見えないものに縛られる~法律の持つ拘束力の意味~
人はその社会生活を維持するためにルールを作り、規律を設けました。ルールや規律が社会における規範となり、それが国民代表機関により制定されるといわゆる「法律」となります。
これらルールや規律、規範や法律はまったくもって目に見えません。一応、法律であれば条文という形で文章にされ、六法に記載がなされます。
とはいえ、六法に記載された内容自体はあくまで目に見ることのできない法律の内容を文字で記しただけです。
このように、法律を始めとした各種の法規範はまったくもって目にすることはできませんが、人はその内容を守り、違反があればペナルティを課すこととしました。
こうした目に見えない法律というルールが社会を構成する人々の共通認識となったことで安定した社会、予測可能な社会が築かれました。目には見えないものの、このような法規範を人々が守るべきものとして尊重し、大事にしてきた結果が今の社会や世界を基礎づけているのです。
こうした目に見えない法規範についてまずもって一番身近に考えることができるのはそれはまさに「家族」の問題です。
家族とは、生物学的には男女の結合を基本とした夫婦親子関係です。これを法律的に説明すると、まずもって婚姻関係があります。その上で子どもが生まれれば親子関係が生じます。子どもがさらに婚姻をし、子どもが生まれればその関係はさらに広がりを持ちます。
こうした家族関係を通じて人は幸福を覚え、逆に時には不幸になり、ひどい時には家族間での憎しみ合いを生みます。
嫌になれば離れればよいのにと思うものの、目に見えない力で親子関係、親族関係を断ち切ることができず、最悪の事態に至ってしまうのです。
しかし、夫婦であれば離婚をすれば、姻族関係であれば姻族関係終了届けを出し、その関係を終えることができるのです。婚姻の際に養子縁組をした場合であれば離縁によって解消することもできます。
関係の悪化した親子であれば、親の死後、その遺産の引き受けを拒否するために相続放棄も可能です。
こうした方法で目に見えない拘束力である親子親族関係を断ち切ることは可能なのです。
とはいえ、そうは言っても簡単にいかないのが人間の社会です。
実際、法律上の夫婦関係にはない内縁の夫婦であれば、関係解消のためには明確な法律上の規範はありません。一応、内縁関係解消を求める調停が可能ですし、ケースによっては慰謝料請求、財産分与も可能です。
しかし、内縁関係の基本となるのは、お互いが実質的な婚姻関係に等しい関係を維持することを合意している点にあります。
これはもはや明確は法規範によるものではなく、お互いの「合意」というそれこそやはり目に見えない拘束力の上に成り立っているのです。
内縁関係以外でも、婚約も似た側面があります。婚約をすることについては法律上のルールや取り決めはありません。お互いが婚約をすると考え、そのために必要な各種行動(結納や挙式の段取り、新居の用意、家族や親族への紹介など)をとることで初めて婚約が成立するのです。
以上のように、今回は夫婦や親子などの関係を基本に説明をしましたが、法律のルールはまったく目に見えないものであるにも関わらず、人々はその拘束力を信じ、縛られ生きています。
しかし、これが仮に苦しいと感じるのであれば、自由を求めてこの拘束から逃れる方法もあることを覚えておいて欲しいと思います。
そうです。法律はあくまで人々がより良い生活を送り、より幸せになるためのものなのです。何も法律により苦しい生活を受け入れる必要なんてまったくないのです。
地道な努力
ご存知の方もおられると思いますが、実は昨年4月から当事務所の名義でYouTubeチャンネルを開設しています。
内容としては、このHP上の「法律の庭」にある各法律コラムを基にした動画を撮影し、アップしたものがメインです。
昨年4月に呉の思い付きで呉の自力で撮影をし、撮影した動画を職員にアップしてもらい続けました。
結果、開設から約1年が経とうとする現在、チャンネル登録者数がみごとに54人!に及び動画再生数は10,000回を超えました!
って、これって多いのか少ないのか?
