負ける気がしない
「そう思えない人間はプロとしてやっていくことは大変である。」
いま読んでいる「将棋名人血風録」(著;加藤一二三 将棋棋士)にそうあります。
「棋士に限らないと思うが、勝負の世界で生きる者は、戦う前に『自信がない』と思うことは禁物である。」とも表現しています。
弁護士の仕事も勝負の世界です。なので、この説明にはとても納得がいきます。受任した案件で最初から「負けるかも」と思っていては決して勝てません。
たとえ条件で不利であったり、分が悪かったりしたとしても負けると思うことなく諦めずに戦うことで初めて勝利が見えてくるものです。
最初から諦めていては勝てません。
弁護士としてプロとしてやっていく限り、どんな案件でも「負ける気がしない」との気持ちで臨んでいくことが本当に大切です。
私自身、困難な事件で、周囲からは負けると言われ続けた事件も、「負ける気がしない」と自分に言い聞かせ続け、努力を続けた結果、勝利を収めた案件をいくつも経験しています。
やはり、勝負事である以上、気持ちの上でも負けてはいけないのです。
以前、将棋の論理的思考や勝負勘が法律の仕事に役立つとブログで書いたことがあります。
その上で今回は、加藤棋士の本を読んで改めて、弁護士業における「気持ちの大切さ」について考えることができました。やはり将棋と弁護士業とは何か通じるものを感じます。
なお、3月11日のブログでは事件処理の見通しについて、「厳しいことも言う」などと書きました。このことと「負ける気がしない」と思うこととはまったく別のことですのでご注意ください。
厳しい見通しをもって事件の準備(事案の丁寧な把握、法令の調査、判例の分析等)をし、他方で「負ける気がしない」と強い気持ちで臨む、ということです。両者はまったく矛盾するものではありません。
むしろ、両方備わってはじめて優秀な弁護士と言えるのではないでしょうか。