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飲食店に対する休業要請と罰則規定について

2021-1-13 18:00  執筆:oh

新型コロナウイルスの蔓延に伴い、2度目となる緊急事態宣言が発令されました。

 

その「基本的対処方針」においては、飲食店などに対する営業時間の短縮(~20時)の「要請」を行うとされています。

 

そして、この「要請」に対し、正当な理由がないにもかかわらず応じない場合には営業時間の短縮の「指示」を行うものとされ、さらにこれらの「要請」や「指示」については公表が行われます。

 

これらに加えて、いま議論されているのが、要請や指示に従わない事業者に対する「罰則」規定の制定です。

 

 

 

このような、飲食店などに対する時短要請や罰則について、分かりやすく整理すると次のとおりとなります。

 

 

➀新型インフルエンザ等対策特別措置法(緊急事態宣言の根拠法令のことです。以下「特措法」といいます。)やその政令(特措法の細目を定める政府の施行令です。)では、「感染を防止するための協力要請等」という規定があります。

 

そして、この規定に基づき様々な施設の使用制限の「要請」や「指示」が出来るとされています(特措法45条2項)。

 

②しかし、つい先日まで、飲食店などはこの使用制限の対象施設として明示列挙されていませんでした。

 

これでは困るとのことから2021年1月7日に政令が改正され、対象に含まれることとなりました。元来の政令の内容や、改正された政令の内容は↓のとおりです。

 

【改正前の対象施設・政令第11条】

(使用の制限等の要請の対象となる施設)

第十一条 法第四十五条第二項の政令で定める多数の者が利用する施設は、次のとおりとする。ただし、第三号から第十三号までに掲げる施設にあっては、その建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えるものに限る。

一 学校(第三号に掲げるものを除く。)

二 保育所、介護老人保健施設その他これらに類する通所又は短期間の入所により利用される福祉サービス又は保健医療サービスを提供する施設(通所又は短期間の入所の用に供する部分に限る。)

三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学、同法第百二十四条に規定する専修学校(同法第百二十五条第一項に規定する高等課程を除く。)、同法第百三十四条第一項に規定する各種学校その他これらに類する教育施設

四 劇場、観覧場、映画館又は演芸場

五 集会場又は公会堂

六 展示場

七 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗(食品、医薬品、医療機器その他衛生用品、再生医療等製品又は燃料その他生活に欠くことができない物品として厚生労働大臣が定めるものの売場を除く。)

八 ホテル又は旅館(集会の用に供する部分に限る。)

九 体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設又は遊技場

十 博物館、美術館又は図書館

十一 キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設

十二 理髪店、質屋、貸衣装屋その他これらに類するサービス業を営む店舗

十三 自動車教習所、学習塾その他これらに類する学習支援業を営む施設

十四 第三号から前号までに掲げる施設であって、その建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えないもののうち、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等の発生の状況、動向若しくは原因又は社会状況を踏まえ、新型インフルエンザ等のまん延を防止するため法第四十五条第二項の規定による要請を行うことが特に必要なものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの

 

【政令改正の官報の内容】

https://kanpou.npb.go.jp/20210107/20210107t00002/20210107t000020002f.html

 

③このような経緯を辿り、現在の特措法では、飲食店などに対しても上記「要請」や「指示」が可能となりました。

 

④加えて、今後は特措法を改正し、時短要請に応じない事業者に対する罰則制定が議論されています。

 

⑤罰則の対象としては、刑事罰たる罰金なのか、行政罰たる過料なのかが議論されているようです。

 

しかし、刑事罰を課すということは時短要請に応じないこと自体をもって「犯罪」と構成する訳であり、罪刑法定主義の観点からは行き過ぎな感は否めませんし、営業の自由に対する過度な制約との批判もあるかと思います。

 

 そうすると、行政上の違反行為としての過料の限度で罰則化が検討されるのではないかと思います。

 

⑥これらとは別に、時短要請に伴う「協力金」は、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」として、地方公共団体が地域の実情に応じて支出することが可能なものとして支出されています。

 

今後は、特措法自体に、休業要請等に対する補償規定自体が盛り込まれることも議論になっており、この点の法改正の行方も気になるところです。

 

 

以上を踏まえると、今当然のように話題に上がる休業要請や罰則のこと、応じた飲食店などが受け取る協力金について、具体的に法律などでどのような定めるがあるのかないのかが明確になると思います。

 

その上で、新型コロナウイルスの蔓延防止は必要だとしても、法に基づかない不利益処分は許されてはならないことも肝に銘じる必要があります。

 

 

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