いわゆる有名なユーチューバーと比較なんてしてはいけません。とにかく続けることが大切なんです。
と自分に言い聞かせてコツコツと続けています。
自画自賛ではありませんが、動画視聴者の方からコメントをお寄せ頂くことも多々ありますし、動画をきっかけにご来所、ご依頼になった方も相当数あります。
ということなので、この動画が社会の役に少しでも立つと考え、今後も続けるつもりです。
素人撮影で、ノーカット、ノー編集です。噛みますが、気にしません。
では良ければご覧ください↓↓↓
(チャンネル登録もぜひどうぞ)
https://www.youtube.com/@user-no2id4gf8w/about
一年前の今頃
年度末に入り、穏やかな雰囲気のここ数日です。年度末と年度初めは裁判所の期日があまり入らず、裁判所からの連絡も少ないので穏やかなのです。
そんな雰囲気の中、間もなく新年度を迎えつつある中、ちょうど一年前の今頃の自分を思い出しました。
というのも、昨年4月に当事務所は香川オフィスを開所し、新たな取り組みを始めたところでした。その取り組みからちょうど1年が経とうとしており、この一年間のあれやこれやをひとつひとつ思い出しつつあります。
この一年間、自分なりに、事務所なりにいろいろと駆け回り、できることを尽くしてきました。そのお陰で多くの方にご相談を頂き、様々な人生にも触れさせていただきました。
当事務所に多くの方が関与してくださったことに深く感謝し、この一年を振り返ると同時に、次の新年度からもまた昨年蒔いた種を大きく実らせるために全力で取り組んでいこうと思います。
大谷翔平に告白されたらどうするか??
突然のブログタイトルに驚きですね!
ランチ時に不意に頭をよぎったどうしようもない思いつきです。
あまりにも素晴らしい成果を上げた今回のWBC。中でもドラマのような、漫画のような活躍をした大谷翔平選手。
技術だけでなく人柄・人間性、ルックスなどあらゆる人からとてもとても愛されている選手です。
当然、女性からは「かっこいい!」とか「どんな人と結婚するんだろう!」との話題が頻繁に聞かれます。
そんな中、冒頭のような妄想が頭に浮かんだのです。
そんなどうしようもない妄想ですが、あなただったらどうしますか?
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A1
大谷翔平からの告白を受けてお付き合いをする。
A2
とてもではないが自分には不釣り合いだとして(泣く泣く)お断りする。
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さぁ、どうでしょう。この質問、世の女性たちに問うて周ったらA1とA2のいずれが多いのでしょうか。
ちなみに、A1を選択した場合、きっとその後の日々の生活は一変し、場合によっては「大谷翔平がいつまでも自分のことを好きでいてくれるのか?」「他の女にとられやしないか。」「まさか翔平が不倫なんてしないだろうか、、、」などなど毎日が「不安」で一杯になるかもしれません、、、
他方でA2を選んだら?きっと、将来「どうしてあの時断ったんだろう。」と自分を責めることになるでしょう。
なので、冒頭のような出来事などないのが良いかもしれません。
それくらい大谷翔平選手のスター性が良く伝わるWBCでした。
優勝おめでとうございます。
chatGPTの「ちゃっ君」
今、大流行りのchatGPT。
遅ればせながら試しに使ってみました。このAIのすごいところは多言語で流ちょうな文章生成が可能であること。弁護士も文章を大量に作る仕事なので、まさに「脅威となるのか」「味方となるのか」を知りたくてchatGPTの実力を試そうと思ったのです。
まずは、以下の文章を読んでみてください。
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やりたいことは全部やる
「やりたいことは全部やる」
自分の中でそう決めています。
というか、「やりたい」と思ったことをやらずに我慢することができないのです。そのため、何か「やりたい」と思ったら、とにかくまずやってみることにしています。仮に、そのやりたいことがすぐに実現できないようなら、「どうしたら実現できるか」を考え、行動に移します。
決して、「やりたい」と思ったことを諦めず、実行する。
この繰り返しで生きています。
思い起こせば幼いころから、こういう性格でした。
やりたいと思ったことを我慢できないのです。
今の仕事や生き方も、自分のこのような性格にはピッタリ合っていると感じていて、自分のこの素直な「やりたい」という気持ちに即した点でとても気に入っています。
その意味で人は自分の幼いころからある「本質」や「性格」ないし「気性」を抜きには行動できないものだと感じます。
少数派か多数派か?
日常生活を送る中、プライベートでも仕事でも、自分の考えや意見などについて他人とやりとりをしたり、会話をしたり、議論をしたりすることがあると思います。
そのような中で、自分の考えや意見などが、その場の中で「多数派」を占めることもあれば、「少数派」を占めることもあると思います。
そうした時、多数派に属すると、何となく安心したり、自分は間違っていなかったと確信をしたりすると思います。
反対に、少数派に属すると、その逆の気持ちになったりすると思います。
これってどうにも不思議なことです。なぜなら、多数派が常に正しいとは限らないし、むしろ少数派の意見にこそ真実が含まれていることも多々あるからです。
なので本来は、自分の考えや意見が多数派かどうかで安心したりする必要はなく、「自分の考えに自分として根拠を見出し、自信を持って周囲に語れるかどうか」が一番大切なことのはずです。
ですが、やはり人は弱い生き物ですから、上記のように多数派かどうかを気にしてしまうのでしょう。
できれば周囲の意見などに流されない生き方をした方が、本当の意味で「自由な生き方」だと思うので、私自身は常日頃から他人に流されることなく、多数派か否かを気にすることなく「自分の考え」をしっかり持つように意識しています。
オヤジ弁護士の悩み
先日、とある団体の会議があり、会議後には懇親会が予定されていました。
会議の参加者の中に県外から来られていた某オヤジ弁護士がいたので、懇親会への出欠をお尋ねしました。
すると、会議後すぐに帰るつもりであったこと、それゆえ妻に食事を済ませて来ると伝えていないことを理由に参加を悩まれていました。悩むのは当然、「県外まで来たのだし、会議後にみんなとパーッとやりたい!」からです。
悩んだ結果、「少しだけ」参加するとのことでしたので皆で懇親会会場へ。
途中、そのオヤジ弁護士は妻に電話をしにそそくさと席を立ちました。そうです。「夜飯は不要になった」と架電するためです。
で、しばらくして帰ってくると、どうにも暗い表情です。尋ねると
「妻に連絡したら、『そんなに食べて帰りたいなら食べて帰ればよろしい!』と激怒された」とのこと。
さて、このような状況に追い込まれたオヤジ弁護士、次のどの選択肢に従って行動するべきでしょうか?
