲みで飲んでいた。」ということなのでしょう。
これを見て、自分も香川に通う度にうどん通に近づいてきたと勝手に思っていましたが、まったくまだまだだと痛感しました。なので今度はセルフ店で「湯飲みにうどん出汁」を平然とやってみたいと思います。
(でも、真偽がちょっと不安なので、うどん県のみなさんに本当のところを尋ねてみたいとも思っています。。。)
裁判所の「特徴」
一般の方になじみの薄い「裁判所」ですが、皆様は具体的なイメージをお持ちでしょうか?
TVドラマの「黒い法服」のイメージから、もしくは「三権分立」という学校で習ったイメージから、ひょっとすると「最後の最後まで国民市民の声を聞き、その人の権利救済、正義の実現のための判断をしてくれる」と思われていませんでしょうか?
このようなイメージは必ずしも的外れではありませんが、いわゆる「裁判所」の持つ本来的な特徴を見失う原因となります。
すなわち、裁判所の本来的な特徴はまずもって、「裁判所=国の機関・組織」であるといことです。この特徴から導き出されるのは、いわゆる民間における現代的かつ進歩的なサービスからかけ離れたところで「司法サービス」を提供しているということです。
たとえば、何より裁判所は書面主義により貫徹され、必要な提出書類の過不足には非常に厳しいです。書類の多少の誤字脱字や過不足を「多めに見る」ということはありません。それゆえ、弁護士としては「裁判所にすんなり認めてもらう書類」の完成に意識を注ぎます。
また、今どきの民間サービスのような「迅速性」には正直欠けます。裁判所に裁判の書類を提出したところ、何日も経過したころに、「初回期日」決定のための連絡が来ます。
その上でさらに1か月後くらいにその「初回期日」が行われます。さらにその後、1,2カ月に1回程度の頻度で期日が設けられ、やっと和解や判決で解決に至ります。
その間、1年かかることはザラです。多少争点が多いと2~3年かかります。
やっと一審判決で決着かと思いきや、控訴に至るとそこからがまた長いです。判決→控訴→控訴審の1回目の期日までは2~3カ月もしくはそれ以上かかることがこれまたザラです。
そうなると、勝った方も負けた方も、控訴審が始まる頃には「グッタリ」しています。
当然(?)控訴審の後の最高裁まで行くとやはり長期間を要します。最高裁の結論が出るまで半年以上は余裕で待ちます。
このような次第なので、裁判所という組織の特徴として書面主義や時間を要するという側面があることを知っておいていただけたらと思います。
ただ、保全処分や、保護命令、労働審判などはこのような長期間を要することは通常ありません。裁判所もその意味では事案に応じ、権利の性質に応じ対応を分けていることも事実です。
当然、弁護士としては少しでも早く解決するよう早めに書面を提出するとか、分かりやすい書類を心掛けるとかという工夫をすることとなりますが、この点は人によりけりです。
以上、裁判所の「特徴」を踏まえて裁判制度を活用していただけたらと思います。