【選択肢①】
懇親会会場をすぐさま後にし、自宅に急行の上、妻に謝り、夜ご飯を美味しそうに頬張る。ただし、激怒した妻が、オヤジ弁護士の分の夜ご飯をもはや用意していない可能性がある。
【選択肢②】
懇親会を存分に楽しみ、酒も食事もたらふく頂いてから帰路につく。ただし、激怒しつつもオヤジ弁護士の帰宅を信じていた妻の愛妻料理が食卓にずらっと用意されている可能性がある。
【選択肢③】
懇親会を存分に楽しみ、酒も食事もたらふく頂いてから帰路につくも、「あたかも懇親会では何も頂いていないフリ」をして愛妻料理を美味しそうに頂く。
さて、どれが正解とも言い難く、当のオヤジ弁護士も顔色を悪くしながらこれら選択肢を行き来しつつ、懇親会を「楽しんで」いました。
オヤジ弁護士にも悩みはあるものです。
自分の味方はどこにいる?
何かもめごとになった、紛争になった、トラブルに巻き込まれたという場合、相手方との交渉や調停、訴訟になることがあります。
「自分は悪くないのに」
そう思っても、相手方からは非難され、攻撃され、あたかもこちらがすべて悪いように扱われ。
場合によっては裁判所の各種手続でも思うように自分の主張が通らず。
そのような状況になると、ただでさえ紛争のストレスでしんどいのに、自分はこの世で一人きりになってしまったかのような錯覚に陥ることもあると思います。
そうした中、やはり自分の胸の内や苦しみを聞いてもらい、寄り添ってもらい、支えてもらえる人がいるのはとても大きいことだと思います。
当然、弁護士はそのための存在です。さらに言うと、単に寄り添うだけでなく、解決に向けての提案や行動を起こせる立場でもあります。
ひとりではなく、支えてくれる人がいる。
そう思ってもらえたら弁護士としては嬉しい限りです。
初の「発信者情報開示命令事件」
昨年10月に改正法が施行された特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(俗称「プロバイダ責任制限法」ないし「プロ責法」)に基づいて、発信者情報開示請求が容易になりました。
具体的には、これまでの裁判手続きでは、①コンテンツプロバイダー(掲示板やSNSの運営会社)に対して当該投稿にかかるもしくは当該投稿と近接した時点でのログイン時のIPアドレスの開示を求める仮処分や裁判が必要であり、②その結果得られたIPアドレスを踏まえて今度はアクセスプロバイダー(NTTドコモやメガエッグなどというネットサービスを提供する会社)に対して、当該IPアドレスを割り付けていた契約者情報の開示を求める訴訟を起こす必要がありました。
それを簡易化するため、新たに改正法により「発信者情報開示命令」制度という非訟事件の類型が加わったのです。
この制度を使うと、ひとつの手続でコンテンツプロバイダーへの開示命令、その結果を踏まえたアクセスプロバイダーへの開示命令が可能となり、手続の簡略化や早期化が実現することとなります。
そして、この制度を利用するに際しては、コンテンツプロバイダーの所在地を管轄する裁判所に申し立てをすることが大半なので、必然的に東京地裁や大阪地裁に事件が集中することとなります。
そうした中、この度、当事務所でも同制度に基づく発信者情報開示命令申立て手続の依頼を受け、偶然にも管轄が高松地裁となる案件がありました。
高松地裁の担当書記官にお聞きしたところ、昨年の法改正から今回のうちの申し立てが初の案件となったとのことで、新しい制度の初の案件をこの高松地裁で対応することとなりました。
今後、新制度に基づく手続の状況などご案内ができるものがあればまたご報告いたします。